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第二章【那賀龍神の教え子達】
pioneer8❲その人は日下部弥生❳
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一九五七年七月。アランミューア大陸の中心部にブディスの森がある。
アランミューア大陸一の森であり、森の内部には高等耳長亜人の秘境王国クルーズ・ガン・トムが存在する。秘境ゆえに確認する事は皆無であった。
その理由として、龍地球の子と呼ばれる十三龍の一頭、綠龍フォレストボイスの縄張り、また様々な魑魅魍魎なるモンスター達も棲息しており、誰もが危険を侵してまで潜入する事はなかったのだ。
そのブディスの森の南東部にバルキル市がある。
バルキル市は林業が盛んであり、木造建築の建物が軒並みにある街であり、人間、耳長亜人、寸胴亜人、小人等の人種が共存する治安の良い街ある。
その街の一等地にアースストライダー育成小学校があった。
母なる地球より転移された十八人の少年少女が、そこで学び生活をしている。少年少女達がこの校舎に来たのは昨年の四月、つまり少年少女達は小学二年生であった。
「那賀くんは将来は何になりたいの?」
校舎の中の一室、教室の中で一人の少女が少年に質問していた。教室の中にはその二人しかいなかった。
少年の名前は那賀龍神。七歳の小さくひ弱な感じが印象の少年だった。
「俺は、や、弥生ちゃんと結婚するー!」
龍神の告白に少女は顔を赤くして俯いた。
「は、恥ずかしい、よ……」
少女は両手で顔を隠しながら緊張を見せた。
ひ弱な龍神は他の生徒達によく苛められ、いつも一人ぼっちだったのだが、この少女だけはいつも一人ぼっちの龍神に話しかけてくれる、唯一、龍神が心を許すクラスメイトであった。
名を、日下部弥生と言い、彼女もアースストライダーとなる子供であった。
「だって、弥生ちゃんは優しいもん!だから将来、結婚するんだ!」
龍神は真顔で答えているのだが、まだ七歳である彼には結婚と言うものがどういうものかは、正直解ってはいなかった。ただ、弥生が好きと言う感情は本当だった。
「じゃあ、私が先生になったら結婚しよ」
「ええー?弥生ちゃん、先生になりたいの?」
弥生の将来の夢を聞き、龍神は驚きを見せると、弥生は無言で恥ずかしそうに頷いた。
「先生になったら、俺と結婚してくれるの?」
「…………うん」
「じゃあ、俺も先生になる!」
「本当に?」
誰もいない教室で幼い二人は、それぞれ約束をした。
その時……、突然、教室の窓の外から爆音が響き、一瞬にして遠くの建物が爆発した。
その一瞬の出来事に龍神は放心状態になり、弥生は耳を塞ぎながら泣き叫んだ。
窓の外から悲鳴が鳴り響き、何か巨大な生き物のような、もしくは重なりあった遠吠えのような声が響く。
街中がパニックに陥ったのは、二人の幼子でも解った。
龍神は弥生を無意識に抱きしめながら、弥生を守る。
すぐに窓の外の炎が上がる建物から、巨大な物体が映し出され、龍神と弥生はその場で腰を抜かした。
燃え上がる遠くの建物から、それは姿を表した。
それは方角からして、ブディスの森から迷い出たであろう怪物であった。
怪物の姿は、体長十メートルの上頭が犀、下頭が河馬の二つ頭を持つ四足歩行型のモンスター、犀河馬頭獣だった。
ライノバンクは手当たり次第、建物を崩壊しながら暴れまくっており、人や亜人達の叫び声が響いてきた。
「逃げなきゃ!」
龍神は泣きじゃくる弥生の手を取り、教室から逃げ出す。
「那賀くん、怖いよ」
「俺だって怖いよ!でも隠れなきゃ、死んじゃうよ!」
「やだ、死にたくない!」
逃げる龍神も涙を長し、二人は校舎の階段を降りる。
階段の下の倉庫に二人は身を隠し、息を潜める。
「ねぇ、気のせい?段々、音がこっちに近づいて来る?」
声を潜めながら、弥生が龍神に告げる。確かに破壊音がこの校舎に近づく感じがした。
「静かに!こっちに近づいて来てる!」
出来るだけ龍神は小声で忠告すると、突然、校舎が凄まじい破壊音を上げ、崩壊した。
崩れ落ちる壁が階段に迫り、慌てて龍神は弥生の手を引き脱出した。
二人は命からがら走り、校舎の外へと脱出した。
脱出した先には運動場があり、崩れた校舎からライノバンクの二つ頭が、龍神と弥生を獲物を捉える野生の視線で睨みつけていた。
二人は悲鳴を上げ腰を抜かした。龍神も弥生も泣き叫び、更に恐怖の余り失禁していた。
ライノバンクは二人を餌と見定め、大きな二つ口を開けながら二人に迫った。
アランミューア大陸一の森であり、森の内部には高等耳長亜人の秘境王国クルーズ・ガン・トムが存在する。秘境ゆえに確認する事は皆無であった。
その理由として、龍地球の子と呼ばれる十三龍の一頭、綠龍フォレストボイスの縄張り、また様々な魑魅魍魎なるモンスター達も棲息しており、誰もが危険を侵してまで潜入する事はなかったのだ。
そのブディスの森の南東部にバルキル市がある。
バルキル市は林業が盛んであり、木造建築の建物が軒並みにある街であり、人間、耳長亜人、寸胴亜人、小人等の人種が共存する治安の良い街ある。
その街の一等地にアースストライダー育成小学校があった。
母なる地球より転移された十八人の少年少女が、そこで学び生活をしている。少年少女達がこの校舎に来たのは昨年の四月、つまり少年少女達は小学二年生であった。
「那賀くんは将来は何になりたいの?」
校舎の中の一室、教室の中で一人の少女が少年に質問していた。教室の中にはその二人しかいなかった。
少年の名前は那賀龍神。七歳の小さくひ弱な感じが印象の少年だった。
「俺は、や、弥生ちゃんと結婚するー!」
龍神の告白に少女は顔を赤くして俯いた。
「は、恥ずかしい、よ……」
少女は両手で顔を隠しながら緊張を見せた。
ひ弱な龍神は他の生徒達によく苛められ、いつも一人ぼっちだったのだが、この少女だけはいつも一人ぼっちの龍神に話しかけてくれる、唯一、龍神が心を許すクラスメイトであった。
名を、日下部弥生と言い、彼女もアースストライダーとなる子供であった。
「だって、弥生ちゃんは優しいもん!だから将来、結婚するんだ!」
龍神は真顔で答えているのだが、まだ七歳である彼には結婚と言うものがどういうものかは、正直解ってはいなかった。ただ、弥生が好きと言う感情は本当だった。
「じゃあ、私が先生になったら結婚しよ」
「ええー?弥生ちゃん、先生になりたいの?」
弥生の将来の夢を聞き、龍神は驚きを見せると、弥生は無言で恥ずかしそうに頷いた。
「先生になったら、俺と結婚してくれるの?」
「…………うん」
「じゃあ、俺も先生になる!」
「本当に?」
誰もいない教室で幼い二人は、それぞれ約束をした。
その時……、突然、教室の窓の外から爆音が響き、一瞬にして遠くの建物が爆発した。
その一瞬の出来事に龍神は放心状態になり、弥生は耳を塞ぎながら泣き叫んだ。
窓の外から悲鳴が鳴り響き、何か巨大な生き物のような、もしくは重なりあった遠吠えのような声が響く。
街中がパニックに陥ったのは、二人の幼子でも解った。
龍神は弥生を無意識に抱きしめながら、弥生を守る。
すぐに窓の外の炎が上がる建物から、巨大な物体が映し出され、龍神と弥生はその場で腰を抜かした。
燃え上がる遠くの建物から、それは姿を表した。
それは方角からして、ブディスの森から迷い出たであろう怪物であった。
怪物の姿は、体長十メートルの上頭が犀、下頭が河馬の二つ頭を持つ四足歩行型のモンスター、犀河馬頭獣だった。
ライノバンクは手当たり次第、建物を崩壊しながら暴れまくっており、人や亜人達の叫び声が響いてきた。
「逃げなきゃ!」
龍神は泣きじゃくる弥生の手を取り、教室から逃げ出す。
「那賀くん、怖いよ」
「俺だって怖いよ!でも隠れなきゃ、死んじゃうよ!」
「やだ、死にたくない!」
逃げる龍神も涙を長し、二人は校舎の階段を降りる。
階段の下の倉庫に二人は身を隠し、息を潜める。
「ねぇ、気のせい?段々、音がこっちに近づいて来る?」
声を潜めながら、弥生が龍神に告げる。確かに破壊音がこの校舎に近づく感じがした。
「静かに!こっちに近づいて来てる!」
出来るだけ龍神は小声で忠告すると、突然、校舎が凄まじい破壊音を上げ、崩壊した。
崩れ落ちる壁が階段に迫り、慌てて龍神は弥生の手を引き脱出した。
二人は命からがら走り、校舎の外へと脱出した。
脱出した先には運動場があり、崩れた校舎からライノバンクの二つ頭が、龍神と弥生を獲物を捉える野生の視線で睨みつけていた。
二人は悲鳴を上げ腰を抜かした。龍神も弥生も泣き叫び、更に恐怖の余り失禁していた。
ライノバンクは二人を餌と見定め、大きな二つ口を開けながら二人に迫った。
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