下僕たちの忠誠心が高すぎて大魔王様は胃が痛い~ついに復活したので、もう一度世界を支配します〜

ああああ

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第五章

意外な組み合わせ!

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「到着ーっと。お、大丈夫か? ジェニー」

「は、はい……。なんとか……」

 ジェニーとベルンは、あっという間にユニコーンがいるというラチーナ山まで辿り着く。
 以前経験したドラゴンとは、また違う速さをジェニーは経験した。
 例えるならば、ドラゴンは空の速さ。蛇は陸の速さと言うべきだろう。
 景色を楽しむ暇さえ与えられなかった(正確には見ることは出来たが、速すぎてどっちにしろ楽しむことはできない)。

 ジェニーは蛇からよろけながら降りる。
 色々なものを消耗してしまったようだ。

「そ、そう言えばアイテムを忘れたと言っていましたけど、大丈夫なんですか?」

 ジェニーは移動中気になっていたことをベルンに尋ねる。
 本当は移動中に聞きたかったが、まともに会話できる状況ではなかったので、今になってしまった。

「あー、そうだった。どーしよっかなー。まあそこまで必要な物でもないしなー」

「あ、あの、何をお忘れになったんですか?」

「ん? 希薄な指輪ウィークリングってやつ。あれあると便利なんだよ」

 ベルンの口からは、かつて耳にしたようなアイテムの名前が出てくる。
 というか、アルフスたちが目の前で使っていたのを見たことがあった。
 耳だけでなく、目でも覚えているアイテムだ。

「あ、私それ知ってます! やっぱり、そんなに凄いアイテムなんですか?」

「まあな。凄いっていうより便利なんだよ。あれつけてると敵は油断するし、場所はバレねえし、アルフス様のお気に入りだし」

 ベルンから希薄な指輪ウィークリングの魅力を熱弁される。
 アルフスから教えてもらったことと、内容は殆ど同じだったが、それほどまでに便利だということだろう。

 そして、三つ目の情報にはやはり惹かれるものがあった。
 アルフスのお気に入り――それだけで、そのアイテムの価値はディストピア全体で爆発的に上昇する。

 戦闘に関係しないようなメイド人形ですら、そのアイテムを欲しがるだろう。
 ジェニーもその現象をリアルタイムで体験していた。
 もっと言うと、希薄な指輪ウィークリングに嫉妬心さえ覚えるほどだ。

「ま、今回は必要ねえだろ。獲物はユニコーンだし余裕余裕。ジェニーも安心しろよ、何たってこの俺様がいるからな」

「は、はい!」

 ジェニーは元気よく返事をする。
 経験したことのないような性格。しかしセリフ以上にベルンは頼もしかった。

 こういった場合、ジェニーからしたら、ヴィオラのような落ち着いた常識的な人物よりは、ベルンのようなリードしてくれるような人物の方がありがたい。
 性格の相性だろう。

 ジェニーは自分から引っ張っていくというよりかは、誰かについて行った方が適している。
 そういった意味では、どんどんリードしてくれるベルンは相性が良いのかもしれない。

 最初はどうなるか分からなかったが、意外とピッタリな組み合わせなのだろうか――ジェニーはそんなことを考えていた。

「まさかレフィカルさんは、こうなることを見越してこの組み合わせを……。すごい……」

 ジェニーはレフィカルの思惑を理解すると、信じられないほどの智力に感嘆し、冥府の八柱の代表を任されている悪魔にこれまで以上の尊敬の念を抱いていた。


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