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外伝 リュークとエリザヴェータ

勇者に詰め寄る

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「それにまだある。今までの度重なる愚行で収納カバンを3つも破壊し、その代わりに手配した冒険者リュークと、宮廷魔術師として随行していたレーツェルが行方知れずとなっている。これについてはどうなのだ?」
 勇者に詰め寄るように言い放つエムルント。
 この場の空気を感じ気まずそうにするイディオ。
 だが勇者は気が付かない。
「アルフォンシーナをどうしようと俺様の勝手だろう?ビーチェもそうだ。俺様のパーティーに参加した以上イディオとかわいがってやっただけだ。気にする事ではない。それにあの二人は戦闘中に穴へ落ちた。」
 そう言う勇者。
「ヒルベルト、人間の屑だな。因みに、宮廷魔術師のレーツェルだが・・・・本当に気が付かなかったのか?」
「何を言っているのか分かんねえな。」
「彼女はな、父上の密命を受け、ヒルベルトの素行を調べていたんだよ。しかもな、認識阻害の腕輪を装着してただろう?」
「は?はあ?・・・・ああ?!あの腕輪!おかしいとは思ったんだ!じゃあ・・・・あいつの正体って・・・・?」
「我が妹エリザヴェータだ!」
「げ!」
 ここにきてようやく自分の行いがまずかったと気が付いた勇者だが時既に遅し、周りを騎士達に囲まれる。
「今まで帝国を挙げて庇ってきたが、もう庇えきれん。ヒルベルト、皇族の籍をはく奪、今後はリーネルトの姓を名乗る事は一切許さぬ。そして、勇者は残念ながら女神様よりの授かりものでこちらがどうこう出来ぬ故、国外追放とする。」
「な、何!そんな事ができるものか!」
 驚く勇者。
 それに輪をかけて
「それにイディオ、てめえは侯爵の長男であるくせに、ヒルベルトを諫める立場にありながらそれを行わず、あまつさえヒルベルトと同じく最低の行動を繰り返した。よってヒルベルトと同じく国外追放、そして侯爵家からの除籍。せめてもの情けだ、ヒルベルトへの同行は許す。」
「何勝手な事を決めているんだあ!」
 怒るイディオだが、
「イディオ、これは俺達が決めた事ではない。てめえの父親が決めた事だ。さあ、2人共今すぐここを出て行け。上手くいけば5年後か10年後には戻ってこられるかもしれない。勇者としての務めをやってくれる事を願うよ。」
 そう言い放つとエムルントは去っていった。
 呆然とする勇者とイディオを複数の騎士が囲み、またその周りを魔術師が囲う形で強制的に城外へ追いやった。
 そしてこの後、とぼとぼと歩く勇者とイディオをあちこちで見られたが、どうやらインダルチャンス王国方面に向かったとの情報の後、行方が分からなくなった。
 この1年程後、世界中を巻き込む戦争が起き、皇帝は愛娘の行方が分からないまま失意のうちに没した。享年58歳。

 そして更に14年余りの年月が経ったが、2人の行方は分からなかった。
 
●  作者からのお知らせ ●

リュークの外伝は一旦此処までとします。
この後リュークがどうやって復活したのか?
と言った謎が残されたままですが、本篇からお察し下さい・・・・機会があればもう少し記載したいと思います。

さて、外伝の第2弾ですが、次回から投稿します。
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