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ギシ というベッドが軋む音で目が覚めた。
瞼を開く。
当然何も見えない。
しかし確実に、いる。
「――っ!」
とっさに叫ぼうとした口を、大きな掌が塞いだ。噛みつかれることを危惧したのか、今日は初めから頬を指で押さえられ、無理矢理口を開かされる。
侵入する舌に抵抗して腕を振り回そうとして、愕然とした。
腕が動かない。
感覚を辿ると、頭の上で一纏めにされて紐か何かで縛られているのだと分かった。
寝ている間に縛られたのか。
縛られながらも呑気に寝ていたのか。
力任せに引っ張っても、しっかり結ばれているようでビクともしない。
「んんーーっ!」
割られた口の中に、昨日と同じように舌が入り込む。
暴れて振りたてた足が壁を蹴った。
はっとして、立て続けに壁を蹴る。
これでもしヒューゴが侵入者Xでないならば、物音を不審に思って部屋を覗きに来る。来なければ、今まさにオレを襲っている犯人がヒューゴだ。
オレは口づけられながらも固唾を飲んで待った。しかしいくら待っても物音一つしない。
ということは。
「ヒューゴなのか?」
下手くそな息継ぎしか出来なくて苦しい。息を荒げながら侵入者Xと思われる男の名を呼ぶ。しかし男は呼んでも反応しなかった。
「はっ はっ」
唇が離れていき、なんとか失った酸素を体に取り入れる。こちらはこんなにも息も絶え絶えなのに、侵入者の方は全く息を乱していない。ただじっと、息を乱すオレを観察している気配がする。
そうしながら、侵入者Xが押さえたままだったオレの頬から手を離す。
今日はこれで終わりなのか。
しかし違った。
ギシギシとベッドが軋み、侵入者がベッドに乗り上げる。足が抑えられる形になり、もう壁を蹴ることもできない。
シャツの上から腹に触れた手が、それをたくし上げる。剥き出しになった肌が夜の空気の元に晒された。
何をする気なのか。
身を硬くし、男の顔があるであろう辺りを睨む。
一体どんな顔をし、どんな表情をしているのか。睨めどもそこにあるのは暗闇だけだ。
そんなオレの睨みなど意にも介さないように、侵入者Xの掌がオレの薄い胸板を撫でる。オレはできるかぎり身を竦めてその時間を耐えた。
何度も何度も肌を辿る指は熱い。気まぐれのようにくすぐられるヘソがくすぐったく、オレは体が跳ねそうになるのを唇を噛んで堪えた。
昨夜同様、しばらくそうしていると、気が済んだかのように気配が離れていく。
オレは部屋の扉が閉められ、完全に気配が途絶えたのを確認してからようやく深い息を吐いた。
ベッドに起き上がり、乱されたシャツを直していて気が付いた。いつの間にか縛られていた手が解放されている。手で辺りを探ると枕元に柔らかい布が落ちていて、それで縛られていたのだと分かった。
危険はとりあえず去ったようだが、緊張感が続いていて全く眠れそうにない。
オレはベッドに起き上がったまま、しばらく遠い獣たちの咆哮を聞いていた。
瞼を開く。
当然何も見えない。
しかし確実に、いる。
「――っ!」
とっさに叫ぼうとした口を、大きな掌が塞いだ。噛みつかれることを危惧したのか、今日は初めから頬を指で押さえられ、無理矢理口を開かされる。
侵入する舌に抵抗して腕を振り回そうとして、愕然とした。
腕が動かない。
感覚を辿ると、頭の上で一纏めにされて紐か何かで縛られているのだと分かった。
寝ている間に縛られたのか。
縛られながらも呑気に寝ていたのか。
力任せに引っ張っても、しっかり結ばれているようでビクともしない。
「んんーーっ!」
割られた口の中に、昨日と同じように舌が入り込む。
暴れて振りたてた足が壁を蹴った。
はっとして、立て続けに壁を蹴る。
これでもしヒューゴが侵入者Xでないならば、物音を不審に思って部屋を覗きに来る。来なければ、今まさにオレを襲っている犯人がヒューゴだ。
オレは口づけられながらも固唾を飲んで待った。しかしいくら待っても物音一つしない。
ということは。
「ヒューゴなのか?」
下手くそな息継ぎしか出来なくて苦しい。息を荒げながら侵入者Xと思われる男の名を呼ぶ。しかし男は呼んでも反応しなかった。
「はっ はっ」
唇が離れていき、なんとか失った酸素を体に取り入れる。こちらはこんなにも息も絶え絶えなのに、侵入者の方は全く息を乱していない。ただじっと、息を乱すオレを観察している気配がする。
そうしながら、侵入者Xが押さえたままだったオレの頬から手を離す。
今日はこれで終わりなのか。
しかし違った。
ギシギシとベッドが軋み、侵入者がベッドに乗り上げる。足が抑えられる形になり、もう壁を蹴ることもできない。
シャツの上から腹に触れた手が、それをたくし上げる。剥き出しになった肌が夜の空気の元に晒された。
何をする気なのか。
身を硬くし、男の顔があるであろう辺りを睨む。
一体どんな顔をし、どんな表情をしているのか。睨めどもそこにあるのは暗闇だけだ。
そんなオレの睨みなど意にも介さないように、侵入者Xの掌がオレの薄い胸板を撫でる。オレはできるかぎり身を竦めてその時間を耐えた。
何度も何度も肌を辿る指は熱い。気まぐれのようにくすぐられるヘソがくすぐったく、オレは体が跳ねそうになるのを唇を噛んで堪えた。
昨夜同様、しばらくそうしていると、気が済んだかのように気配が離れていく。
オレは部屋の扉が閉められ、完全に気配が途絶えたのを確認してからようやく深い息を吐いた。
ベッドに起き上がり、乱されたシャツを直していて気が付いた。いつの間にか縛られていた手が解放されている。手で辺りを探ると枕元に柔らかい布が落ちていて、それで縛られていたのだと分かった。
危険はとりあえず去ったようだが、緊張感が続いていて全く眠れそうにない。
オレはベッドに起き上がったまま、しばらく遠い獣たちの咆哮を聞いていた。
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