2 / 24
あれから
しおりを挟む
「なぁ⋯⋯金貸してくれよぉーノアー」
「嫌だよ。どうせ賭博でもしたいんでしょ?」
突っ伏す20代半ばの爽やかそうな青年。ウルフとまではいかない紅色の髪に中々ガタイのいい彼だが⋯⋯そこのあなた?絶対に間違えてはならない。
彼はそのルックスとはかけ離れた生活を送っている。
彼は日々賭博、娼館、酒の三大神器と言い放って日々クソッタレな生活を送っている所謂クソ人間というやつだ。
「良いじゃねぇかよノアぁ~。お前だって散々毎日暇そうに意味わかんねぇ武器だ道具買って気持ち悪ぃ笑み浮かべてんだからよぉ~」
「アリィ、いいかい? そういうのはしっかり貯金している人間が言う事さ。こう見えてもかなり貯金していて、その上で困らない程度に抑えているんだから趣味程度になっているんだ」
そう言って、ギシギシ言わせる机の上でヌンチャクをメンテナンスしているノアというのが俺の事だ。
ノアエインだからノア。
アリィ⋯⋯アインサリィサルだからアリィと、まぁ、あだ名というのはいつもこんなどうでもいいことから始まるものだろう。
今は春先で、この街⋯⋯『シャル』の街はだいぶ賑わいを見せる期間だ。俺達は冒険者ギルドの酒場で新人達が依頼ボードで戦争しているのをダシに酒を飲みながら、こうして金を貸す貸さないの問答を繰り返している。
「ていうかアリィ、こんな年下の子供に恥ずかしさとかないわけ?」
「ないな」
「清々しいな」
俺は成人したての16歳だ。アリィとは多分10個くらい違う。そんな相手に毎日毎日金を貸してくれというのは中々メンタルに来ると思っていたのだが⋯⋯そんな事はないようだ。
「だってお前、ここでもだいぶ前から噂が立ってたし、実際出会ったときからヤバかったもん」
「そう?」
「あぁ⋯⋯"異質"⋯⋯が正しいぞ。あっ、お姉さん!」
長い溜息と共にエールを頼むアリィ。
そこまで目立つ行為はしていなかったと思うけども。
「ガキの癖して胆力は凄まじいしよ、目付き⋯⋯とかなんつーかなぁ」
「出会ってすぐ言った言葉が今でも酷くて覚えているよ」
"ワリィそこの坊主!今金あるか!?"だったからな。
「あぁ、そんな事もあったなぁ~。まぁでも人生なんとかなるってもんよ」
まぁここまでで察しているとは思うが、彼は銀1ランクの冒険者であり、子供の頃からこの冒険者ギルドで活躍⋯⋯してないな。まぁ若い分類の中ではベテランだ。
"俺"と一緒で薬草の採取や清掃など、言ってしまえば何故冒険者ギルドでその依頼こなすの?というような依頼をこなして過ごしているのが俺達"ゴミ拾い二人組"だ。
「見ろよノア。あいつら、これから輝かしいキャリアを送る事になりそうだぜ?」
「そう言わないの。中にはライアンみたいにしっかり今でも頑張っている男もいるじゃん」
鼻で見ろよと依頼ボードの方へと動かし、軽く嘲笑混じりに見つめるアリィ。
まぁ言いたい事はわかる。
「多分⋯⋯この後、は⋯⋯」
俺の言葉の続きをしっかりと演じるかのように、受付へと向かう若者(俺もなんだけど)。
「俺達は英雄伝説だ!この依頼を受けさせろ!」
依頼紙を叩きつけ、フンと鼻息を荒くさせてドヤ顔を噛ましている。
俺とアリィは目が合うと小さく笑いながらエールを手に乾杯する。
「去年は半分以上が死んだからなぁ⋯⋯勿体ねえ」
「まぁ仕方ないってやつだよ」
なんとなく分かるだろうが、春にはいっぱいの若者冒険者が登録をしにくる。地球で言うところの入学式や入社式みたいなものだな。
新しい世界はお約束の世界⋯⋯貴族様が支配する世界だ。
ほとんどの平民は冒険者で成り上がるか、商人やらなんやらの多大な功績を残さないとかしないと金持ちの仲間にはなれないほど格差が存在している。
だからほとんどの人間は冒険者になって荒稼ぎをする事を夢見て、春になると上京してきた若者たちがこうして現れ、夏までに3分の1までに減少する。
そうして減っていった連中から更に引き抜きにあって残った奴らは生きていけなくなり、田舎へ帰っていく、というのが大体の流れってやつ。
「リーファちゃん苦笑いしてるし」
「ほんとだ」
リーファちゃん。そう呼ばれる彼女はかなり人気の受付嬢であり、俺とアリィはよく喋る。
仲の良い俺達は彼女が今必死に取り繕っている笑みの下に引き攣っているであろう気持ちを察し、それを見て酒をグイッといく。
「なぁ──」
「金は貸さんぞ」
「イケると思ったんだがなぁ⋯⋯」
「お前も少しは金を稼げ。女だ何だ言う前にな」
「ノアも怪しい商売ばっかしやがって」
「まぁそれで並以上なんだからいいだろう?」
「まぁなぁ⋯⋯」
春先、俺達はここぞとばかりにだらける──そんな季節だ。
「嫌だよ。どうせ賭博でもしたいんでしょ?」
突っ伏す20代半ばの爽やかそうな青年。ウルフとまではいかない紅色の髪に中々ガタイのいい彼だが⋯⋯そこのあなた?絶対に間違えてはならない。
彼はそのルックスとはかけ離れた生活を送っている。
彼は日々賭博、娼館、酒の三大神器と言い放って日々クソッタレな生活を送っている所謂クソ人間というやつだ。
「良いじゃねぇかよノアぁ~。お前だって散々毎日暇そうに意味わかんねぇ武器だ道具買って気持ち悪ぃ笑み浮かべてんだからよぉ~」
「アリィ、いいかい? そういうのはしっかり貯金している人間が言う事さ。こう見えてもかなり貯金していて、その上で困らない程度に抑えているんだから趣味程度になっているんだ」
そう言って、ギシギシ言わせる机の上でヌンチャクをメンテナンスしているノアというのが俺の事だ。
ノアエインだからノア。
アリィ⋯⋯アインサリィサルだからアリィと、まぁ、あだ名というのはいつもこんなどうでもいいことから始まるものだろう。
今は春先で、この街⋯⋯『シャル』の街はだいぶ賑わいを見せる期間だ。俺達は冒険者ギルドの酒場で新人達が依頼ボードで戦争しているのをダシに酒を飲みながら、こうして金を貸す貸さないの問答を繰り返している。
「ていうかアリィ、こんな年下の子供に恥ずかしさとかないわけ?」
「ないな」
「清々しいな」
俺は成人したての16歳だ。アリィとは多分10個くらい違う。そんな相手に毎日毎日金を貸してくれというのは中々メンタルに来ると思っていたのだが⋯⋯そんな事はないようだ。
「だってお前、ここでもだいぶ前から噂が立ってたし、実際出会ったときからヤバかったもん」
「そう?」
「あぁ⋯⋯"異質"⋯⋯が正しいぞ。あっ、お姉さん!」
長い溜息と共にエールを頼むアリィ。
そこまで目立つ行為はしていなかったと思うけども。
「ガキの癖して胆力は凄まじいしよ、目付き⋯⋯とかなんつーかなぁ」
「出会ってすぐ言った言葉が今でも酷くて覚えているよ」
"ワリィそこの坊主!今金あるか!?"だったからな。
「あぁ、そんな事もあったなぁ~。まぁでも人生なんとかなるってもんよ」
まぁここまでで察しているとは思うが、彼は銀1ランクの冒険者であり、子供の頃からこの冒険者ギルドで活躍⋯⋯してないな。まぁ若い分類の中ではベテランだ。
"俺"と一緒で薬草の採取や清掃など、言ってしまえば何故冒険者ギルドでその依頼こなすの?というような依頼をこなして過ごしているのが俺達"ゴミ拾い二人組"だ。
「見ろよノア。あいつら、これから輝かしいキャリアを送る事になりそうだぜ?」
「そう言わないの。中にはライアンみたいにしっかり今でも頑張っている男もいるじゃん」
鼻で見ろよと依頼ボードの方へと動かし、軽く嘲笑混じりに見つめるアリィ。
まぁ言いたい事はわかる。
「多分⋯⋯この後、は⋯⋯」
俺の言葉の続きをしっかりと演じるかのように、受付へと向かう若者(俺もなんだけど)。
「俺達は英雄伝説だ!この依頼を受けさせろ!」
依頼紙を叩きつけ、フンと鼻息を荒くさせてドヤ顔を噛ましている。
俺とアリィは目が合うと小さく笑いながらエールを手に乾杯する。
「去年は半分以上が死んだからなぁ⋯⋯勿体ねえ」
「まぁ仕方ないってやつだよ」
なんとなく分かるだろうが、春にはいっぱいの若者冒険者が登録をしにくる。地球で言うところの入学式や入社式みたいなものだな。
新しい世界はお約束の世界⋯⋯貴族様が支配する世界だ。
ほとんどの平民は冒険者で成り上がるか、商人やらなんやらの多大な功績を残さないとかしないと金持ちの仲間にはなれないほど格差が存在している。
だからほとんどの人間は冒険者になって荒稼ぎをする事を夢見て、春になると上京してきた若者たちがこうして現れ、夏までに3分の1までに減少する。
そうして減っていった連中から更に引き抜きにあって残った奴らは生きていけなくなり、田舎へ帰っていく、というのが大体の流れってやつ。
「リーファちゃん苦笑いしてるし」
「ほんとだ」
リーファちゃん。そう呼ばれる彼女はかなり人気の受付嬢であり、俺とアリィはよく喋る。
仲の良い俺達は彼女が今必死に取り繕っている笑みの下に引き攣っているであろう気持ちを察し、それを見て酒をグイッといく。
「なぁ──」
「金は貸さんぞ」
「イケると思ったんだがなぁ⋯⋯」
「お前も少しは金を稼げ。女だ何だ言う前にな」
「ノアも怪しい商売ばっかしやがって」
「まぁそれで並以上なんだからいいだろう?」
「まぁなぁ⋯⋯」
春先、俺達はここぞとばかりにだらける──そんな季節だ。
34
あなたにおすすめの小説
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」
その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ!
「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた!
俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる