こちら、売買出来ます。またのご利用をお待ちしております。

ちょす氏

文字の大きさ
14 / 24

しつこい類友

しおりを挟む
 「おーいー! ノアー!」
 「なぁ、ノアぁー!」

 「ううううるさいなァァァ!!朝から誰だよ!」

 おはようございます。見ての通り、下手したらプライバシーの欠片もない程部屋の前まで平気でやってきては、こうして近所迷惑をしてくるおじさんがいるのです。

 「俺だよ? アリィくんだよ!」
 「いつからそんな軽口を叩けるようになったっけ!?」
 「ワリィワリィ、開けてくれよ~」

 朝からなんだよ。全く。

 「ん?」
 「よっ!」
 「すまんな。ノア」
 「リドルの兄さん? 二人してどうしたの。まぁとりあえず入ってよ」

 コイツだけだったらあれだが、リドルまで居るとは思わなかった。暴言は撤回だ。
 寝ぼけながらだが、時間を見る。
 まだ朝の6時半だが⋯⋯?

 「おう、すまんなノア」
 「俺の時だってこれくらいやってくれよ~」
 「うっせぇよお前は!」

 とりあえず上等な水をお出ししてベッドに座る。

 「それで?昨日のあれが忘れられず、リドル兄さんにその話題を出したと」
 「おう」
 「リドルの兄さんはそれを聞いて飯が食いたくなったのが2時間前くらいだと」
 「そうだな」
 「さすがにあれだから朝方にすればいいんじゃね?と」
 「「おう」」

 さすがに脳筋すぎんか!?
 昼間でいいじゃねぇかよ!
 
 「ここでどうやって作るんだ?アリィ」
 「そりゃあ今から行くんだよ。俺の家に」
 「あぁ⋯⋯じゃなくて」
 「ん?」
 「今日の俺の予定とか知らねぇって?」
 「どうせお前も暇だろぉ?」

 ⋯⋯⋯⋯はい。

 

 「ノアよ、お前さん⋯⋯うちの娘と結k⋯⋯」
 「しませんよ!?」

 二人は細身ではあるが、肉体はかなり鍛えられている。
 よって作る茶碗蒸しの量も必然的に増えていく。
 容器が小せえ。

 「のうアリィ、お前魔術で容器とか作れんのか?ノアの労力はかなりの物になりそうだぞ?このままでは」

 隣で覗いていたリドルが有り難いお言葉を掛けてくれる。

 「魔力使いたくねぇ⋯⋯」
 「殺すぞお前」
 「はいはい、作ればいいんでしょ?」

 まぁここで少し説明しよう!
 この世界には魔術師、というものが存在する。
 この世界の人間には基本的には魔力が体内に流れているのだが、それを使って出来るのが魔術なのだ。

 しかし、そこで疑問が生じる。
 ならみんな使えるじゃん。 
 Perfect。そうです。みんな使えるんです。
 しかし? その術式や意味、魔力の大小によっても変わってくるので、ほとんど貴族しか使えないというのが現状でございます。

 ギフトでも行使可能だ。
 しかしそれは、『魔法』になる。
 よって魔術ではない。

 魔術は体系化しているし、魔力と知識があれば再現可能な所謂プログラムに近い物に対し、魔法は願うだけで魔力を使えば具現化させる事ができる正真正銘チートでございます。
 ま、ギフトでそこまでの能力を与えられている人間が果たしてどれだけいるか、だが。

 「制御バージ
 「おぉ⋯⋯本業の力はさすがに驚くな」

 俺もしっかりと魔術を見るのは初めてだが、土の魔術みたいだ。机の上で用意された土達が物理法則を無視した動きで形成を始める。

 「ふぅ、とりあえず酒が⋯⋯」
 「バカタレが。容器を作らんかい!」
 「はいはい作るよ」
 
 鉄を持ってきては俺が要望した感じのザルに近いものを作成してくれる。
 魔術は不思議だ。

 「ほいよ、どう?」
 「ん。大丈夫なはず」
 「溶けたりするのがアレかと思うから、耐熱は付与してあるから」

 やべぇ。こいつ優秀だな?さては。

 「ふぅ⋯⋯」
 
 朝の伸びを行い、準備完了。
 そしたらこっちもやっていきますか。


 「ほいよ、大きめの茶碗蒸し。まずは二人分。このままドンドン作るから」
 「「おぉ⋯⋯!」」

 良い歳こいたおじさん二人が茶碗蒸しに驚いているのは面白い光景だが、鏡張りに張り付いて食いつくように見ている子供の絵面のように、この世界では味が死んでいる。
 まじで匂いと旨味という成分はマジでない。

 「ほぉ! ノア、料r⋯⋯」
 「なりませんよ!?」
 「専属で来るなら特別待遇なんだがな⋯⋯」
 「おいリドル! そんなこと言ってないで、早く食えって! ぜってぇ虜になるから!」

 隣でかき込むアリィに、リドルも思わず目をぱちくりさせてその異様な光景に声が出ていない。

 「まさかあのバカ舌で有名なコイツが、こんな顔をするとは」
 「とりあえずリドルの兄さんもどうぞ」
 
 そこの馬鹿と違って、リドルは綺麗に見た目を堪能し、スプーンで掬う。やはり固まっているがぷるぷるしている現象に驚いているようだ。

 「っ!」
 
 髭がブワッと揺れた。リドルは髭をメチャクチャ大事にしている。髭に付いた食べかすを気にせずに淡々と口に入れていく様子は、言うまでもないだろう。

 「アリィが言うのも頷ける。単純な味ではない繊細さがある。しかも軽くてあっさりもしておる。女が食べるにはもってこいの食事になりそうだな」
 「しかも、卵が入ってるから、栄養も良いよ」
 「⋯⋯ノアお主、栄養の有無も理解しておるのか?一体どこで勉学など学んだのだ?」

 前世⋯⋯なんて言えん。あはは。

 「まぁ色々?」
 「コイツの秘密主義は今に始まった事じゃないだろ。ま、冒険者なんてみんな訳ありだからな」
 「否定できんな。俺も早くから親を亡くしておるし、パーティーの奴らも似たようなもんだ。ビビとレガッタ、あと数人の今若いのは田舎から出てきたくらいだからな。あとは皆腐った家庭から脱出したくて集まる世界だ」
 
 親が愛情を持って育てているのなんて一部。みんな大体金や地位の為に仕方なく子供を作ったりするくらいだ。
 なんつー世界だよなんて言いたいが、これが現実だと知って、だいぶ最初は萎え散らかした記憶しかない。

 「ノア、俺が言うのもなんだが、食わなくて良いのか?」
 「どうせまだまだ食いたいんでしょ?」
 「「おう」」
 「はいはい。ある程度までは後回しって事で」
 
 これが旨味の余裕ってやつよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。 死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった! 呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。 「もう手遅れだ」 これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!

異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」 その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ! 「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた! 俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...