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過去との対話_有栖_6
有栖_6-5
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周囲もいつかは、と考えていた大問題が起きたのはそれから一ヶ月後のことだった。
我孫子がまたも大きな事件を解決し、実績を残し、その祝勝会が強制参加で開かれた。参加しなかったことについて後日ネチネチと文句を言われるのが嫌で仕方なく参加している人が半分、我孫子に媚びを売って自身の出世に繋げたい人が半分、とまぁ、心から祝勝していない会だった。
当然、『私』も参加していた。とはいえ、一次会で帰るつもりだった――最初は。
その祝勝会はユースティティアの近くにある個人経営の居酒屋を貸し切って行われた。ここは忘年会などでもよく使われる場所だったらしく、幹事はどこを選んでも文句を言われることを解っていたからこそ味にも酒の種類にも実績がある無難な選択をしたのだろう。仮に行ったことのない場所を選んだとしても値段や味に一つでも納得のいかないところがあれば文句を言われ、自分が行ったことがある自信のある場所を選んでも否定されれば嫌な気分になる……それは誰だって避けたい。
「カンパーイ」
その合図で始まった祝勝会は前半は通常の飲み会だった。我孫子にアピールしたい人達は彼の近くに座り、関わりたくない人は遠くにグループを作って座る。そして、歓談を交えながら、コースで出てくる料理をシェアしていく。
「相変わらず普通の味だな。まぁ、普通が一番か?」
店主にも聞こえるような失礼な発言。
「幹事ももうちょっと新規開拓にチャレンジしろよな」
気にくわなかったら何日も文句を言うのに誰もチャレンジするわけない。
我孫子の無駄に大きい声に誰もが心の中で同じことを考えていたと思う。しかも、たちの悪いことに我孫子は酒豪だった。少しでも飲んで静かになるなら皆もどれだけ助かっただろうか。神様は才能を与えるときに適性審査はしていないらしい。
祝勝会が中盤になったあたりから、少し空気が変わった。
「女に酌してもらいてぇな」
我孫子がそんなことを言ったのである。そして悲劇的なことに、その場にいる女性は『私』と隣の席の女子隊員しかいなかった。また、『私』への嫌がらせが始まるのか、とうんざりしていたが、我孫子は予想外のことを言った。
「有栖じゃない方の女……俺の横に来て、酌しろよ」
我孫子がまたも大きな事件を解決し、実績を残し、その祝勝会が強制参加で開かれた。参加しなかったことについて後日ネチネチと文句を言われるのが嫌で仕方なく参加している人が半分、我孫子に媚びを売って自身の出世に繋げたい人が半分、とまぁ、心から祝勝していない会だった。
当然、『私』も参加していた。とはいえ、一次会で帰るつもりだった――最初は。
その祝勝会はユースティティアの近くにある個人経営の居酒屋を貸し切って行われた。ここは忘年会などでもよく使われる場所だったらしく、幹事はどこを選んでも文句を言われることを解っていたからこそ味にも酒の種類にも実績がある無難な選択をしたのだろう。仮に行ったことのない場所を選んだとしても値段や味に一つでも納得のいかないところがあれば文句を言われ、自分が行ったことがある自信のある場所を選んでも否定されれば嫌な気分になる……それは誰だって避けたい。
「カンパーイ」
その合図で始まった祝勝会は前半は通常の飲み会だった。我孫子にアピールしたい人達は彼の近くに座り、関わりたくない人は遠くにグループを作って座る。そして、歓談を交えながら、コースで出てくる料理をシェアしていく。
「相変わらず普通の味だな。まぁ、普通が一番か?」
店主にも聞こえるような失礼な発言。
「幹事ももうちょっと新規開拓にチャレンジしろよな」
気にくわなかったら何日も文句を言うのに誰もチャレンジするわけない。
我孫子の無駄に大きい声に誰もが心の中で同じことを考えていたと思う。しかも、たちの悪いことに我孫子は酒豪だった。少しでも飲んで静かになるなら皆もどれだけ助かっただろうか。神様は才能を与えるときに適性審査はしていないらしい。
祝勝会が中盤になったあたりから、少し空気が変わった。
「女に酌してもらいてぇな」
我孫子がそんなことを言ったのである。そして悲劇的なことに、その場にいる女性は『私』と隣の席の女子隊員しかいなかった。また、『私』への嫌がらせが始まるのか、とうんざりしていたが、我孫子は予想外のことを言った。
「有栖じゃない方の女……俺の横に来て、酌しろよ」
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