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第一章 正常性バイアス
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「ルイくん。このカッター、変だよ」
六月の終わりごろ。外は暑くて、湿気が多くてジメジメしている時期だったからバイト先の倉庫整理はクーラーも効いてて、客から面倒なことを言われることもないから楽だなぁ、とか思っていたら、バイト先の先輩のヒメコさんが入荷商品を数えている僕に話しかけてきた。
ヒメコさんこと青野姫子(あおのひめこ)さんは僕より年齢が二つ上の大学一年生。
モデルのような体型で髪型はお団子頭。そして、大きな目に青い縁のメガネが特徴的。気さくで優しくて、僕が密かに憧れている先輩だ。そんな先輩は困惑した表情で右手に握ったカッターナイフを見つめていた。
あの白いカッターナイフ。
ヒメコさんが倉庫にある商品の確認などで開梱作業をする際、忘れたと言ったから貸した僕の白いカッターナイフだ。
「変って何がですか?」
「あれがないのよ」
「あれ?」
「ほら、カッターの刃を折るやつ」
そう言って、僕はヒメコさんからカッターナイフを受け取る。
ホームセンターの業務はとにかくカッターをよく使う。だから、刃がボロボロになって切りにくくなることなんて、よくあることだ。僕はまだこのカッターで刃を折ることをしたことはなかったけど、時期的に切りにくくなる頃だったんだと思う。だから、ヒメコさんは刃を折ろうとしたんだ。
受け取ったカッターは、さっきまで使っていたからヒメコさんの人肌の温もりが持ち手部分に残っていた。まぁ、一瞬で消えたけど。いや、それはどうでもよくて、僕はカッターの刃が出る部分の反対側。刃を交換する際に取り外すキャップ部分を確認する。一般的なカッターはそこに刃を折る細い穴があるからだ。
「ない……ですね」
「でしょ?」
キャップ部分には刃を折る穴はなかった。塞がっていた。というか、このキャップ取れないし、何だコレ。
「不良品かな? 何処で買ったの?」
「あー、どこだったかなぁ」
いや本当に何処で買ったんだコレ? というか、本当に買ったのか?
六月の終わりごろ。外は暑くて、湿気が多くてジメジメしている時期だったからバイト先の倉庫整理はクーラーも効いてて、客から面倒なことを言われることもないから楽だなぁ、とか思っていたら、バイト先の先輩のヒメコさんが入荷商品を数えている僕に話しかけてきた。
ヒメコさんこと青野姫子(あおのひめこ)さんは僕より年齢が二つ上の大学一年生。
モデルのような体型で髪型はお団子頭。そして、大きな目に青い縁のメガネが特徴的。気さくで優しくて、僕が密かに憧れている先輩だ。そんな先輩は困惑した表情で右手に握ったカッターナイフを見つめていた。
あの白いカッターナイフ。
ヒメコさんが倉庫にある商品の確認などで開梱作業をする際、忘れたと言ったから貸した僕の白いカッターナイフだ。
「変って何がですか?」
「あれがないのよ」
「あれ?」
「ほら、カッターの刃を折るやつ」
そう言って、僕はヒメコさんからカッターナイフを受け取る。
ホームセンターの業務はとにかくカッターをよく使う。だから、刃がボロボロになって切りにくくなることなんて、よくあることだ。僕はまだこのカッターで刃を折ることをしたことはなかったけど、時期的に切りにくくなる頃だったんだと思う。だから、ヒメコさんは刃を折ろうとしたんだ。
受け取ったカッターは、さっきまで使っていたからヒメコさんの人肌の温もりが持ち手部分に残っていた。まぁ、一瞬で消えたけど。いや、それはどうでもよくて、僕はカッターの刃が出る部分の反対側。刃を交換する際に取り外すキャップ部分を確認する。一般的なカッターはそこに刃を折る細い穴があるからだ。
「ない……ですね」
「でしょ?」
キャップ部分には刃を折る穴はなかった。塞がっていた。というか、このキャップ取れないし、何だコレ。
「不良品かな? 何処で買ったの?」
「あー、どこだったかなぁ」
いや本当に何処で買ったんだコレ? というか、本当に買ったのか?
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