有栖と奉日本『カクれんぼ』

ぴえ

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第四章:もういいかい??

奉日本_4-2

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「楓ちゃんは来ないですか?」
「来ないですね」
 食後のコーヒーのおかわりを準備しながら奉日本は答えた。既に漂っていた香ばしい匂いはお湯をドリップした瞬間から上書きされていく。
 奉日本が聞いた情報は有栖が一杯目のコーヒーを飲んでいるときに、一緒に提供した。彼女は驚きながらもコーヒーの香りと共に頭の中で思考を巡らせ、カップの中が空になると何かしらの着地点へとたどり着いたのか、それとも更に思考を深める為かおかわりを要求した。
「……避けられているかも」
 ポツリ、と呟いた有栖に奉日本は暗黙で同意する。
 楓は常連の一人であり、日中のカフェタイムは学校の時間と被っているので来ることは不可能に近いが、夕方にバーとして開けたぐらい時間帯に彼氏と一緒に来ることは多かった。バーとはいえ夜が深まる前は入りやすい洒落た店、と彼女に言ってもらえた記憶がある。
 だが、その利用もここ最近はない。自身の店に飽きた、という悲しい結論ではないことを奉日本は願うばかりだ。そして、それが彼の杞憂であることを裏付けるのが、情報の擦り合わせで聞いた今回のユースティティアの調査内容とそこから導かれる結果の推測である。

 ――日下部という生徒。桜華学園でのイジメ調査。そして……

 奉日本は一つの結論にたどり着いている。それは彼が桜華学園の情報――人間関係や裏のことまで情報に精通しているからこそ、有栖より先にたどり着いていた。
 しかし、一方で有栖の表情から、彼女が直感的に何かに勘付いているのが奉日本には解る。彼が先にゴールしたのは情報を予め豊富に有していた、というフライングのようなスタートを常に切っているからだ。
 しかし、奉日本は思う。

 ――いずれ、いや、もうすぐ彼女もたどり着くでしょうね。おそらく、同じ『答え』に。

「ごちそうさまでした」
 コーヒーを飲み終えた有栖が席を立つ。
「今から、もう一仕事ですか?」
「えぇ。後輩も頑張ってますので」
「お気をつけて」
「あの……楓ちゃんと話をするとき、この場所を借りてもいいですか?」
 有栖は真剣な表情のまま続ける。
「状況によっては、ユースティティアでは聞きにくいかもしれないので」
 彼女が気にしているのは、楓の父親がいるユースティティアでは、という意味だということを奉日本は理解した。少し考えたあと、
「常連さん二人に関わることですから、協力しますよ」
 そう言って、彼は有栖に微笑んだ。
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