有栖と奉日本『カクれんぼ』

ぴえ

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第五章:もういいよ

時任_5-4

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 百井の言葉を聞いて、時任は全てを察した。

 ――いや、違う。逃げて来たんだ。見て見ぬふりをしてきたんだ。

 日下部が自殺をしたとき、女子生徒の制服を着ていたことを時任は知っていた。情報は漏れており、彼の耳にも当然のように届いていたのだ。

 ――日下部の死に何かしらの意味があったのは気づいていた。だけど、知ろうとはしなかった。知るのが怖かったから。

 今更、時任は後悔する。いや、ずっと後悔していたのだ。ただその感情に蓋をしてきた。今はその蓋が壊れ、溢れ出ているだけだ。

 ――そもそも、あのとき……日下部の気持ちを知るときに、百井先生を介したときも逃げたのだ。自らの気持ちを伝えず、自ら日下部の気持ちを知ろうとはしなかった。逃げ続けた結果――日下部を絶望させて、死なせてしまったんだ。

 百井が日下部に様々なことを伝えたあと、彼は全てを信じ、すぐに死を選択したわけではない。それまでに、彼は時任と百井が親しくしている場面を見ただろう。真相を定かでは無いが、交際していることも察したかもしれない。
 ならば、百井の言葉を、時任の言葉として日下部が受けとり、絶望してしまうのは一つの結果として不可解なことではない。

 ――全ては僕が招いたことだ。好きだったなら、逃げなければ良かったんだ。

 後悔を噛みしめる時任の前に、誰かが近寄った。自然と俯いていた彼は顔を上げる。
「悲劇の主人公ぶってんじゃねぇよ」
 目の前で、そう言ったのは――ユースティティアの反保だった。
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