20 / 81
第二章:決断
虹河原_2-9
しおりを挟む
現在、一色が虹河原を殺害した容疑で追われている、と聞いたとき虹河原の顔は蒼白となった。彼が気を失っていた約半日の間に世界が崩壊してしまったのではないか、と感じるぐらいに事態は加速するように動き、一人取り残されてしまっている。渦中の人間であるはずなのに、対岸の火事を見ているような感覚だった。
「では、俺が警察に戻って今流れている情報が間違っていることを証明してきます。そうすれば、一色さんの嫌疑は晴れますよね?」
虹河原の切実な言葉に真木は明らかな葛藤を表情に出しながらも、首を横に振った。それは、彼の言っていることは間違いないのだが、それをするということは天使を騙した工作がバレてしまうことでもあった。すなわち実行した当人の存在も気づかれる可能性が高い。この唯一、天使を騙せている、という状況は千載一遇の機会であり、虹河原が生存していることは天使が高度な情報操作を行なっていることの証拠になる。それは間違いなく大きな武器であり、切り札でもあった。
故に、虹河原の提案はこれまで一色が積み重ねてきた作戦を無駄にしてしまう。一色が天使を止めることができなかったときの切り札を失ってしまう。命は何よりも重いもののはずなのに天秤にかけたときに針が傾かないのは残酷だった。一色がそうしないように、と頼まれた言葉も針を止めているように思える。
仮に虹河原の提案を実行しても、天使は工作し、仕切り直しになる。そうなったとき、こちらの手札はなくなり、再び揃える前に今度は全てを終わらせてしまうだろう。そうなると勝ち目は完全に潰えることは想像に容易かった。
一色から全てを聞いている真木はそのことを話し、その上で、
「まだ天使を止めれてはいないこの状況では、天使が騙せていることを利用して裏で動くことができる。もちろん、一色が現状を打破する可能性はある。それを信じてこっちはこっちで動くしかない」
そう誰よりも自分達が動くことが無駄であってほしいことを願いながら口にした。
「では、俺が警察に戻って今流れている情報が間違っていることを証明してきます。そうすれば、一色さんの嫌疑は晴れますよね?」
虹河原の切実な言葉に真木は明らかな葛藤を表情に出しながらも、首を横に振った。それは、彼の言っていることは間違いないのだが、それをするということは天使を騙した工作がバレてしまうことでもあった。すなわち実行した当人の存在も気づかれる可能性が高い。この唯一、天使を騙せている、という状況は千載一遇の機会であり、虹河原が生存していることは天使が高度な情報操作を行なっていることの証拠になる。それは間違いなく大きな武器であり、切り札でもあった。
故に、虹河原の提案はこれまで一色が積み重ねてきた作戦を無駄にしてしまう。一色が天使を止めることができなかったときの切り札を失ってしまう。命は何よりも重いもののはずなのに天秤にかけたときに針が傾かないのは残酷だった。一色がそうしないように、と頼まれた言葉も針を止めているように思える。
仮に虹河原の提案を実行しても、天使は工作し、仕切り直しになる。そうなったとき、こちらの手札はなくなり、再び揃える前に今度は全てを終わらせてしまうだろう。そうなると勝ち目は完全に潰えることは想像に容易かった。
一色から全てを聞いている真木はそのことを話し、その上で、
「まだ天使を止めれてはいないこの状況では、天使が騙せていることを利用して裏で動くことができる。もちろん、一色が現状を打破する可能性はある。それを信じてこっちはこっちで動くしかない」
そう誰よりも自分達が動くことが無駄であってほしいことを願いながら口にした。
2
あなたにおすすめの小説
有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第十話。
『デスペラード』を手に入れたユースティティアは天使との対決に備えて策を考え、準備を整えていく。
一方で、天使もユースティティアを迎え撃ち、目的を果たそうとしていた。
平等に進む時間
確実に進む時間
そして、決戦のときが訪れる。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(X:@studio_lid)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【戦国時代小説】 甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助
蔵屋
歴史・時代
わたしは、以前、甲斐国を観光旅行したことがある。
何故、甲斐国なのか?
それは、日本を象徴する富士山があるからだ。
さて、今回のわたしが小説の題材にした『甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助』はこの甲斐国で殆どの戦国乱世の時代を生き抜いた。そして越後の雄•上杉謙信との死闘は武田信玄、山本勘助にとっては人生そのものであったことだろう。
そんな彼らにわたしはスポットライトを当て読者の皆さんに彼らの素顔を知って頂く為に物語として執筆したものである。
なお、この小説の執筆に当たり『甲陽軍鑑』を参考にしていることを申し述べておく。
それでは、わたしが執筆した小説を最後までお楽しみ下さい。
読者の皆さんの人生において、お役に立てれば幸いです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる