32 / 81
第四章:共同戦線
ユースティティアと警察_4-1
しおりを挟む
共同戦線が正式になったことで、ユースティティアと警察は本格的に作戦会議を始めた。それは残り僅かとなったアースの作戦を共有することでもあった。
「場所はHALビル。天使達に会心の一撃を与えたから、基本的には乗り込んで一網打尽にするだけ」
作戦を聞きながら、有栖は自身で理解したことを言葉にして繰り返す。
「概ねそれで合っている。だが、手負いとはいえ天使は手強い。それは解るだろ?」
虹河原が有栖を肯定し、彼女に天使について尋ねた。彼自身、彼女の戦闘能力は高く評価している。そして、正面から天使と戦った彼女が一番、天使の恐ろしさを解っているはずだった。
「そりゃもう身に沁みて解ってる。けど、物怖じするつもりはない。リベンジできるなら今すぐにでも乗り込んで戦いたい」
「その気持ちは心強いが、まだすべきことがある。それにユースのダメージも可能な限り回復した上で挑みたい」
「そうですね。誰かにボコボコにされたので。痛くはありませんけど」
虹河原の言葉に反保が皮肉のように呟く。
「おいおい、お互いさまだろ? こっちだけ怪我してんだ」
その皮肉を聞き逃さず、飛田が吠える。しかし、反保は馬耳東風だった。
会議室が活気に満ちてきた中で、京は少し笑顔を見せながらも虹河原に質問をした。
「天使を逮捕する名目はあるの? 仮にここで天使を倒しても公表すべき罪がないと糾弾されるのはこちらになるわ。まさか無法で処するとか言わないわよね」
「はい。天使には警察とユースティティアの治安維持の名目で正式な罪で逮捕します。とはいえ、一色さんの殺害の関してはデータ改竄されているので現時点では無理でしょう。証拠がない。いや、天使がこれまで行ってきた罪に関しては全てが改竄されて証拠がない、といって過言ではないでしょう」
「だとしたら、どうするつもり?」
「そんな天使が唯一、改竄を行った、という証拠を残しています。それが――私自身です」
「そうか。虹河原くんは公表では死んだことになっているものね」
京の言葉に虹河原が頷く。
現在、虹河原はユースティティアの一色により殺害されたことになっている。それは天使により発表されたものだった。だが、実際には虹河原は生きている。これは警察が、天使が虚偽の情報を公表したことでもある。
「あのときの私の死体はそっくりに整形されたダミーの死体だそうです。血液などの情報を調べても私のデータベースと一致するようになっていたそうなので、それはアース博士がそのように処理したのでしょう。彼女ならデータベースをハッキングして偽のデータを本物のように見せるのは容易い」
「それでまずは逮捕する。そのあと余罪を追求するのはいいとして、データが改竄された今、それ以上の罪を問えるのかしら?」
京の懸念は当然だった。今は『レシエントメンテ』によって天使の都合の良いデータが揃った世界だ。一度、捕まえたとしてもさらに重罪を問えなければ意味がない。
「そこで最後の策です。これを実行すれば天使を重罪に問える。その為にはユースティティアの協力が不可欠なんです。それは――」
虹河原は今回の策の最重要であるポイントをユースティティアに伝えた。それは有栖達を驚かし、言葉を失わせてしまうほどに想定もしていないものだった。
「場所はHALビル。天使達に会心の一撃を与えたから、基本的には乗り込んで一網打尽にするだけ」
作戦を聞きながら、有栖は自身で理解したことを言葉にして繰り返す。
「概ねそれで合っている。だが、手負いとはいえ天使は手強い。それは解るだろ?」
虹河原が有栖を肯定し、彼女に天使について尋ねた。彼自身、彼女の戦闘能力は高く評価している。そして、正面から天使と戦った彼女が一番、天使の恐ろしさを解っているはずだった。
「そりゃもう身に沁みて解ってる。けど、物怖じするつもりはない。リベンジできるなら今すぐにでも乗り込んで戦いたい」
「その気持ちは心強いが、まだすべきことがある。それにユースのダメージも可能な限り回復した上で挑みたい」
「そうですね。誰かにボコボコにされたので。痛くはありませんけど」
虹河原の言葉に反保が皮肉のように呟く。
「おいおい、お互いさまだろ? こっちだけ怪我してんだ」
その皮肉を聞き逃さず、飛田が吠える。しかし、反保は馬耳東風だった。
会議室が活気に満ちてきた中で、京は少し笑顔を見せながらも虹河原に質問をした。
「天使を逮捕する名目はあるの? 仮にここで天使を倒しても公表すべき罪がないと糾弾されるのはこちらになるわ。まさか無法で処するとか言わないわよね」
「はい。天使には警察とユースティティアの治安維持の名目で正式な罪で逮捕します。とはいえ、一色さんの殺害の関してはデータ改竄されているので現時点では無理でしょう。証拠がない。いや、天使がこれまで行ってきた罪に関しては全てが改竄されて証拠がない、といって過言ではないでしょう」
「だとしたら、どうするつもり?」
「そんな天使が唯一、改竄を行った、という証拠を残しています。それが――私自身です」
「そうか。虹河原くんは公表では死んだことになっているものね」
京の言葉に虹河原が頷く。
現在、虹河原はユースティティアの一色により殺害されたことになっている。それは天使により発表されたものだった。だが、実際には虹河原は生きている。これは警察が、天使が虚偽の情報を公表したことでもある。
「あのときの私の死体はそっくりに整形されたダミーの死体だそうです。血液などの情報を調べても私のデータベースと一致するようになっていたそうなので、それはアース博士がそのように処理したのでしょう。彼女ならデータベースをハッキングして偽のデータを本物のように見せるのは容易い」
「それでまずは逮捕する。そのあと余罪を追求するのはいいとして、データが改竄された今、それ以上の罪を問えるのかしら?」
京の懸念は当然だった。今は『レシエントメンテ』によって天使の都合の良いデータが揃った世界だ。一度、捕まえたとしてもさらに重罪を問えなければ意味がない。
「そこで最後の策です。これを実行すれば天使を重罪に問える。その為にはユースティティアの協力が不可欠なんです。それは――」
虹河原は今回の策の最重要であるポイントをユースティティアに伝えた。それは有栖達を驚かし、言葉を失わせてしまうほどに想定もしていないものだった。
2
あなたにおすすめの小説
有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第十話。
『デスペラード』を手に入れたユースティティアは天使との対決に備えて策を考え、準備を整えていく。
一方で、天使もユースティティアを迎え撃ち、目的を果たそうとしていた。
平等に進む時間
確実に進む時間
そして、決戦のときが訪れる。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(X:@studio_lid)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【戦国時代小説】 甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助
蔵屋
歴史・時代
わたしは、以前、甲斐国を観光旅行したことがある。
何故、甲斐国なのか?
それは、日本を象徴する富士山があるからだ。
さて、今回のわたしが小説の題材にした『甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助』はこの甲斐国で殆どの戦国乱世の時代を生き抜いた。そして越後の雄•上杉謙信との死闘は武田信玄、山本勘助にとっては人生そのものであったことだろう。
そんな彼らにわたしはスポットライトを当て読者の皆さんに彼らの素顔を知って頂く為に物語として執筆したものである。
なお、この小説の執筆に当たり『甲陽軍鑑』を参考にしていることを申し述べておく。
それでは、わたしが執筆した小説を最後までお楽しみ下さい。
読者の皆さんの人生において、お役に立てれば幸いです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる