有栖と奉日本『チープな刻の中で』

ぴえ

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フラグ

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「俺達もサイバーフェスの警備任務に参加することになったんですか?」
「えぇ。実績があり、上層部から任せても良いと思われている人材は業務が輻輳していない限りは呼ばれますよ」
「それだけ優先度が高く、重要な任務に該当しているってことですね」
「来賓客も紹介される技術も重要ですからね。それを狙うテロ組織や盗もうとしている輩が紛れ込む可能性もありますから」
 雑務をこなしながら、二人はサイバーフェスの話をしていた。特に飛田はこの件に関しては初参加ということもあり、興味があるようだった。
「聖先輩はサイバーフェスに行ったことあるんでしたっけ?」
「ありますよ」
「どうでした?」
「大変です」
 当時のことを思い出したのか、虹河原はそれだけで疲れて倦厭した表情を見せた。
「護衛しなきゃいけない重要人物もいますし、怪しい動きをしている人は監視及び取り調べをしないといけない。その上、ユースティティアと共同ですからね」
「共同、というか対立を煽ってるっすよね」
「そうすることで緊張感を保っているのでしょうけどね」
「意味あるんですか?」
「緊張感はありますよ。まぁ、他にも要因はありますけど」
「他の要因?」
「この人のせいですよ」
 飛田のディスプレイに社内チャットから通知が一つ表示された。会話の流れから相手は確認するまでもなく、彼は要件も書かれず送付されてきた添付ファイルをクリックして開く。
「アース・バウンド博士」
 画面に映し出されたのは白髪で前髪を直線に切り揃えられたショートボブの女性だった。二十代後半の白人の外国人で光が失われたような大きな黒目が特徴的だ。
「この人、誰ですか?」
「天才です」
 虹河原の説明では、彼女は五年前にマザー・エレクトロン株式会社が多額の金額を積んでヘッドハンティングした人材らしい。革新的なアイデアを様々に創り上げ、彼女の案を一つ実現すると技術が一つ進化するとまで言われている。
「それ故に彼女を欲する人や排除したい人もいるわけです」
「じゃあ、その人の護衛任務に該当すると大変ってことですね」
「えぇ。しかも、彼女自身、奔放でワガママなので毎回担当になった方々は疲労困憊って感じですね」
「うへぇ、絶対嫌だなぁ」
 そんなことを呟きながら、飛田はデスクに項垂れる。
「そんなこと言っていると実現しますよ」
「まさかー。でも――」
「でも?」
「いや、なんでもないっす」
 飛田は、

 ――ユースティティアも共同で行うならイチさんとも一緒になれたら良いですね

と、言いかけたがそれは野暮だし、言うと怒られそうなので言葉を飲み込むことにした。
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