隠蔽の末に

斉藤楓

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8.駆け巡る香苗の想い

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香苗side

どうしたんだ私・・・
なんであそこであの気配に気づかなかったのか・・・

私はそんなに油断していたのか・・・私にそんな思いつめることがあったの?

いや、夫も優しいし不満もない。お金に苦労してるわけでもない、むしろ毎月の貯金額の増え方が半端じゃなく大きいくらいだ。

たまに私の過去を聞かれたりってことは嫌だけど・・・お義母様はやたらと聞こうとする、それはそれで不満だけど。でもそれくらいだろうか。

夫は私に子宮がないことを知ってるから誰かに何かを言われるたびに子供を作るだけが女じゃないってフォローしてくれる。

じゃぁなんであんな気配にも気が付けないほど私はボーっとしていたのだろう・・・これが現場じゃなくてよかった、現場だったら間違いなくやられてるところだ。

私に警戒心が無くなったのか?それはいけない・・・お父さんに怒られるじゃすまない。むしろこんなこと知られたらお父さんに撃たれる・・・
ダメだ、絶対に誰にもバレるわけにいかない・・・

あの女を始末するか・・・
いやいや!何を考えてるんだ私!!私はもうしないと決めたの。。

それとも私の本能が求めているのか?だめだ、そんな本能は洗脳してでも消さなければならないが逆に言うと私が生き残れたのがその本能があるからだ。

あー・・・だめ・・・とにかく・・・隠し通さなきゃ・・・

「・・しんさん??丸進さん??」

香:えっ!(ドタガタダン!!)

上司:ちょちょちょっとまて!!待ってくれ!!

香:えっ、、?、、、はっ、、す、、すみません・・・

香苗は戦闘の時の構えを無意識に出してしまった。

香:き、今日は、、体調がすぐれないようなので、、早退します。。とっさに昔に習っていた武術の構えをしてしまいました、すみません。。

上:あ、あぁ、そ、そうだな・・・ゆっくり、、、休むといい。

あぁ、、、ダメだ、、、あんなことになるなんて・・・
暫く会社に行けない、、、いや、行くけど、、二日ほど休もう。

香苗にとっては気配に気づけなかったことがかなりショックだったらしい。その日は香苗はお昼過ぎに早退した。


香苗の動揺は相当なものだった。
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