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包茎とおっぱい
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「包茎って保険が効くんだ」のでかい声をあげたアホと言えば、まっつんだった。たっつんは「火星人はムリだぞっ」と、鼻の穴を大きくしてわりかし大きくつぶやいてくれたので、今日もクラスで冷徹なほど嫌われていた。でも、護には友達だったし、別段、変わった接し方もない。
「仮性と包茎の違いってわかんね? 」とボソッと言うことでクラス中がざわめいたほどだった。
「おいおい、体育のテストで出たら赤点だぞ」
学校の体育の授業で夏のプールは最悪だ。
更衣室はじめっているし、暗いし、たまに蚊が飛び交うし、気がついたら血が落ちているので、間違って指摘をしたらまず、当人が保健室につれていかれることになる。最悪、午後の担任の長い雲を包むような説教に立ち会わなくてはいけなくなる。
「漫画って嘘しか描かねえよな」
「そういや、うちの兄貴も漫画卒業したのって中学生はずいからって言っていた」
「だよな」
「だな」
女子のムチムチさにリアルと想像力の限界を観る機会の最後だと知るのもこういう時期。
「にしても、なんで俺ら、足が短けぇんだ」
「だよな、ジーンズ切ってもらうときの羞恥心で俺はずたぼろだよ」
女子たちの意味不明のジョモウだの脱毛だの脱色だのの会話と相反して暑いコンクリートの上で緑色の苔がたまに見えるプールには色気よりも寒気しかしてこない。
特に、泳がないでだらついている補助教員の風呂のような温泉座りにもげんなりだ。
「どこかに巨乳のおねーさんとか、ビキニのおっぱいポロリとか」
まっつんの言い過ぎで指導受けられて男子が一列で立正させられたので、最終的に護はめまいを起こしてそのまま意識を失ってしまった。
「暑気あたり」と名前がついているものの症状は様々で、護にはよく解らない。
団扇の風とクーラーの風の違いは分かる。
昔、経口補水液が冷たすぎて飲めなかったことがあった。
「僕に触るな! 」
『その子に触れるな! それは俺大事な……』
頭痛がひどくて、眠ることもできず思い出せないけれど、何かの叫びが重なったような気で目を覚ました。
お兄さんが座っていた。
「先生が家の前まで送ってくれたよ」と静かに語ってくれた。「優しそうな先生だね」
「お兄さんは僕のことが好きなの? 」
若い体育の教員はしばらく自宅で過ごすことになった。たまに大家が、届け物として煮しめとか差し入れても流しで吐くような声しか聞こえてこない。
「あれは悪夢だ、きっと悪夢だ」
大家には、教師という仕事の心労からくる体調不良にかわいそうにと呟いてみるしかなかったという。
「仮性と包茎の違いってわかんね? 」とボソッと言うことでクラス中がざわめいたほどだった。
「おいおい、体育のテストで出たら赤点だぞ」
学校の体育の授業で夏のプールは最悪だ。
更衣室はじめっているし、暗いし、たまに蚊が飛び交うし、気がついたら血が落ちているので、間違って指摘をしたらまず、当人が保健室につれていかれることになる。最悪、午後の担任の長い雲を包むような説教に立ち会わなくてはいけなくなる。
「漫画って嘘しか描かねえよな」
「そういや、うちの兄貴も漫画卒業したのって中学生はずいからって言っていた」
「だよな」
「だな」
女子のムチムチさにリアルと想像力の限界を観る機会の最後だと知るのもこういう時期。
「にしても、なんで俺ら、足が短けぇんだ」
「だよな、ジーンズ切ってもらうときの羞恥心で俺はずたぼろだよ」
女子たちの意味不明のジョモウだの脱毛だの脱色だのの会話と相反して暑いコンクリートの上で緑色の苔がたまに見えるプールには色気よりも寒気しかしてこない。
特に、泳がないでだらついている補助教員の風呂のような温泉座りにもげんなりだ。
「どこかに巨乳のおねーさんとか、ビキニのおっぱいポロリとか」
まっつんの言い過ぎで指導受けられて男子が一列で立正させられたので、最終的に護はめまいを起こしてそのまま意識を失ってしまった。
「暑気あたり」と名前がついているものの症状は様々で、護にはよく解らない。
団扇の風とクーラーの風の違いは分かる。
昔、経口補水液が冷たすぎて飲めなかったことがあった。
「僕に触るな! 」
『その子に触れるな! それは俺大事な……』
頭痛がひどくて、眠ることもできず思い出せないけれど、何かの叫びが重なったような気で目を覚ました。
お兄さんが座っていた。
「先生が家の前まで送ってくれたよ」と静かに語ってくれた。「優しそうな先生だね」
「お兄さんは僕のことが好きなの? 」
若い体育の教員はしばらく自宅で過ごすことになった。たまに大家が、届け物として煮しめとか差し入れても流しで吐くような声しか聞こえてこない。
「あれは悪夢だ、きっと悪夢だ」
大家には、教師という仕事の心労からくる体調不良にかわいそうにと呟いてみるしかなかったという。
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