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Ⅲ章 討滅
57 用語辞典Ⅲ
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用語の一部の補足解説。
見なくても大丈夫ですが、見るとより楽しめるかも?
⭐︎魔力
今更ながらの解説。
ちらほら出ているファンタジーにおいてほぼ皆勤賞並みにポピュラーな説明不要のエネルギー。
地球において、人体には神経に通して体を動かすために電気エネルギーと、体温を維持するための熱エネルギーを生み出す機能があるが、この世界の生物の大半はこの第3エネルギーを作ったり、取り込んだり、放出したり、溜め込んだりと出来る。
生物の種類や形態によって利用法はさまざま。
魔力そのものは生物から大気中に至るまでその辺に存在している。
基本的に人間は魔力を生み出し、それも日々の活動エネルギーに当てているので地球よりもこの世界の人類はあらゆる面で優れている。
地球よりもさらに死にづらく殖えやすい。
ちなみにあくまで体を動かすためのエネルギー源であるために、普通は放出をすることはできない。
もとい大半の人間は魔力ときたら魔法でしょ?みたいに気軽に魔法を使うことは無理。
普通の人は電気エネルギーを持つからといって、電気ウナギのように電気を体外に放出したりは出来ないように、体温を一時的に高めて身体機能を上げるなんてのも無理なように。なんなら出来たところで、普通に死ぬ。
何故ならばそんな機能が体についてないからだ。
その機能を後付けするための武器が杖だったり、魔科学武器になる。
ちなみにあくまで大半の人にとってそうであるだけで、一部の人にはそうした後付けが無くても魔法が使える。
割合としては8人に1人くらい。
珍しい、と言えるほどでは無い。
そうした人々を魔女と呼んだりもする。
⭐︎ 魔力遺伝子
地球で言うところの遺伝子の魔力版。
いずれ本編中に詳しい解説を挟みたくはあるが、その流れになるのは当分、先の予定なので先に書き留めておきます。
この世界の生物の細胞には遺伝子と魔力遺伝子の二つの遺伝子が存在し、遺伝子は言わずと知れた、いわば生物の体を作るための設計図のようなものであり、魔力遺伝子はそのなのごとく魔力に関係する能力の設計図が刻まれている物質です。
上記の魔力に関する技術にある魔力を取り込むのか、作出するのか、放出のできる出来ないなど魔力に関する仕様が魔力遺伝子には組み込まれている。
エルルの使う魔王クリエイターはこの魔力遺伝子に干渉する力となる。
つまり、魔王クリエイターによって与えられるスキルは魔力遺伝子に対して「これだけの魔力を作成して、それをこんな形で魔法に変換して、あれこれしてね」と作用している。
例えば膂力増強スキルであれば、膂力増強の魔法が発現するように魔力遺伝子を作り替えていると言う力なのだ。
読者によっては遺伝子が変わらないなら魔王ヨトウガから産まれた子供はただのヨトウガになるんじゃないの?と不思議に思ったかもしれないが、厳密には魔王クリエイターによって力を与えたのでは無く、魔力遺伝子を弄ってそう言う生き物に変えたために、子孫にそれらの力は引き継がれるのである。
前にも記したが、魔王クリエイターはスキルを与える力では無い。
人類の天敵を創り出す力である。
そう言う生き物として生み出す力である。
余談ではあるがエルルが仮に誰かと子供を作ると、それだけでエルルのスキルのいくらかは子供に引き継がれたりする。
母親の魔力遺伝子と混ざるので全てとはいかないが…とんでもないことである。
⭐︎ ギルド
いわゆる冒険者ギルドのような存在。
討滅ギルド、傭兵ギルドなど国によって名前を変えて存在している。
討滅ギルドは魔王ゾンビが攻め込むユミール公国、傭兵ギルドは異形のヒトが潜伏するアルマ共和国で使われている呼称。
呼称が違うのは経営組織が違うためである。やることは基本的に変わらず、食料を狙う賊を倒すのが仕事である。
異世界小説におけるテンプレな冒険者ギルドはなぜか全国に展開して、全国で中立を保っていたりするが常識的に考えて、無理じゃね?となり、名前を変え、経営組織も変えました。
セブンイレ○ンが一つの国にチェーン展開するコンビニだからといって全世界にまでチェーン展開ができるかと考えれば分かるかと思います。
いや、まあ結構な国に進出してはいるが、流石に全国とはなっておらず、この世界は食料不足で各国の仲がピリついてる分、なおのこと難しい。
⭐︎ スズメ盗賊団
俄然引き時を間違えて、魔王エルルちゃんに壊滅させられた名の通った盗賊団のうちの一つ。
この世界では食料が1番高値で捌けるため、盗賊と言えばまず食料を窃盗するタイプの盗賊が圧倒的に多い。
畑からこっそり盗る輩から、野菜を買いつけた商人を殺して奪う強硬派までがいるが普通は即座に鎮圧、捕縛からの死刑である。
なにせこの世界では食料の価値が高く、それを盗む輩は凶悪犯扱いになる。
まかり間違えて生産者である農家の人を殺せば国を挙げての国際指名手配からの拷問刑である。
その力の入れようは地球で言うところの特殊部隊クラスの精鋭を投入するほど。
それほどの力の入りようだけに、名の通った盗賊団と言うのはそうした手配から長く生き残っているだけにかなり強いのが普通。
と言うか大前提であり、それに加えて規模も大きいことが大半である。
魔王エルルちゃん相手に単独で多少なりとも生きていられただけはある。
⭐︎アルバトロス
3章47話に言葉だけ登場した組織名。
農業国家プラベリアに存在する盗賊団殲滅組織。
国営。
軍事組織を持たないプラベリアに於いて、唯一の戦闘部隊。その組織の実態は殆ど知られていない。
アルバトロスという名前はアホウドリを指す。
アホウドリは警戒心がなく、簡単に捕まえることのできる阿呆な鳥、ということでアホウドリの名がついたらしい。
そのため、羽毛目的の人間などに捕殺されやすく、ふえにくいということで絶滅危惧種に指定されている。
もちろんこの世界では絶滅済み。
プラベリアが今の農業国家になるまで様様な苦難があり、その苦難の一つである3回あった特に大規模な食糧難の全てにおいて大きな助けとなったとして、プラベリアではアルバトロスが国鳥に指定されている。
そのため、国営に関する名前はアルバトロスという名前が使用されることが多い。
異世界産アホウドリはプラベリアのみを生息地にしていたが、地球においては渡鳥の一種であり、地球の鳥類としては最大級の大型鳥類である。
⭐︎ アンカータンク
魔王ヨトウガに対応するべくサドラン帝国が生み出した新造兵器のうちの一つ。
船を停泊させる際に船体を流されないように海底に下ろす鉄の塊のことを碇、またはアンカーと呼ぶが、それを射出して振り回すと言うアホみたいな発想で作られたある種の格闘する超重量戦車がアンカータンクである。
射出されるアンカー弾には鎖が取り付けられており、アンカータンクの砲身に繋がっている。
そしてアンカータンクの砲身は角度を変えながら360度、高速回転をする。
このアンカーが超威力の範囲攻撃を可能とした。
が。
新造兵器なだけあり欠点が多い。
アンカーは船体を流されないようにするための重しである。それを射出するアンカータンクはゆえに非常に重く、それを高速回転させる戦車本体にかかる負荷や遠心力は凄まじいものがあり、それによって車体が横転したり引っ張られないようにその場に固定するためのアンカー分も含めて同じサイズの戦車より2倍の重量がある。さらにはそのアンカーの設置に数十分が必要とあって機動性がかなり低い。
重い分、燃費も悪く、移動速度も実に遅い。
車体より低い場所に潜り込まれると構造上、何も出来なくなる上に、巨大なアンカーを振り回すために一部の部品はすぐに摩耗して使い物にならなくなる低い耐久性も相まって良い点よりも悪い点が目立つ兵器であった。
とはいえ、魔王ヨトウガに対する防衛戦でかなり助かったことは否めないだろう。
近接攻撃しかできない魔王ヨトウガにとってはかなり厄介な存在であった。
⭐︎ 歩兵式小型銃機戦車
サドラン帝国の新造兵器第二弾。
普通の戦車の場合、搭乗者は最低でも3人、動かすだけなら2人が必要とされる。
しかもこれは戦車に搭載された主砲に自動装填機能が付いていた場合の話。
その機能が無いと3人はいる。
しかもそれはあくまで動かすだけならの話だ。
戦車には戦車を走らせる運転手、砲弾を詰め込む人、砲弾を撃つ人、視界の悪い戦車の代わりに周囲の確認などをしつつ他の搭乗員の指揮や連携をする4人が必要だとされている。
順に操縦手、装填手、砲手、車長と呼ぶ。
しかし、この歩兵式小型銃機戦車は違う。
一輪車の前面部分のみに戦車の装甲とエンジンを付け加えただけと言う見た目通り、操縦は1人だけで可能な小型戦車であり、非常に機動性が高い。しかもその分、戦車生産に伴う時間を含めた資材コスト、人的コストも低くすみ、その総コストはサドラン帝国の標準的な戦車と比較して七分の一にまでコストカットされている。
しかもこれはあくまで新造兵器であり、その後のノウハウの蓄積によりさらなるコスト削減が可能と言う低コスト具合。
戦車を一つ作るコストで、歩兵式小型銃機戦車ならば最低でも7つ用意できると言うことである。
数の多い魔王ヨトウガに対して、1番手っ取り早いのは此方も数を揃えることである。
開発からの生産から現在に至るまで、非常に短期間ながらかなりの数が投入された。
武装は砲連機と名付けられた、直径10センチの魔法弾を秒間百発、撃ち出せる重火器が搭載されており、魔法を撃ち放つ為、大型の魔力バッテリーと呼ばれる電池の魔力版みたいな機械も銃器に取り付けられている。
重量は人が持てないくらいには重いが、普通の鉛玉が装填された銃器に比べれば格段に軽い。
良いことづくめな新兵器に思えるが、もちろんのこと欠点も複数存在する。
まず装甲が非常に薄い。
機動性を重視し過ぎたために、前面以外は操縦手の体が丸見えであり、背後を突かれると致命的。
さらには小型ゆえに搭載できる武器の重量や数に限りがある。
砲連機を一つ搭載するので精一杯な限界積載量ゆえにそれを打ち切ると何も出来なくなる。
また、一輪車であるために操縦が普通の戦車に比べて難しい。
割と人を選ぶ兵器ではある。
⭐︎ 殺虫噴霧大質量砲
巨大な大砲で殺虫剤をゼリー状に押し固めた弾を打ち上げる、レトロな見た目の大砲。
ゼリー状の殺虫剤は発射時に使われた火薬の熱で溶けながら打ち上げられ、高空に到達した段階で溶けかかった殺虫剤は内部に仕込まれた小型爆弾で爆発四散。
爆発による衝撃と熱で霧状になった殺虫剤は爆風に流されて、空から広範囲に散布される。
言うなれば、打ち上げ花火の殺虫剤バージョン。
使われている殺虫剤は非常に強力な神経毒の類であり、その毒性は人すらも軽く殺せる威力。
蚊取り線香を始めとした人の近くで使われる殺虫剤は植物由来の爬虫類や両生類、魚類、昆虫類といった大部分の変温動物にのみ効く神経毒が使われていると言う。
飼い犬などがいても大丈夫なようにとマイルドな殺虫剤が使われるらしいのだが、この殺虫噴霧大質量砲は違う。
万が一でも通用しなかったら?との場合を考えた上、殺虫剤に関する資料が少なく、どれくらいの量で死ぬのかと言ったノウハウが蓄積されてないがゆえに過剰なまでに強力な殺虫剤が使用されている。
それこそ防衛戦を行なっていた軍人たちごと魔王ヨトウガの大半を死滅させるくらいには。
見なくても大丈夫ですが、見るとより楽しめるかも?
⭐︎魔力
今更ながらの解説。
ちらほら出ているファンタジーにおいてほぼ皆勤賞並みにポピュラーな説明不要のエネルギー。
地球において、人体には神経に通して体を動かすために電気エネルギーと、体温を維持するための熱エネルギーを生み出す機能があるが、この世界の生物の大半はこの第3エネルギーを作ったり、取り込んだり、放出したり、溜め込んだりと出来る。
生物の種類や形態によって利用法はさまざま。
魔力そのものは生物から大気中に至るまでその辺に存在している。
基本的に人間は魔力を生み出し、それも日々の活動エネルギーに当てているので地球よりもこの世界の人類はあらゆる面で優れている。
地球よりもさらに死にづらく殖えやすい。
ちなみにあくまで体を動かすためのエネルギー源であるために、普通は放出をすることはできない。
もとい大半の人間は魔力ときたら魔法でしょ?みたいに気軽に魔法を使うことは無理。
普通の人は電気エネルギーを持つからといって、電気ウナギのように電気を体外に放出したりは出来ないように、体温を一時的に高めて身体機能を上げるなんてのも無理なように。なんなら出来たところで、普通に死ぬ。
何故ならばそんな機能が体についてないからだ。
その機能を後付けするための武器が杖だったり、魔科学武器になる。
ちなみにあくまで大半の人にとってそうであるだけで、一部の人にはそうした後付けが無くても魔法が使える。
割合としては8人に1人くらい。
珍しい、と言えるほどでは無い。
そうした人々を魔女と呼んだりもする。
⭐︎ 魔力遺伝子
地球で言うところの遺伝子の魔力版。
いずれ本編中に詳しい解説を挟みたくはあるが、その流れになるのは当分、先の予定なので先に書き留めておきます。
この世界の生物の細胞には遺伝子と魔力遺伝子の二つの遺伝子が存在し、遺伝子は言わずと知れた、いわば生物の体を作るための設計図のようなものであり、魔力遺伝子はそのなのごとく魔力に関係する能力の設計図が刻まれている物質です。
上記の魔力に関する技術にある魔力を取り込むのか、作出するのか、放出のできる出来ないなど魔力に関する仕様が魔力遺伝子には組み込まれている。
エルルの使う魔王クリエイターはこの魔力遺伝子に干渉する力となる。
つまり、魔王クリエイターによって与えられるスキルは魔力遺伝子に対して「これだけの魔力を作成して、それをこんな形で魔法に変換して、あれこれしてね」と作用している。
例えば膂力増強スキルであれば、膂力増強の魔法が発現するように魔力遺伝子を作り替えていると言う力なのだ。
読者によっては遺伝子が変わらないなら魔王ヨトウガから産まれた子供はただのヨトウガになるんじゃないの?と不思議に思ったかもしれないが、厳密には魔王クリエイターによって力を与えたのでは無く、魔力遺伝子を弄ってそう言う生き物に変えたために、子孫にそれらの力は引き継がれるのである。
前にも記したが、魔王クリエイターはスキルを与える力では無い。
人類の天敵を創り出す力である。
そう言う生き物として生み出す力である。
余談ではあるがエルルが仮に誰かと子供を作ると、それだけでエルルのスキルのいくらかは子供に引き継がれたりする。
母親の魔力遺伝子と混ざるので全てとはいかないが…とんでもないことである。
⭐︎ ギルド
いわゆる冒険者ギルドのような存在。
討滅ギルド、傭兵ギルドなど国によって名前を変えて存在している。
討滅ギルドは魔王ゾンビが攻め込むユミール公国、傭兵ギルドは異形のヒトが潜伏するアルマ共和国で使われている呼称。
呼称が違うのは経営組織が違うためである。やることは基本的に変わらず、食料を狙う賊を倒すのが仕事である。
異世界小説におけるテンプレな冒険者ギルドはなぜか全国に展開して、全国で中立を保っていたりするが常識的に考えて、無理じゃね?となり、名前を変え、経営組織も変えました。
セブンイレ○ンが一つの国にチェーン展開するコンビニだからといって全世界にまでチェーン展開ができるかと考えれば分かるかと思います。
いや、まあ結構な国に進出してはいるが、流石に全国とはなっておらず、この世界は食料不足で各国の仲がピリついてる分、なおのこと難しい。
⭐︎ スズメ盗賊団
俄然引き時を間違えて、魔王エルルちゃんに壊滅させられた名の通った盗賊団のうちの一つ。
この世界では食料が1番高値で捌けるため、盗賊と言えばまず食料を窃盗するタイプの盗賊が圧倒的に多い。
畑からこっそり盗る輩から、野菜を買いつけた商人を殺して奪う強硬派までがいるが普通は即座に鎮圧、捕縛からの死刑である。
なにせこの世界では食料の価値が高く、それを盗む輩は凶悪犯扱いになる。
まかり間違えて生産者である農家の人を殺せば国を挙げての国際指名手配からの拷問刑である。
その力の入れようは地球で言うところの特殊部隊クラスの精鋭を投入するほど。
それほどの力の入りようだけに、名の通った盗賊団と言うのはそうした手配から長く生き残っているだけにかなり強いのが普通。
と言うか大前提であり、それに加えて規模も大きいことが大半である。
魔王エルルちゃん相手に単独で多少なりとも生きていられただけはある。
⭐︎アルバトロス
3章47話に言葉だけ登場した組織名。
農業国家プラベリアに存在する盗賊団殲滅組織。
国営。
軍事組織を持たないプラベリアに於いて、唯一の戦闘部隊。その組織の実態は殆ど知られていない。
アルバトロスという名前はアホウドリを指す。
アホウドリは警戒心がなく、簡単に捕まえることのできる阿呆な鳥、ということでアホウドリの名がついたらしい。
そのため、羽毛目的の人間などに捕殺されやすく、ふえにくいということで絶滅危惧種に指定されている。
もちろんこの世界では絶滅済み。
プラベリアが今の農業国家になるまで様様な苦難があり、その苦難の一つである3回あった特に大規模な食糧難の全てにおいて大きな助けとなったとして、プラベリアではアルバトロスが国鳥に指定されている。
そのため、国営に関する名前はアルバトロスという名前が使用されることが多い。
異世界産アホウドリはプラベリアのみを生息地にしていたが、地球においては渡鳥の一種であり、地球の鳥類としては最大級の大型鳥類である。
⭐︎ アンカータンク
魔王ヨトウガに対応するべくサドラン帝国が生み出した新造兵器のうちの一つ。
船を停泊させる際に船体を流されないように海底に下ろす鉄の塊のことを碇、またはアンカーと呼ぶが、それを射出して振り回すと言うアホみたいな発想で作られたある種の格闘する超重量戦車がアンカータンクである。
射出されるアンカー弾には鎖が取り付けられており、アンカータンクの砲身に繋がっている。
そしてアンカータンクの砲身は角度を変えながら360度、高速回転をする。
このアンカーが超威力の範囲攻撃を可能とした。
が。
新造兵器なだけあり欠点が多い。
アンカーは船体を流されないようにするための重しである。それを射出するアンカータンクはゆえに非常に重く、それを高速回転させる戦車本体にかかる負荷や遠心力は凄まじいものがあり、それによって車体が横転したり引っ張られないようにその場に固定するためのアンカー分も含めて同じサイズの戦車より2倍の重量がある。さらにはそのアンカーの設置に数十分が必要とあって機動性がかなり低い。
重い分、燃費も悪く、移動速度も実に遅い。
車体より低い場所に潜り込まれると構造上、何も出来なくなる上に、巨大なアンカーを振り回すために一部の部品はすぐに摩耗して使い物にならなくなる低い耐久性も相まって良い点よりも悪い点が目立つ兵器であった。
とはいえ、魔王ヨトウガに対する防衛戦でかなり助かったことは否めないだろう。
近接攻撃しかできない魔王ヨトウガにとってはかなり厄介な存在であった。
⭐︎ 歩兵式小型銃機戦車
サドラン帝国の新造兵器第二弾。
普通の戦車の場合、搭乗者は最低でも3人、動かすだけなら2人が必要とされる。
しかもこれは戦車に搭載された主砲に自動装填機能が付いていた場合の話。
その機能が無いと3人はいる。
しかもそれはあくまで動かすだけならの話だ。
戦車には戦車を走らせる運転手、砲弾を詰め込む人、砲弾を撃つ人、視界の悪い戦車の代わりに周囲の確認などをしつつ他の搭乗員の指揮や連携をする4人が必要だとされている。
順に操縦手、装填手、砲手、車長と呼ぶ。
しかし、この歩兵式小型銃機戦車は違う。
一輪車の前面部分のみに戦車の装甲とエンジンを付け加えただけと言う見た目通り、操縦は1人だけで可能な小型戦車であり、非常に機動性が高い。しかもその分、戦車生産に伴う時間を含めた資材コスト、人的コストも低くすみ、その総コストはサドラン帝国の標準的な戦車と比較して七分の一にまでコストカットされている。
しかもこれはあくまで新造兵器であり、その後のノウハウの蓄積によりさらなるコスト削減が可能と言う低コスト具合。
戦車を一つ作るコストで、歩兵式小型銃機戦車ならば最低でも7つ用意できると言うことである。
数の多い魔王ヨトウガに対して、1番手っ取り早いのは此方も数を揃えることである。
開発からの生産から現在に至るまで、非常に短期間ながらかなりの数が投入された。
武装は砲連機と名付けられた、直径10センチの魔法弾を秒間百発、撃ち出せる重火器が搭載されており、魔法を撃ち放つ為、大型の魔力バッテリーと呼ばれる電池の魔力版みたいな機械も銃器に取り付けられている。
重量は人が持てないくらいには重いが、普通の鉛玉が装填された銃器に比べれば格段に軽い。
良いことづくめな新兵器に思えるが、もちろんのこと欠点も複数存在する。
まず装甲が非常に薄い。
機動性を重視し過ぎたために、前面以外は操縦手の体が丸見えであり、背後を突かれると致命的。
さらには小型ゆえに搭載できる武器の重量や数に限りがある。
砲連機を一つ搭載するので精一杯な限界積載量ゆえにそれを打ち切ると何も出来なくなる。
また、一輪車であるために操縦が普通の戦車に比べて難しい。
割と人を選ぶ兵器ではある。
⭐︎ 殺虫噴霧大質量砲
巨大な大砲で殺虫剤をゼリー状に押し固めた弾を打ち上げる、レトロな見た目の大砲。
ゼリー状の殺虫剤は発射時に使われた火薬の熱で溶けながら打ち上げられ、高空に到達した段階で溶けかかった殺虫剤は内部に仕込まれた小型爆弾で爆発四散。
爆発による衝撃と熱で霧状になった殺虫剤は爆風に流されて、空から広範囲に散布される。
言うなれば、打ち上げ花火の殺虫剤バージョン。
使われている殺虫剤は非常に強力な神経毒の類であり、その毒性は人すらも軽く殺せる威力。
蚊取り線香を始めとした人の近くで使われる殺虫剤は植物由来の爬虫類や両生類、魚類、昆虫類といった大部分の変温動物にのみ効く神経毒が使われていると言う。
飼い犬などがいても大丈夫なようにとマイルドな殺虫剤が使われるらしいのだが、この殺虫噴霧大質量砲は違う。
万が一でも通用しなかったら?との場合を考えた上、殺虫剤に関する資料が少なく、どれくらいの量で死ぬのかと言ったノウハウが蓄積されてないがゆえに過剰なまでに強力な殺虫剤が使用されている。
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