ノーマルニートな俺、家の勝手口の向こうの異世界で、欠食児童な勇者の孫のへなちょこ性別不明娘の相棒になりました

もにもに

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第五章:アヴトリッヒ家の華麗なる食卓(全8話)

アヴトリッヒ家の華麗なる食卓(4/8)

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      * * * * *







 さて、それから、俺は、ルーと一緒に、風呂にはいっていた。


 入っていたのだ…………が、




 がちゃ、




「んっふっん~ふっふっ。んふっふっふっんんふっふっふ、ん…ん?」




 扉をひらかれたとき、脱衣所にはその姿があった。


 相手も、俺とルーのやつという先客を目撃して、硬直している。



 俺の思考は固まっていた。



 開きかかった扉の間からこちらを見ることができる状態だった、
 ルーのやつは目をまんまるにして、その人物を目撃していた。








「ばかおにぃ――!」


「ぐへぇ?!」


 どがぁ!――と、
 俺にけたぐりとポカポカぱんちの連撃を一瞬のうちに見舞った、
 その疾風のような影がしゃべると、


「とうとう犯罪に手をだしたか!
 まえから変態ですくいようのないやつだとは思っていたけど、
 今度はとうとう………いよいよ………、ちんこかくせ!」



「おっふぅ、」



 投げつけられたハンドタオルを俺は腰に装備して、 
 股間を隠す防御力を手に入れた。


 
 いっぽうの妹さまとはいうと、パンツとブラジャーのみの、下着姿。

 俺と、湯船の中のルーがその様子をみている。
 視線に気づいた妹は、カァッ、と顔を紅顔させて、
 恥じらう様子をいまさらながらに見せた後、



「わたしのはだかを、みるな!」



「はだかっつーか、下着姿じゃろがい。
 というかちんちくりんのお前のなんぞ、見てもうれしとーないわい」


「なんんだとこのぉー!」



 いもうとさまがお怒りになられてる……




「きのうの、フシンシャ、じゃん!!」




 そんな妹は、怒りの丈を尚も晴らし足らないように、
 ゆびで、びしぃ! と、浴槽の中のルーを指さして、




「どこのだれなのさ、その娘!」


「なにって……同性の、ともだち?」


 は、? 、。……と妹は言葉と思考を固まらせた、その一拍の間の後、



「……彼女にするには見た目が犯罪的すぎるよ!?」



「オイオイオイ、」



 さてさてさて、



「気にするなよ、というか気にするほうがおかしいだろ??
 安心しろ、問題ない。
 あいつは男だ。」



「どうみてもおんなのこじゃん!?」





「バカおにい、そのまましんじゃえっ!」




 そのまま、激高した妹は、ばたん、と、

 風呂場の扉を閉めていった。








「今の女性の……おんなのこの方、どなたなのですか?」



「あぁ、俺の妹だ……ご覧の通り、元気が有り余っていて、
 闊達で、
 そんで、俺のことを嫌っている……」



 ルーのやつはしばし考えたあと、



「ほんとうですか?」


……


「……ほんとうなんですか……?」




 いやもう、信用してくれよ……。。。。。




          * * * * *





「ごきんじょさん? ともだち?」


 妹はそこまで述べると、


「あぁあ゛、おにいったら、この最近の暑さで、あたまがこわれちゃったんだ……」




 失敬な。
 まあ相変わらずの妹さまクオリティ、愚妹の舞依ちゃん、といったところだ。

 ふぅーーむ、だとしたら、プランAとして話した内容じゃなく、
 プランBとして話した内容だったとしたら、どうだ、



「どうって、なにが、」「話の、真偽の、」



 妹は、このかわいい方ではある……とこの秀(しゅう)兄(けい)でも認めるような、 
 その愛らしいお顔の、眉間に、たっぷりと渋面のしわを形作った後……



「そんなの……」



 息を吸って……



「わかりきってんじゃーんッおにぃのくそあにきのばか馬鹿バカ――!」


 炸裂した。


「異世界人、なんてオオウソ、だれが信じるのよぉ!」



 いもうとさまのおっしゃられることはごもっともである。
 反応もまともだ。すくなくとも素面では信じることは難しいだろう。



 なので、



 勝手口を開けた。



 勝手口を閉めた。



……



「みたか?」「うん、」




「だろ?」「うん。。。。……」



 妹は間をためるように息を吸い込み……



「どういう事なのさ!」



 いもうとは絶叫した。



「ぁあ゛……なんだか、もう、どういったらいいんだか、」


「無理に言語化する必要はない……。
 心の耳と目で、見て、確かみられれば、それでいいのだ。妹よ」


「こういうときだけお兄ちゃんぶるな!」


 げしげし、と妹の二度蹴りが俺の足ふくらはぎと脛に見舞われる。
 まあこうなりゃさほど痛くはないがネ。





「このサイレントラインってゲーム、
 やりごたえがあって楽しいですねっ♡」




 いっぽう、ゲームを起動してあそんでいた、ルー。

 妹も、それに気づいて。



「ま、おにいの入った後のきったないお湯抜いてあたらしくお湯張り直してるし、
 待ち時間があるから、やってあげますか」




「さぁ、妹よ……俺のセブカのデータを使い、
 おまえの最強機体での最強操縦をみせつけてやるのだッ」



「もう何年前のゲームやってるのさ……まぁいいけどさぁ、」














「うそ……本当にこの数日でしかアーメードコォアをやったことがない人間なの……?」


 スラスターは、燃費がいいやつで出力が最高クラスののレベルのものをつかっていて、機体にはパワーエクステンダーとラジエーターをマシマシした軽量級のボディ…
…要するにゲームを一周していて、
 手に入るパーツがゲームクリア直前に手に入る最高度状態のものとはいえ、

 なかなかにいいテクニックで、ルーのやつは我が妹と互角か……五分以上の立ち会いをしてみせた。



「えぇい、まけてたまるか! オーバードブースト!」

「! そしたらボクもっ!」

「なっ」




 妹のやつがオーバードブーストで、一気にルーの機体を手玉に取ろうとした!
 だが、逆にルーのやつもオーバードブーストを起動させ、その背後に回り込んだ。


 次の瞬間から、妹とルーは、互いに背後の取り合いと化した。


 そうしてしばらくドッグファイトが続いた後……




「まけちゃったー!」「うぬぬぬぬ……ふぅ、」



 結局ルーは勝てなかったわけだが、勝利した側の妹はというと、
 眉間にしわ……はよせられないので、唇をとがらせながらうなりを上げた後、
 ふっ、となにかを認めたように、



「ねぇ、ルーテフィアちゃん、」


「?」



「貴方こそ、レイブンの称号にふさわしい……、
 みとめよう。」


 妹はそういって、わからぬ顔のままのルーのやつと腕を酌み交わした……




     * * * * *


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