博物館の鏡に触れたら

公爵家の居候

僕は公爵家に居候させてもらうことになった。
アミーさんが僕のお世話をするメイドになってくれた。

毎日僕が来た時間に鏡に触らせてもらっているが、何の変化も無い。
僕の着ていた服(制服)と同じデザインの服や、この時代の貴族が着るような服(宝石とか付いてて落ち着かない)や、平民の服(落ち着く～)などたくさん仕立ててもらった。
もちろん寝間着や下着なども。
申し訳ないと思ったが、ありがたさも感じていた。

暫く戻れないかもしれないので、家庭教師をつけてこの時代のことを学んでいる。
身近なところから、公爵家のこと、街のこと、国のこと、世界のこと。
世界史で習っているので少しは知っているが、一つ一つの国を調べたことは無かったので、ホントに知らないことばかりだった。

お世話になってばかりではいけない。
何か僕にも出来ることはないかなーなんて、日本人だな、僕も。
一宿一飯の恩は返さないと。

僕の家は所謂成金、父が社長で母が専務、二人三脚で頑張って大きくした会社。
小さい頃からお手伝いさんが来ていて、小学校の家庭科で調理実習を初めてして、料理にはまった僕はお手伝いさんのお手伝いをよくしていた。
高校生になった頃からは、自分の食事は自分で作るようになってた。

うん、料理の手伝いをしたいな。
僕はレイナードに聞いてみた。 
料理長が許可すればいい、と返事を貰えたので、いざキッチン。
「料理長さんはいらっしゃいますか？」
「ケンタ様、何かお口に合わないものでもありましたか？」
「様はやめてください、あの、僕、料理のお手伝いをしたいのですが」
昔の日本だったら僕の方が高いと思うけど、ここは外国、やっぱり僕より背が高い人が多い、どうしても下から見上げてしまうな。
料理長が口を押さえて横を向いてしまった、見上げるのは失礼だったのかな、、、。
「あの、やっぱり、、、」
「大丈夫です、ケンタ様はどんな手伝いが良いですか？」
「僕、家ではよく料理をしていて、大体出来ます、あ、力仕事は無理、かな、、、」
あれ、今度は料理人の方達まで横を向いてしまった、やっぱり力仕事も出来るようにならないと。
「力仕事なんて後ろの奴らにやらせますから、ケンタ様は野菜を洗ったり、盛り付けたり、簡単なお手伝いをお願いします」
「はい、あ、たまに何か作ってもいいですか？」
「もちろん、わからないことがあったら誰でもいいので聞いてください」