社畜を辞めて海辺の町で暮らします

Hazuki

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海辺の町で

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バッシャーン

あれ?
防波堤の先にいた人は?
海に落ちた?

私は釣竿を放り、防波堤を走った。
迷わず海に飛び込む。
目の端に見えた靴、、、まさか自殺?

見つけた。
砂浜まで支えながら泳ぐ。
二十代くらいの痩せてやつれた、三年前の私みたいだ。
海水を吐かせ呼吸を確認。
救急車は呼ばなくて大丈夫そうだ。
とりあえず家に運ぼう。
軽い、、、

**********

三年ほど前、私は十八年勤めた会社を辞めた。
日曜日はなんとか休みだったけれど、他の日はほぼ会社で寝落ちというブラックな会社。
それでもなんとか続けられたのは、残業代はちゃんと払われていたからだろうか。
家賃とか光熱費とか食費くらいしか使っていなかった私の貯金は辞める頃には、退職金も合わせて億を越えていた。

しばらくは仕事をしないで旅行でもしようと、北海道や沖縄に行ったりしたが、独り旅の私はなんとなく居心地が悪かった。
そこで今度は近場をいろいろまわってみて、ここにたどり着いた。
小さな漁港と砂浜。
夏は海水浴が出来るらしい。
民宿が一つあって、私はそこに一か月ほど滞在していた。
そして港と砂浜の間くらいにあった空き家を借りたんだ。
サザエさんの家のような縁側に惹かれた。
一段高い、道路に近いところにある大きな家が大家さんで、この家は親御さんが住んでいたそうで。
お母さん一人になったので母屋で一緒に暮らしている。
この家もだいぶ昔に建ったようであちこちガタがきている。
そのためか、格安で貸してくれた。

秋の初めにきた台風でさらにガタがきて、、、解体という話になり、良かったら土地を買わないかと言われ、買いますと即答した。
仮住まいは民宿、入りきらない荷物は大家さんの家で預かってくれた。

玄関は右にある寝室まである土間にして、洗濯物も干せるくらい広くした。
玄関を上がると右に寝室、その奥は仕事部屋兼趣味部屋。
左は縁側があって手前が居間、奥が客間。
玄関を真っ直ぐ進んで、最奥はそこから右に向かって、トイレ、洗面所、風呂、砂を落とすシャワーブース、外からも入れるようにドアを付けた。
居間の奥がキッチンで左の方に物置兼パントリー、ここには勝手口を付けた。
理想の我が家が出来上がった。
台風に負けないよう頑丈に作ったので、貯金がだいぶ減ってしまった、そろそろ仕事を始めるか、仕事部屋も作ったしな。

ここでは夏には民宿や道の駅でバイトしたり、漁や釣り船の手伝いをしたりして、合間に以前の知り合いからの仕事も受けるようになった。
ブラックにならないくらいにね。

そんな暮らしにも慣れてきた頃、冒頭の事件です。
夏には海水浴客もそこそこ来るので、救命を学んでて良かった。
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