言葉の儚さと戻れない過去。そんな中生きていく私達へのメッセージを感じます。切ない気持ちになりますね。

豊富な比喩表現などなど、非常に読みごたえがありました。

純粋な愛から、もう一度彼に会いたいと主張する「私」。でも、読者目線だと「私」の傲慢さにも目が行く。叶わないから夢だけど、叶えばハッピーかと言われると難しい…。こうした見方で読むと、「夢」という言葉にちょっと暗い雰囲気を加えた作だなと、個人的には感じました。

水無月彩椰です。黒羽ひなたさんの新作ということで、よろこんで拝読させて頂きました。その上で、誠に僭越ながら、当方から感想を申し上げようと思います。

本作は『叶わないから夢』という表題のテーマを基にした物語構成で、やはりその印象通り、悲恋めいた物悲しい印象を受けました。

淡々とした語り口ながらも、その流れは滔々と、また非常に洗練された文章というのも相まって、流水のように澄みやかに、読者の胸臆へと浸透していくように思います。これは大変な文章力です。

なにより、その語り口の文章であるからこそ、最後の「幸せに溢れた日々をもう一度送りたいという希望は、今日もまた叶わないから夢────。」という一文が、いっそう際立つように感じます。

それと、最後にもう一つだけ述べさせてください。まさか二作目にして、ここまでの作品を書き上げるとは予想もしておりませんでした。文章はさらに引き締まり、構成も洗練され──やはり文芸創作における才能が見受けられます。

現在、御多忙の折とは存じますが、身辺に一段落がつきましたら、どうぞどうぞ、この深遠なる文芸創作の世界に足を踏み入れていただきたく思います。今後ますますのご活躍を期待しております。