「alive」

第六章【真実】

第11話【征服王】

ハーリィは玖炉を抱えたまま、ふわりと着地する。

ハーリィ「……これくらいじゃ死なないくらい解っています。姿を現してください。」

砕かれた石の破片が揺れ動き、アイオーンがよろめきながらも立つ。

アイオーン「おのれ……女……許さん…この俺に…傷を負わせるだと……」

アイオーンの表情が変わる。
体からは闇より深い黒色のオーラがにじみ出る。

アイオーン「……魔剣レーヴァテイン」

おぞましい程の闇のオーラを纏う剣を手に持ち

アイオーン「さらに…」

アイオーンの周りのオーラが自身を飲み込む。
そしてオーラは硬化したかのように動かなくなる。

ハーリィ「何を…？」

アイオーン「見るがいい……これが魔王の姿だ…」

亀裂が入り、真っ白い腕が這い出る。
暗闇の奥からは赤色の光と青色の光が見える。
そして包んでいたオーラの殻が割れた。

玖炉「な…なんだ……あれは……」

その姿は先程のアイオーンとは全くの別人のようだった。
髪、肌は白く、何より違うのは空気、一歩歩いただけで辺りの空気が重くなるような威圧感。

アイオーン「さぁ、続きを始めようか」

ハーリィ「…………」







ゼスト「先程下に落ちていったのは何だ？」

二階層にいたゼストは三階層から放ったゲイ・ボルグに押され落ちていったアイオーンの姿が確認できず、混乱していた。

ゼスト「俺の求めた確率でも答えはでない…なんなんだ…？」

ゼストは階段を降り、一階へと向かった。





キリカ「それにしても、先程の技…範囲を制限できないの？」

アグナムが使った大技、ヒュペリオンの炎が、かなり遠くにいた蒼馬のところへも届いていた。

蒼馬「あの場所ならとどかないんじゃなかったのか？」

フェル「あそこなら届かないと思ったけど…キリカさんの防御がなきゃ焼き焦げてたね」

アグナム「申し訳ないです妹様、キリカ殿」

キリカ「……！」

アグナム「……む」

キリカ「感じたようね」

アグナム「はい、この強い殺気…恐らくアイオーンかと」

フェル「私も……かすかに感じる」

キリカ「塔へ急ぎましょう、」