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隣国の裏切りに気付く余裕もないエルブ国――
一瞬にして多くの部下を奪われた総師団長アスパーは口惜し気に奥歯を噛み締め、強大なチカラを示され慄く自軍の騎士、兵士たちに、
『怯むなァ皆の者ォオォオォォーーーーーーッ!』
咆哮し、
「あれ程の術を使った後ならば! 次発に時間を要する筈だァアァ!」
「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」
鼓舞され、自身が「そんな基礎的な事」を失念するほど、気後れしていたのに気が付いた。
目が覚めた兵たちを前にアスパーは手にした剣を勇ましく高々振りかざし、
『我に続けぇーーーーーー!』
勇猛果敢な総指揮官の背に、
「「「「「「「「「「オォーーーーーーッ!!!」」」」」」」」」」
するとパトリニアは、目の色を変えて迫る彼らに対し、
「確かにそうなんですよねぇ~」
異様な落ち着きを多分に含んだ「困った素振り」を見せ、
(今の術に関しては、な)
漢声で、誰に言うでもなく呟くと、微かに覗く口元が不気味な笑みで歪み、
≪出でませぇ出でませぇ我らが地世王のチカラァ!≫
その身を再び地世の黒きチカラで覆い尽くし、彼らの想定外の次なる詠唱に入った。
「ばっ、馬鹿なァ! 地世信奉者ごときがぁ次発の詠唱だとォオォッ!!!」
慌てて足を止める総師団長アスパー。
続いていた兵たちも驚きと共に足を止めると、
≪我が身を焦がし真なる覚醒ォオーーーッ!≫
「「「「「「「「「「なっ!!!?」」」」」」」」」」
地世の導師パトリニアは巨大な「黒き火柱」と化し、激しく燃え上がった。
唖然とするアスパーと兵たち。
「ど、どいう事ぉなんだ……」
「追い詰められて自害した、のか……」
突然の事に戸惑いを覚え立ち尽くしていると、
「ッ!」
燃え盛る「黒き炎の火柱」から肌がヒリつく緊張感、殺気を覚える総師団長アスパー。
『皆の者ォオォ火柱から距離を取るのだァーーーーーーッ!』
瞬間的に叫んだが先か、数名の騎士、兵士たちが、
「グハァ!」
「ガハァ!」
黒き炎の火柱から突如伸びた「黒炎の一塊」に横殴りに飛ばされ、
「「「「「ギャーーーーーーッ!」」」」」
その身を黒き炎に焼き尽くされて灰と化し、地面に転がるより先、塵と化して風に飛ばされ消えて逝き、
「「「「「「「「「「な…………」」」」」」」」」」
絶句し、固まるエルブの兵たち。魂ごと焼き尽くされたかのような惨劇を前に。
しかし彼らは、更なる絶望を目の当たりにする事となる。
黒き炎の火柱は次第にその形状を変え、慄く彼らの前に現れたのは、黒い炎の化身の様な姿をした、左前脚が無い三本足の、見上げるほど巨大なオオカミであった。
『ガァルアァァァァァーーーーーーッ!!!』
大気を、そして大地をも振るわせる、肉体から魂を引き剥がしそうな、強烈かつ甚大な咆哮。
燃え盛る黒き炎の如きオオカミは、大きく開いた口から青白く怪しく光る息を吐き、血の様に赤黒くギラつく目で、エルブ兵たちを「アリの如き」と見下ろし睨み付けた。
数々の死線をくぐり抜けて来た総師団長アスパーの勘が告げる、
≪目の前に立つソレは決して見掛け倒しでない≫
「こっ、このバケモノが……!」
かつて経験した事の無い恐怖を前に、さしもの百戦錬磨の彼も足が前に出るのを心が拒み、竦む自身に歯ぎしりしていると、
≪ガルァ! 俺っちを信奉者ごときと同じと思うてかぁ、このぉ愚か者共がァアァ!≫
腹に響く黒狼の声。
「なっ、何だとぉ! それはどう言う、」
総師団長アスパーが問う間もなく、
『何でぇすのぉコレは!』
聞き覚えのある女性の驚き声が。
その声は、死線に居る兵たちにとって地獄に仏、
「「「「「「「「「「ドロプウォート様ぁ!」」」」」」」」」」
喜びの声で一斉に振り返った。
声の主は、人狼、サイクロプス達を、兵たちと共に倒しつつ駆けつけたドロプウォート。
黒狼パトリニアは、その姿を視認するやニヤリと大口を開け、
≪ガルラァ! 見つけたぞぉ小娘ぇえぇーーー! 生体兵器の分際でぇ俺っちから左腕を奪った代償ぉその身で支払って貰おうぅぞぉおぉーーーっ!≫
その「怨」の籠もった咆哮を、
「誰が「兵器」でぇすのォ!」
怯む様子も見せず撥ね除ける彼女であったが、
(左腕の?!)
思い当たる恨みは一つしかなく、
「まさか貴方は「地世の導師」ぃ!」
このような状況下でも「敵大将」を「貴方」と呼んでしまう所に、彼女の育ちの良さが窺えるが、
「「「「「「「「「「地世の導師ぃいぃぃ!」」」」」」」」」」
思いも寄らぬ正体にエルブの兵たちが驚愕の驚きを見せる中、黒狼パトリニアはドロプウォートから睨みの視線を外さず、
≪ガァルルルゥ! 貴様の様な「先祖返りの太刀筋」は、俺っち等、地世の者にとっては毒そのものぉ! 地世に仇をなすチカラなど、この場で滅してくれようぞぉーーーッ!≫
大きく息を吸い込むと、未だ距離があるにもかかわらず、
(死!)
ドロプウォートは自らの死を、瞬間的に悟った。
そんな彼女に向かって、大口を開ける黒狼パトリニア。
ボォファァアァァァアアァァァ!
青白き高温のブレスを、容赦なく吐きつけた。
それはブレスと言うより、もはや巨大なレーザー。
ドロプウォート目掛けて一直線。
「「「「「「「「「「うわぁあぁぁぁっぁあぁぁ!」」」」」」」」」」
幾十、幾百もの騎士、兵士たちが次々巻き込まれ、焼き尽くされ、そしてドロプウォートをも直撃したが、
≪ガァルアラァ! 小癪な愚民どもがァアアァッァァアァァ!≫
苛立ちの咆哮を上げたのは、黒狼パトリニア。
一瞬にして多くの部下を奪われた総師団長アスパーは口惜し気に奥歯を噛み締め、強大なチカラを示され慄く自軍の騎士、兵士たちに、
『怯むなァ皆の者ォオォオォォーーーーーーッ!』
咆哮し、
「あれ程の術を使った後ならば! 次発に時間を要する筈だァアァ!」
「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」
鼓舞され、自身が「そんな基礎的な事」を失念するほど、気後れしていたのに気が付いた。
目が覚めた兵たちを前にアスパーは手にした剣を勇ましく高々振りかざし、
『我に続けぇーーーーーー!』
勇猛果敢な総指揮官の背に、
「「「「「「「「「「オォーーーーーーッ!!!」」」」」」」」」」
するとパトリニアは、目の色を変えて迫る彼らに対し、
「確かにそうなんですよねぇ~」
異様な落ち着きを多分に含んだ「困った素振り」を見せ、
(今の術に関しては、な)
漢声で、誰に言うでもなく呟くと、微かに覗く口元が不気味な笑みで歪み、
≪出でませぇ出でませぇ我らが地世王のチカラァ!≫
その身を再び地世の黒きチカラで覆い尽くし、彼らの想定外の次なる詠唱に入った。
「ばっ、馬鹿なァ! 地世信奉者ごときがぁ次発の詠唱だとォオォッ!!!」
慌てて足を止める総師団長アスパー。
続いていた兵たちも驚きと共に足を止めると、
≪我が身を焦がし真なる覚醒ォオーーーッ!≫
「「「「「「「「「「なっ!!!?」」」」」」」」」」
地世の導師パトリニアは巨大な「黒き火柱」と化し、激しく燃え上がった。
唖然とするアスパーと兵たち。
「ど、どいう事ぉなんだ……」
「追い詰められて自害した、のか……」
突然の事に戸惑いを覚え立ち尽くしていると、
「ッ!」
燃え盛る「黒き炎の火柱」から肌がヒリつく緊張感、殺気を覚える総師団長アスパー。
『皆の者ォオォ火柱から距離を取るのだァーーーーーーッ!』
瞬間的に叫んだが先か、数名の騎士、兵士たちが、
「グハァ!」
「ガハァ!」
黒き炎の火柱から突如伸びた「黒炎の一塊」に横殴りに飛ばされ、
「「「「「ギャーーーーーーッ!」」」」」
その身を黒き炎に焼き尽くされて灰と化し、地面に転がるより先、塵と化して風に飛ばされ消えて逝き、
「「「「「「「「「「な…………」」」」」」」」」」
絶句し、固まるエルブの兵たち。魂ごと焼き尽くされたかのような惨劇を前に。
しかし彼らは、更なる絶望を目の当たりにする事となる。
黒き炎の火柱は次第にその形状を変え、慄く彼らの前に現れたのは、黒い炎の化身の様な姿をした、左前脚が無い三本足の、見上げるほど巨大なオオカミであった。
『ガァルアァァァァァーーーーーーッ!!!』
大気を、そして大地をも振るわせる、肉体から魂を引き剥がしそうな、強烈かつ甚大な咆哮。
燃え盛る黒き炎の如きオオカミは、大きく開いた口から青白く怪しく光る息を吐き、血の様に赤黒くギラつく目で、エルブ兵たちを「アリの如き」と見下ろし睨み付けた。
数々の死線をくぐり抜けて来た総師団長アスパーの勘が告げる、
≪目の前に立つソレは決して見掛け倒しでない≫
「こっ、このバケモノが……!」
かつて経験した事の無い恐怖を前に、さしもの百戦錬磨の彼も足が前に出るのを心が拒み、竦む自身に歯ぎしりしていると、
≪ガルァ! 俺っちを信奉者ごときと同じと思うてかぁ、このぉ愚か者共がァアァ!≫
腹に響く黒狼の声。
「なっ、何だとぉ! それはどう言う、」
総師団長アスパーが問う間もなく、
『何でぇすのぉコレは!』
聞き覚えのある女性の驚き声が。
その声は、死線に居る兵たちにとって地獄に仏、
「「「「「「「「「「ドロプウォート様ぁ!」」」」」」」」」」
喜びの声で一斉に振り返った。
声の主は、人狼、サイクロプス達を、兵たちと共に倒しつつ駆けつけたドロプウォート。
黒狼パトリニアは、その姿を視認するやニヤリと大口を開け、
≪ガルラァ! 見つけたぞぉ小娘ぇえぇーーー! 生体兵器の分際でぇ俺っちから左腕を奪った代償ぉその身で支払って貰おうぅぞぉおぉーーーっ!≫
その「怨」の籠もった咆哮を、
「誰が「兵器」でぇすのォ!」
怯む様子も見せず撥ね除ける彼女であったが、
(左腕の?!)
思い当たる恨みは一つしかなく、
「まさか貴方は「地世の導師」ぃ!」
このような状況下でも「敵大将」を「貴方」と呼んでしまう所に、彼女の育ちの良さが窺えるが、
「「「「「「「「「「地世の導師ぃいぃぃ!」」」」」」」」」」
思いも寄らぬ正体にエルブの兵たちが驚愕の驚きを見せる中、黒狼パトリニアはドロプウォートから睨みの視線を外さず、
≪ガァルルルゥ! 貴様の様な「先祖返りの太刀筋」は、俺っち等、地世の者にとっては毒そのものぉ! 地世に仇をなすチカラなど、この場で滅してくれようぞぉーーーッ!≫
大きく息を吸い込むと、未だ距離があるにもかかわらず、
(死!)
ドロプウォートは自らの死を、瞬間的に悟った。
そんな彼女に向かって、大口を開ける黒狼パトリニア。
ボォファァアァァァアアァァァ!
青白き高温のブレスを、容赦なく吐きつけた。
それはブレスと言うより、もはや巨大なレーザー。
ドロプウォート目掛けて一直線。
「「「「「「「「「「うわぁあぁぁぁっぁあぁぁ!」」」」」」」」」」
幾十、幾百もの騎士、兵士たちが次々巻き込まれ、焼き尽くされ、そしてドロプウォートをも直撃したが、
≪ガァルアラァ! 小癪な愚民どもがァアアァッァァアァァ!≫
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