ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第四章

4-8

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 移動を続けて少し開けた場所に出るラディッシュ達――

 おもむろに足を止めると、
「あ、あのぉ……ハクさん。その……お願が……」
 ラディッシュの顔色を窺う様な物言いに、
「はいはい、分かってますよぉ」
 ヤレヤレ口調で「皆まで言うな」と言わんばかり、
≪我がチカラァ、天世のチカラを以て我は拒む!≫
 その身を白き輝きに包むと同時に両腕をバッと広げ、

『隔絶ッ!』

 気合一発叫ぶに合わせ、ハクサンの立つ場所を中心に、目には見えない結界が半径数十メートルの規模で展開され、天世の「天法による監視網」から逃れる空間を作り上げた。
 巨大な隔離空間を作ったにもかかわらず、疲れた様子も見せず、
「これで良いかぁい?」
 面倒臭げな辟易笑いに、
「あははは、ありがとうハクさぁん♪」
 ラディッシュが愛想笑いで御機嫌を取ると、

「気遣い無用っスよぉ、ラディの兄貴」

 ターナップがため息交じりに、
「普段、何もしてねぇんスから、こんな時くらい働かせねぇとぉ」
 的を射た皮肉であったが、当のハクサンは骨身に応えた様子も見せず、

「相変わらずタープきゅんは、ぼくぃ辛辣だなぁ♪ ぼぉくだって最近、」
「誰が「タープきゅん」かぁ!」

 ターナップの「マメ」と思えるツッコミに、すかさずニプルも便乗し、からかいの笑顔で以て、

「何をする様になった、ってのさぁ?」
「ふっふっふ。良くぞ聞いてくれましたな、ニプルちゃん♪」
 普通レベルのイケメンスマイルで前髪をたなびかせ、
「何を隠そうぼくぁ最近、」
 語り始めようとしたが、

『そぉんな事より!』

 カドウィードが話に割って入り、
「自分、じゃなかった……アタシは早く今の実力を把握して、早く皆のように強くなりたいんだ、ですよ!」
 未だ漢口調が抜けず、キャラクターが定まらない様子ではあるものの、修行開始の催促をすると、自慢話の腰を折られたハクサンは、
「たまに「良い事」を言おうとするとコレだもぉん!」
 不満顔。

 その不服そうな顔にカドウィードがニプル達と笑い合っていると、様子を見ていたドロプウォートがラディッシュとパストリスに、小声でそれとなく、
(彼女は明るくなりましたわねぇ)
(でぇすでぇすねぇ)
(うん。前は、笑顔の中にも陰りがあったけど……)
 カルニヴァ国で彼女の身に降り掛かった、数々の出来事を思い返し、
(明るくなってくれて、本当に良かったよ)
 笑みを見せ合い、そんな三人の生温かい視線に気付いたカドウィードが、

「何してるんだ、ですのぉ!」

 三人を笑顔で手招きしながら、
「修行を始めるぞ、ですわよぉ!」
 未だ安定しない、しなやかな言葉遣い。

(((苦戦してるなぁ~)))

 ラディッシュ、ドロプウォート、パストリスは、小さく笑い合うと、
「ちょっと待ってよぉ、ウィードさぁん♪」
「抜け駆けは許しませんわよぉ♪」
「でぇすでぇすよぉ♪」
 彼女たちの下へ駆け寄った。
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