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第六章
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やがて遠くから――
誰かの声が。
(ラデ……)
それは呼び声であり、
(ラディ……)
次第に大きくハッキリと、
『ラディ!』
『ッ!』
カッと両眼を見開く、ラディッシュ。
いつの間に、眠ってしまっていたようである。
見上げれば、そこには「気の合う仲間」たちの笑顔が。
声を掛けていたのはドロプウォートであった。
彼女は心配が交じった笑みを浮かべながら、
「この様な所で寝ていては、例え勇者と言えど風邪を引いてしまいましてですわぁ」
「…………」
起き上がって周囲を見れば、陽は傾き始めていて、オレンジ色の温かな光りの中で、安堵の笑みを浮かべる仲間たちに、
「…………」
ラディッシュは振り返って女神像を見上げ、
(ラミィ、見てる? これが僕たちの仲間だよ)
笑みを浮かべると、
「さぁて」
やおら立ち上がり、
「みんなに心配かけちゃったみたいだねぇ♪」
改めて仲間たちの笑顔を見回し、
「晩御飯にしようか?」
「「「「「賛成ぇ!」」」」」
屋敷に向かって、共に歩き始め、
「それにしても「僕がここに居る」って、みんなよく分かったねぇ?」
「貴方の様なコミュ障が一人で行けそうな所など、限られてですわぁ♪」
「あははは。そぅ言えばチィちゃんは?」
「泣き疲れて眠っちまってたさぁ」
「泣き疲れぇ?」
「初めはぁ買い物を楽しんでいたそうなのでぇす。でもスグに寂しくなって泣き出したそうなのでぇす♪」
「へぇ~なんか親(仮)として嬉しいやら、甘えん坊で困ったやらぁ。それで何か面白い本はあったの?」
「あったにぃ決まってありんしょう、旦様(だんさま)ぁ」
「へぇ? 何?! カディぃ??! その着物と話し方はどうしたの?!!! またキャラ変え?!!!!」
「ラディの兄貴ぃ~んな事より、なんでぇ帰っちまったんスかぁ? あの後の風呂は、最っ高に面白かったんスよぉ~!」
「えっ?! いっ、いやぁだってさぁ~」
歩調を揃え次第に遠ざかる六つの背中。
その背中を、女神像は優しく見送った。
数日が経過し――
何故か悲し気な表情で佇む、ドロプウォートの両親。
いつもの明るさを失った二人はおもむろに、
「もぅ行ってしまうのかい?」
「陛下からは「ゆっくりして良い」と言われているのでしょう?」
視線の先に居たのは、旅支度を整え終わったラディッシュ達。
するとラディッシュが仲間たちを代表して恭しく、敬意を以て、
「お気持ちだけ頂いておきます、オエナンサ卿」
会釈をし、
「ですが、いつまでも厚意に甘えている訳にもいきませんし、何より陛下から賜った任(にん)もありますので」
仲間たちも頷くと、ドロプウォートの父親であるオエナンサ卿は残念そうに、
「そうか……ラディッシュ君たちは、もう立派な騎士なのだね」
「致し方ありませんですわね」
妻も残念そうなため息を吐いた後、
「「でも、」」
二人は声を揃え、
「「次からは「お義父さん・お義母さん」と呼んで欲しい(かなぁ・ですわねぇ)~」」
二重奏の微笑みに、
『なっ! ななんぁな何を言い出してますでぇすのぉお父様ぁ! お母様ぁあぁ!』
赤面顔で狼狽露わにするドロプウォート。
ラディッシュも、背中に女子組からの刺さる視線を感じながら苦笑交じりに「あはは」と笑ってお茶を濁し、話の矛先を変えようと、
「それで、そのぉ……」
傍らの何かに視線を移した。
そこにはあったのは二頭立ての馬付き、幌(ほろ)付きの荷馬車であり、ラディッシュは恐縮した物言いで、
「本当に頂いて良いんですか?」
するとオエナンサ卿は憂いの無い笑顔で、
「モチロンだよ、ラディッシュ君」
頷き、
「君達が今までして来た功績を考えたら、安い位の物だよ」
「そうですわよ」
妻も笑顔を見せ、
「ありがとうございます!」
ラディッシュが謝意を伝えると、ドロプウォートも感極まった様子で、
「ありがとうございます、お父様ぁ、お母様ぁ!」
「ラディッシュ君たちを、しっかりと支えるんだよ」
「体には気を付けてね」
涙なくして語れない、親子の別れの場面であったが、
「それよりも……」
「「?」」
娘は首を傾げる両親に、
『いい加減に「ワタクシのチィちゃん」を返して頂けませんですのぉ!!!』
「「!?」」
二人の手にはチィックウィードの両手がそれぞれ握られていて、事情を知らない人が見たら、まるでドロプウォートとチィックウィードの別れの様相。
「あぁ~うっかりしていたよぉ~♪」
「本当ですわねぇ、うっかりしていましたわぁ~♪」
他意無さげに照れ笑う二人の姿に、
(((((むしろその笑顔が冗談に聞こえない……)))))
不安を覚える仲間たちと、
『私の感激を返して下さいですわぁあぁ!』
嘆く娘のドロプウォートであった。
少々の茶番はあったものの、ドロプウォートの両親はチィックウィードの目線の高さまで屈み、改めて、
「またおいでね、チィちゃん♪」
「ここも「貴方の家」なのですわ、チィちゃん♪」
笑顔の見送りに幼子は「ニッ」と笑って、
「ありがとなぉ! じぃじ! ばぁば! ダイスキなぉ♪」
二人に抱き付くと、
『『ほぉうぁ♪』』
ドロプウォートの両親は至福の笑顔で幼子を固く抱き締め、
「「本当に連れて行ってしまうの(かぁい・ますの)♪」」
『ダメぇですわぁあ!』
嫉妬混じりに愛娘を祖父母(仮)から引き剥がす、ドロプウォートママ。
噛みつきそうな勢いで「絶対に渡さない」と言わんばかり、しかと娘を抱き締め、迂闊に手を伸ばせば即座に引っかかれそうな形相。
からかい半分であった彼女の両親は、実の娘の過剰反応に「ヤレヤレ」といった笑みを浮かべ合うと、やおら立ち上がり、
「気を付けて行って来なさい」
「無理は禁物ですわよ」
見せたのは、親としての顔。
(お父様……お母様……)
心打たれる娘であったが、
「「チィちゃんは置いて行っても良いけどぉ♪」」
『もぅ! 感動の旅立ちが台無しですわぁあぁぁ!』
憤慨するドロプウォートに、仲間たちは両親と笑い合った。
誰かの声が。
(ラデ……)
それは呼び声であり、
(ラディ……)
次第に大きくハッキリと、
『ラディ!』
『ッ!』
カッと両眼を見開く、ラディッシュ。
いつの間に、眠ってしまっていたようである。
見上げれば、そこには「気の合う仲間」たちの笑顔が。
声を掛けていたのはドロプウォートであった。
彼女は心配が交じった笑みを浮かべながら、
「この様な所で寝ていては、例え勇者と言えど風邪を引いてしまいましてですわぁ」
「…………」
起き上がって周囲を見れば、陽は傾き始めていて、オレンジ色の温かな光りの中で、安堵の笑みを浮かべる仲間たちに、
「…………」
ラディッシュは振り返って女神像を見上げ、
(ラミィ、見てる? これが僕たちの仲間だよ)
笑みを浮かべると、
「さぁて」
やおら立ち上がり、
「みんなに心配かけちゃったみたいだねぇ♪」
改めて仲間たちの笑顔を見回し、
「晩御飯にしようか?」
「「「「「賛成ぇ!」」」」」
屋敷に向かって、共に歩き始め、
「それにしても「僕がここに居る」って、みんなよく分かったねぇ?」
「貴方の様なコミュ障が一人で行けそうな所など、限られてですわぁ♪」
「あははは。そぅ言えばチィちゃんは?」
「泣き疲れて眠っちまってたさぁ」
「泣き疲れぇ?」
「初めはぁ買い物を楽しんでいたそうなのでぇす。でもスグに寂しくなって泣き出したそうなのでぇす♪」
「へぇ~なんか親(仮)として嬉しいやら、甘えん坊で困ったやらぁ。それで何か面白い本はあったの?」
「あったにぃ決まってありんしょう、旦様(だんさま)ぁ」
「へぇ? 何?! カディぃ??! その着物と話し方はどうしたの?!!! またキャラ変え?!!!!」
「ラディの兄貴ぃ~んな事より、なんでぇ帰っちまったんスかぁ? あの後の風呂は、最っ高に面白かったんスよぉ~!」
「えっ?! いっ、いやぁだってさぁ~」
歩調を揃え次第に遠ざかる六つの背中。
その背中を、女神像は優しく見送った。
数日が経過し――
何故か悲し気な表情で佇む、ドロプウォートの両親。
いつもの明るさを失った二人はおもむろに、
「もぅ行ってしまうのかい?」
「陛下からは「ゆっくりして良い」と言われているのでしょう?」
視線の先に居たのは、旅支度を整え終わったラディッシュ達。
するとラディッシュが仲間たちを代表して恭しく、敬意を以て、
「お気持ちだけ頂いておきます、オエナンサ卿」
会釈をし、
「ですが、いつまでも厚意に甘えている訳にもいきませんし、何より陛下から賜った任(にん)もありますので」
仲間たちも頷くと、ドロプウォートの父親であるオエナンサ卿は残念そうに、
「そうか……ラディッシュ君たちは、もう立派な騎士なのだね」
「致し方ありませんですわね」
妻も残念そうなため息を吐いた後、
「「でも、」」
二人は声を揃え、
「「次からは「お義父さん・お義母さん」と呼んで欲しい(かなぁ・ですわねぇ)~」」
二重奏の微笑みに、
『なっ! ななんぁな何を言い出してますでぇすのぉお父様ぁ! お母様ぁあぁ!』
赤面顔で狼狽露わにするドロプウォート。
ラディッシュも、背中に女子組からの刺さる視線を感じながら苦笑交じりに「あはは」と笑ってお茶を濁し、話の矛先を変えようと、
「それで、そのぉ……」
傍らの何かに視線を移した。
そこにはあったのは二頭立ての馬付き、幌(ほろ)付きの荷馬車であり、ラディッシュは恐縮した物言いで、
「本当に頂いて良いんですか?」
するとオエナンサ卿は憂いの無い笑顔で、
「モチロンだよ、ラディッシュ君」
頷き、
「君達が今までして来た功績を考えたら、安い位の物だよ」
「そうですわよ」
妻も笑顔を見せ、
「ありがとうございます!」
ラディッシュが謝意を伝えると、ドロプウォートも感極まった様子で、
「ありがとうございます、お父様ぁ、お母様ぁ!」
「ラディッシュ君たちを、しっかりと支えるんだよ」
「体には気を付けてね」
涙なくして語れない、親子の別れの場面であったが、
「それよりも……」
「「?」」
娘は首を傾げる両親に、
『いい加減に「ワタクシのチィちゃん」を返して頂けませんですのぉ!!!』
「「!?」」
二人の手にはチィックウィードの両手がそれぞれ握られていて、事情を知らない人が見たら、まるでドロプウォートとチィックウィードの別れの様相。
「あぁ~うっかりしていたよぉ~♪」
「本当ですわねぇ、うっかりしていましたわぁ~♪」
他意無さげに照れ笑う二人の姿に、
(((((むしろその笑顔が冗談に聞こえない……)))))
不安を覚える仲間たちと、
『私の感激を返して下さいですわぁあぁ!』
嘆く娘のドロプウォートであった。
少々の茶番はあったものの、ドロプウォートの両親はチィックウィードの目線の高さまで屈み、改めて、
「またおいでね、チィちゃん♪」
「ここも「貴方の家」なのですわ、チィちゃん♪」
笑顔の見送りに幼子は「ニッ」と笑って、
「ありがとなぉ! じぃじ! ばぁば! ダイスキなぉ♪」
二人に抱き付くと、
『『ほぉうぁ♪』』
ドロプウォートの両親は至福の笑顔で幼子を固く抱き締め、
「「本当に連れて行ってしまうの(かぁい・ますの)♪」」
『ダメぇですわぁあ!』
嫉妬混じりに愛娘を祖父母(仮)から引き剥がす、ドロプウォートママ。
噛みつきそうな勢いで「絶対に渡さない」と言わんばかり、しかと娘を抱き締め、迂闊に手を伸ばせば即座に引っかかれそうな形相。
からかい半分であった彼女の両親は、実の娘の過剰反応に「ヤレヤレ」といった笑みを浮かべ合うと、やおら立ち上がり、
「気を付けて行って来なさい」
「無理は禁物ですわよ」
見せたのは、親としての顔。
(お父様……お母様……)
心打たれる娘であったが、
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
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