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第八章
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北上するフリンジと合成獣の群れ――
遺跡周りに生息する野生動物たちや強力な汚染獣たち、それに加えて巨木など、立ち塞がる全てを蹴散らしながらの行軍。
ほどなく、
「…………」
無言で足を止める、先陣のフリンジ。
振り返る事もなく右手を上げると、合成獣たちの地鳴りを伴う行軍も一時停止。
すると彼は正面を見据えたまま、
『思ったより「遅い登場」でしたね』
神経質そうな面立ちの口元に冷笑を浮かべ、
「今の時代の勇者とは、この程度のモノなのですか」
先に居たのは言わずもがな、ラディッシュたち勇者組。
凛と立ちはだかる勇者たちを前に彼は、怒りを誘って冷静を失わせる先制と言える口撃を放ち、挑発から主導権を握ろうとしたのだが、彼の心根がどのような物であるか熟知している勇者組は、ことさら腹を立てる事も無く、
『余談は不要だよ』
先陣のラディッシュは剣を静かに抜き出し構え、
「決着をつけよう、フリンジ」
しかし彼は余裕の見える不敵な笑みを崩さず、
「七人揃って当方の御相手ですか……それで本当に良いのですかねぇ?」
(((((((?)))))))
含んだ物言いに違和感を抱くと、
「分かりませんか?」
フリンジはヤレヤレと言った口振りで、
「貴方がたがノンビリしている間にも、平穏を謳歌する「例の家族」が、」
即座に、
『あぁ~「妖人(あやかしびと)の家族」の事を言ってるんですかぁ♪』
ラディッシュは笑顔で二の句を遮り、腑に落ちない様子の彼に、
「人質にでもして、僕たちの自由を奪う算段でもしていたんですかぁ?」
「…………」
「それは残念♪」
無言を一笑に付し、
「親衛隊が家族にナイショで、遠巻きに持ち回りで警備していたのを知らなかったんですかぁ?」
(何でぇすとぉ!?)
驚きを顔に出したつもりは無かったが、ラディッシュは見透かしたように、
「今頃は家族に事実を明かして、村に向かってる最中だと思いますよ」
「…………」
無言を貫く表情は、ともすれば「それがどうした」とでも言いたげにも見えたが、腹の中は、
(何故にぃそこまで気付かれたぁ?!!!)
激しく動揺していた。
卑劣な策ばかり弄して来たが故の「見破られ」であったが、嘘を吐き続けると自分が嘘を言っているのにさえ気付けなくなるのと同様、彼は思慮の浅い「愚かな企て」に依存するあまり策士としての感覚が麻痺して鈍くなっていたのであった。
自身の愚行を顧みることも出来ず、秘策が露見していた事に焦りを覚えるフリンジ。
そんな彼に追い打ちを掛けるように、
「それより向かわせた戦力を戻さなくて良いんですか?」
「?!」
「あの家の一帯には汚染獣除けに浄化領域が作ってあって、天世人のスパイダさん達が天世のチカラを存分に発揮できる場所ですけどぉ?」
「!」
勇者組の「戦力を封じる策」を弄した筈が、逆に「戦力を削られる罠」に嵌められる形となった自称地世の智将フリンジ。
軍師を自ら謳う身でありながら策で一本取られたことに、
(クッ!)
内心では忌ま忌ましく思いつつ、悔しさを顔に出すは「負けを認めたと同意」と思い、
『ならば良いでしょう』
表面上は平静を装い、剣を鞘から静かに抜き出し、
「真っ向勝負と参りましょうか」
負け惜しみにしか聴こえない「正々堂々」を口にした。
私兵用に強化した「合成獣の多勢」を背後に配しておきながら。
覚悟の物言いとの不釣り合いが「滑稽に見えている」と気付けぬほど愚策に溺れた彼ではあったが、勇者組の七人にとってそんな事はどうでも良い話であった。
《卑劣漢フリンジとの不要な縁(えにし)の断ち切り》
それを以て国を、村を、そしてサロワートを救う事こそ本懐であった。
遺跡周りに生息する野生動物たちや強力な汚染獣たち、それに加えて巨木など、立ち塞がる全てを蹴散らしながらの行軍。
ほどなく、
「…………」
無言で足を止める、先陣のフリンジ。
振り返る事もなく右手を上げると、合成獣たちの地鳴りを伴う行軍も一時停止。
すると彼は正面を見据えたまま、
『思ったより「遅い登場」でしたね』
神経質そうな面立ちの口元に冷笑を浮かべ、
「今の時代の勇者とは、この程度のモノなのですか」
先に居たのは言わずもがな、ラディッシュたち勇者組。
凛と立ちはだかる勇者たちを前に彼は、怒りを誘って冷静を失わせる先制と言える口撃を放ち、挑発から主導権を握ろうとしたのだが、彼の心根がどのような物であるか熟知している勇者組は、ことさら腹を立てる事も無く、
『余談は不要だよ』
先陣のラディッシュは剣を静かに抜き出し構え、
「決着をつけよう、フリンジ」
しかし彼は余裕の見える不敵な笑みを崩さず、
「七人揃って当方の御相手ですか……それで本当に良いのですかねぇ?」
(((((((?)))))))
含んだ物言いに違和感を抱くと、
「分かりませんか?」
フリンジはヤレヤレと言った口振りで、
「貴方がたがノンビリしている間にも、平穏を謳歌する「例の家族」が、」
即座に、
『あぁ~「妖人(あやかしびと)の家族」の事を言ってるんですかぁ♪』
ラディッシュは笑顔で二の句を遮り、腑に落ちない様子の彼に、
「人質にでもして、僕たちの自由を奪う算段でもしていたんですかぁ?」
「…………」
「それは残念♪」
無言を一笑に付し、
「親衛隊が家族にナイショで、遠巻きに持ち回りで警備していたのを知らなかったんですかぁ?」
(何でぇすとぉ!?)
驚きを顔に出したつもりは無かったが、ラディッシュは見透かしたように、
「今頃は家族に事実を明かして、村に向かってる最中だと思いますよ」
「…………」
無言を貫く表情は、ともすれば「それがどうした」とでも言いたげにも見えたが、腹の中は、
(何故にぃそこまで気付かれたぁ?!!!)
激しく動揺していた。
卑劣な策ばかり弄して来たが故の「見破られ」であったが、嘘を吐き続けると自分が嘘を言っているのにさえ気付けなくなるのと同様、彼は思慮の浅い「愚かな企て」に依存するあまり策士としての感覚が麻痺して鈍くなっていたのであった。
自身の愚行を顧みることも出来ず、秘策が露見していた事に焦りを覚えるフリンジ。
そんな彼に追い打ちを掛けるように、
「それより向かわせた戦力を戻さなくて良いんですか?」
「?!」
「あの家の一帯には汚染獣除けに浄化領域が作ってあって、天世人のスパイダさん達が天世のチカラを存分に発揮できる場所ですけどぉ?」
「!」
勇者組の「戦力を封じる策」を弄した筈が、逆に「戦力を削られる罠」に嵌められる形となった自称地世の智将フリンジ。
軍師を自ら謳う身でありながら策で一本取られたことに、
(クッ!)
内心では忌ま忌ましく思いつつ、悔しさを顔に出すは「負けを認めたと同意」と思い、
『ならば良いでしょう』
表面上は平静を装い、剣を鞘から静かに抜き出し、
「真っ向勝負と参りましょうか」
負け惜しみにしか聴こえない「正々堂々」を口にした。
私兵用に強化した「合成獣の多勢」を背後に配しておきながら。
覚悟の物言いとの不釣り合いが「滑稽に見えている」と気付けぬほど愚策に溺れた彼ではあったが、勇者組の七人にとってそんな事はどうでも良い話であった。
《卑劣漢フリンジとの不要な縁(えにし)の断ち切り》
それを以て国を、村を、そしてサロワートを救う事こそ本懐であった。
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