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第十一章
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中世の七草であった二人が地世の人々の為に出来る事を模索していた頃――
そこは、空がどこまでも青く澄みきった世界。
小鳥たちが美しくさえずり、木々の枝葉の隙間がやわらかに煌めき、春の陽気を思わせる穏やかな陽が降り注ぐ、桃源郷を想わせる天世の世界であったのだが、
「「「「「…………」」」」」
ある者は悲し気に、ある者は怒りに、それぞれ抱く感情は別ながらも、唖然とした表情で何かを見つめていた。
その者たちは、中世の七草ラディッシュたち勇者組。
そして視線の先にあったのは、
《破壊の限りを尽くされた、とある村》
以前に天世で目にした村々と言えば、中世の民からすれば現実離れしたほど穏やかな、牧歌的風景絵画を思わせる光景であったが、今、一行の目の前にあるのは、
「「「「「…………」」」」」
畑は踏み荒らされ、燃えた家屋が炭と化し、村人たちに心地良い木陰を提供していたであろう木々も容赦なくへし折られ、粉砕され、平穏が日常であった筈の世界は、さながら世紀末の様相。
勇者組はリンドウの首飾りのチカラを使った導きにより、無事に天世に到着していたのであった。
彼女が選んだ出現場所は天世の中枢である天宮(てんきゅう)から遠く離れた、元老院に対抗する組織の拠点があった場所の近くであり、ヒレンが渡った場所の近く。
流石に何が待ち受けているか分からない拠点のド真ん中や、ヒレンが渡った場所を出現場所にするのはあまりにリスクが高く、少し離れた森の中を選び、そこから彼女が目指したであろう拠点に徒歩で向かっていたのだが、
「近くの村が気になるから、ちょっとだけ寄り道するのしぃ♪」
リンドウたっての希望で脇道に逸れていた。
そしてこの時の彼女は、楽観していた。
攻撃を加えたのが地世王ラミウムの指示であり、よもや天宮から遠く離れたこの地は、
《さほど大きな被害を受けてはいないだろう》
しかし、その認識は甘かった。
現実は、過酷であった。
目にした光景は戦争の激戦地のような有り様であり、人の存在の消え失せた村の中を、焦げた異臭だけが未だ漂う中を、
「酷い……」
悲嘆に暮れるラディッシュは仲間たちと歩いた。
要所要所に残る地世のチカラの汚染や、獣たちの数多の足跡が、人の手による蹂躙でないのを窺わせる。
あまりに無慈悲で無惨な光景に、
「「「…………」」」
ニプルウォート、カドウィード、幼きチィックウィードが言葉を失う中、特に村の以前の姿を知るリンドウは衝撃の大きさからか顔を真っ青に、
「…………」
今にも嘔吐して倒れてしまいそうな足取りであった。
歩けど歩けど人の気配は無し。
幸運であったのは襲撃の気配が無いことであろうか。
(休ませてあげた方が良いな……)
村の中央まで来たラディッシュは気丈を装い続けるリンドウを気遣い、あえて彼女の名は口に出さず、まるで自身のワガママであるかのような口振りで、
「みんなも疲れたと思うし、幸いここは開けた場所で見通しが利くから、ちょっと休もうよ~♪」
休息の催促をした。
本来ならば家々に囲まれている村の中央で、見通しが利く。
皮肉な話ではあるが、村はそれ程までに徹底的に破壊し尽くされていた。
破壊したのは送り込まれた汚染獣か、合成獣か、はたまた強制合成獣化させられた天世の人の成れの果てか。
情報が著しく不足している中では類推するのも困難であったが、今は何より、
《リンドウを休ませる》
それこそが最優先事項であった。
一先ず、村の中央広場の名残を辛うじて残す場所に陣取り、各々座り、休息を取る。
しかし、
「…………」
ソワソワと落ち着きなく、心が休まる様子の見えないリンドウ。
元気な明るさが服を着て歩いているような彼女が今や、不安げな表情で俯いたかと思えば、拠点があると思われる森の奥に視線を移したりの繰り返し。
長く行動を共にして来たゴゼンは地世に堕とされ、ヒレンは出奔。
加えて百人の天世人の実質的頂点に立ちながら、他の「百人の天世人」の安否も不明のさ中、志を同じく元老院に反旗を翻した仲間たちの安否さえ不明となれば、落ち着きを取り戻せないのも理解でき、
(…………)
彼女の心中の焦りは如何ほどか。
からかいが信条のニプルウォートとカドウィードでさえ迂闊な声掛けを控え、休息を選択したラディッシュは、
(失敗だったかな……)
後悔を覚えた。
そんな中、
(!)
幼きチィックウィードがドロプウォートの座る椅子車を押しながら、不安を拭えぬリンドウの下に。
傍らに近付き、そして不意に、
『!?』
頭を優しく撫で撫で。
あたかも彼女が年下であるかのような、慈愛を以て。
そこは、空がどこまでも青く澄みきった世界。
小鳥たちが美しくさえずり、木々の枝葉の隙間がやわらかに煌めき、春の陽気を思わせる穏やかな陽が降り注ぐ、桃源郷を想わせる天世の世界であったのだが、
「「「「「…………」」」」」
ある者は悲し気に、ある者は怒りに、それぞれ抱く感情は別ながらも、唖然とした表情で何かを見つめていた。
その者たちは、中世の七草ラディッシュたち勇者組。
そして視線の先にあったのは、
《破壊の限りを尽くされた、とある村》
以前に天世で目にした村々と言えば、中世の民からすれば現実離れしたほど穏やかな、牧歌的風景絵画を思わせる光景であったが、今、一行の目の前にあるのは、
「「「「「…………」」」」」
畑は踏み荒らされ、燃えた家屋が炭と化し、村人たちに心地良い木陰を提供していたであろう木々も容赦なくへし折られ、粉砕され、平穏が日常であった筈の世界は、さながら世紀末の様相。
勇者組はリンドウの首飾りのチカラを使った導きにより、無事に天世に到着していたのであった。
彼女が選んだ出現場所は天世の中枢である天宮(てんきゅう)から遠く離れた、元老院に対抗する組織の拠点があった場所の近くであり、ヒレンが渡った場所の近く。
流石に何が待ち受けているか分からない拠点のド真ん中や、ヒレンが渡った場所を出現場所にするのはあまりにリスクが高く、少し離れた森の中を選び、そこから彼女が目指したであろう拠点に徒歩で向かっていたのだが、
「近くの村が気になるから、ちょっとだけ寄り道するのしぃ♪」
リンドウたっての希望で脇道に逸れていた。
そしてこの時の彼女は、楽観していた。
攻撃を加えたのが地世王ラミウムの指示であり、よもや天宮から遠く離れたこの地は、
《さほど大きな被害を受けてはいないだろう》
しかし、その認識は甘かった。
現実は、過酷であった。
目にした光景は戦争の激戦地のような有り様であり、人の存在の消え失せた村の中を、焦げた異臭だけが未だ漂う中を、
「酷い……」
悲嘆に暮れるラディッシュは仲間たちと歩いた。
要所要所に残る地世のチカラの汚染や、獣たちの数多の足跡が、人の手による蹂躙でないのを窺わせる。
あまりに無慈悲で無惨な光景に、
「「「…………」」」
ニプルウォート、カドウィード、幼きチィックウィードが言葉を失う中、特に村の以前の姿を知るリンドウは衝撃の大きさからか顔を真っ青に、
「…………」
今にも嘔吐して倒れてしまいそうな足取りであった。
歩けど歩けど人の気配は無し。
幸運であったのは襲撃の気配が無いことであろうか。
(休ませてあげた方が良いな……)
村の中央まで来たラディッシュは気丈を装い続けるリンドウを気遣い、あえて彼女の名は口に出さず、まるで自身のワガママであるかのような口振りで、
「みんなも疲れたと思うし、幸いここは開けた場所で見通しが利くから、ちょっと休もうよ~♪」
休息の催促をした。
本来ならば家々に囲まれている村の中央で、見通しが利く。
皮肉な話ではあるが、村はそれ程までに徹底的に破壊し尽くされていた。
破壊したのは送り込まれた汚染獣か、合成獣か、はたまた強制合成獣化させられた天世の人の成れの果てか。
情報が著しく不足している中では類推するのも困難であったが、今は何より、
《リンドウを休ませる》
それこそが最優先事項であった。
一先ず、村の中央広場の名残を辛うじて残す場所に陣取り、各々座り、休息を取る。
しかし、
「…………」
ソワソワと落ち着きなく、心が休まる様子の見えないリンドウ。
元気な明るさが服を着て歩いているような彼女が今や、不安げな表情で俯いたかと思えば、拠点があると思われる森の奥に視線を移したりの繰り返し。
長く行動を共にして来たゴゼンは地世に堕とされ、ヒレンは出奔。
加えて百人の天世人の実質的頂点に立ちながら、他の「百人の天世人」の安否も不明のさ中、志を同じく元老院に反旗を翻した仲間たちの安否さえ不明となれば、落ち着きを取り戻せないのも理解でき、
(…………)
彼女の心中の焦りは如何ほどか。
からかいが信条のニプルウォートとカドウィードでさえ迂闊な声掛けを控え、休息を選択したラディッシュは、
(失敗だったかな……)
後悔を覚えた。
そんな中、
(!)
幼きチィックウィードがドロプウォートの座る椅子車を押しながら、不安を拭えぬリンドウの下に。
傍らに近付き、そして不意に、
『!?』
頭を優しく撫で撫で。
あたかも彼女が年下であるかのような、慈愛を以て。
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