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青木 森

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8.朋友の章_25

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 一方、赤いフィールドを展開し、大通りを突き進むコーギーと、身を屈めるエラ。
 止む気配のない無駄な攻撃に、流石に苛立ち、
(いい加減、鬱陶しいですねぇ。ヴァイオレットが突っ込む気持ちも分かりますよ)
 エラを守る為に我慢し、留まっていたコーギーであったが、身を屈めて後をついて来ていたエラが、
「お二人に守ってもらってばかりでは、流石に申し訳ないですねぇ」
 その声には緊張感が無く、まるでリラックスしている様子。
「え?」
 振り返ると、エラが準備運動をしていた。
「な、何をする気ですか、エラ?」
「え? 何って、戦闘行為ですよ?」
「武器は?」
「ん? あぁ~私、武器は持ち歩かない主義なんです。もっぱら現地調達です。重いし、かさばるし、敵か貰えば残弾の心配もいらないじゃないですかぁ~」
 あっけらかんと言ってのけた。
(この子、もしかして……)
 一考したコーギーは、フィールド内から今にも飛び出しそうなエラに、
「エラ! どんな武器が欲しいですか?」
「え? そうですねぇ~遠距離からの攻撃が無くて、全て中・近距離の攻撃なので、スコープ付きの、アサルトライフルなんかがあると良いですねぇ」
 笑顔を見せると、
「両手を前に出して下さい」
「?」
 促されるまま、両掌を上に向けて差し出すエラ。
 するとコーギーが赤いフィールドを展開する右手とは逆の、左掌をエラの手の上にかざし、
「来なさい!」
 掌に集まる赤い光。やがて赤い光は一つの形を徐々に形成して行き、
「ほへぇ!?」
 驚くエラの両掌の上で、スコープ付きのアサルトライフルになり、ズシリと乗っかった。
「な、なっ、何んじゃこりゃあぁあぁぁぁぁ!」
 両手の上に乗るアサルトライフルを、過剰に驚愕した表情で見つめるエラ。
「……何ですかそれはぁ?」
「いやぁ~「信奉者」なら一度は言ってみたいセリフなんで、ついぃ」
 気恥ずかしげに頭を掻くと、
「何の事だか分かりませんが、とりあえず弾は無限に出ますよ」
「…………」
 絶句してライフルを見つめるエラに、
(現代人なら、誰だってそう言う反応になりますよね……)
 いつも通りの作り笑顔の中で、苦笑するコーギーであったが、エラから返った反応は予想外のモノであった。
「スコープ付きのHK、7.62mmですかぁ! 中々のナイスチョイスですねぇ!」
 発砲を続けるマフィア達の一角に向け、笑顔でライフルを構えて見せるエラ。
 その物怖じしない姿に、
(流石は二面の死神(マリア)の直轄部隊の流れをくむ者、と言った処ですかぁ。ただのドジっ娘ではないようですねぇ)
 微かな笑みを浮かべると、ライフルを構えていたエラが、
「エクゥチュン!」
 可愛らしいクシャミと共に、
 バァババババババァァァ!
 勢い余って誤射連射。
 ヤングマフィアの数名が銃弾に倒れ、
「あ、あははははは……撃っちゃいましたぁ」
 笑って誤魔化すと、
(前言撤回ですねぇ……)
 呆れたジト目で見つめるコーギー。
 しかしエラは、
「でもまぁ、お陰でこの子の癖は分かりました!」
「え?」
 スコープを覗いて、改めてライフルを構え直すと、
 パァン!
 数百メートル離れた相手を一撃で仕留め、近距離に群がる相手には、
 トゥタタタタタタタタタァ!
 的当てゲームの如く、連射で次々軽々仕留めて行き、
「良い子ですねぇ~」
 エラは笑顔で振り返った。
(コチラの方を、用心しないといけないようですねぇ)
 コーギーは作り笑顔の中に、苦笑いを滲ませ、
「守りは任せて下さい。露払いは任せましたよぉ!」
「かしこまりぃ~♪」
 三人はヤングマフィア達の攻撃を退けながら、西地区の奥へと足を進めた。

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