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12.胎動の章_26
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その後のマリア達は―――
光学迷彩を施し、各種透過センサー対策をも施された特殊なリムジンで、未だ呆けたままのジャックと共に移動を続けていた。
自動運転車の後部対面シートに座る八人。ひと先ずの任務完了に表情も緩み、
「やぁっと素直になったんだねぇ、マリアぁ♪」
笑顔のジゼに、意味を察したマリアは赤面して慌て、
「ち、違いますわぁ! あ、あの時は、アレが、エスカレートしそうな騒ぎを鎮める最善と考えての事ですわ! 別にジャックの事など!」
取り繕いつつも、やはりジャックの反応が気になりチラリと視線を移すが、
「…………」
当の本人は魂が抜けた様な顔して未だ呆けたまま。
女性に大胆な行動をとらせてしまった事に対する、男らしい反応を期待していた訳ではなかったが、甲斐性を感じさせない不甲斐ない姿に、
「はぁ……」
マリアは無念そうに思わずため息。
そんな中、
「それにしても、まさかジャックがここまでウブだったなんてなぁ」
からかう様にケラケラ笑うヤマトであったが、
「ホ・ン・ト・だ・よ・ねぇ」
「…………」
物言いたげなジト目で見つめるジゼの視線に黙し、バツが悪そうに、静かに、視線を逸らした。
「ニャハハハハハ! ウチの男どもはだらしないニャ!」
「「…………」」
バッサリなシャーロットの一言に、返す言葉も無い男二人であったが、
「ヤマト様は紳士で、奥手なだけです!」
ナヤスが、すかさずフォロー。ヤマトの目に光が戻りかけると、シセが間髪入れず、
「単なるムッツリじゃないんですかぁ? 天然タラシのヤマトさぁん」
「ヤマト様を「女たらし」と愚弄するか、ユリ姫ぇ!!」
「誰が「ユリ姫」ですか! 私の「ジゼ姉様に対する想い」は、もっと遥か高き頂にあるのです!」
「言っている意味が分かりませぇん!」
「横恋慕の凡人になど理解出来る筈がありません!」
「言いましたわねぇ!」
寄ると触るとケンカばかりの二人を前に、何とも居心地の悪いヤマト。その原因が自らの優柔不断に端を発している自覚はあるから。
すると丁度良く、車内の気マズイ流れを濁す様に、車の通信機が着信ランプを点灯させ、
「が、ガルシアからじゃないかぁ!?」
ヤマトが必要以上に大きなリアクションで通信機を操作すると、
『大変だぁあぁぁっぁぁ!』
耳をつんざく大声と共に、焦るマシューの顔が画面いっぱい、どアップで迫った。
「「「「「「「「ッ!!!!!!!!!」」」」」」」」
飲んでいた物を一斉に噴き出しそうなほど驚くヤマト達。正気を失っていたジャックでさえ一瞬にして現実世界に戻り、ネタにされていたうっぷん晴らしを多分に含め、
「ウッセェ赤髪ィ! 暑苦しい顔を寄せんじゃねぇ!」
『デケェお世話だぁ、ジャックぅ!』
思わぬツッコミに苦笑いを返すマシューであったが、本題を思い出し、
『それよりヤベェんだぁ! エラが!』
「あぁ? あの男オンナがどうかしたかぁ? ついに性転換でもしたかぁ?」
相変わらずの品のない冗談に、冷笑のヤマト達。
『馬鹿言ってんじゃねぇ! エラのヤツ、あれ程「ダメだ」っつったのに書置き残してガーディアン副隊長の見舞いに行きやがったんだぁ!』
「「「「「「「「!」」」」」」」」
ギョッとするヤマト達。
ジャックは苦々し気に、
「あの馬鹿がァ!」
奥歯を噛み鳴らした。
光学迷彩を施し、各種透過センサー対策をも施された特殊なリムジンで、未だ呆けたままのジャックと共に移動を続けていた。
自動運転車の後部対面シートに座る八人。ひと先ずの任務完了に表情も緩み、
「やぁっと素直になったんだねぇ、マリアぁ♪」
笑顔のジゼに、意味を察したマリアは赤面して慌て、
「ち、違いますわぁ! あ、あの時は、アレが、エスカレートしそうな騒ぎを鎮める最善と考えての事ですわ! 別にジャックの事など!」
取り繕いつつも、やはりジャックの反応が気になりチラリと視線を移すが、
「…………」
当の本人は魂が抜けた様な顔して未だ呆けたまま。
女性に大胆な行動をとらせてしまった事に対する、男らしい反応を期待していた訳ではなかったが、甲斐性を感じさせない不甲斐ない姿に、
「はぁ……」
マリアは無念そうに思わずため息。
そんな中、
「それにしても、まさかジャックがここまでウブだったなんてなぁ」
からかう様にケラケラ笑うヤマトであったが、
「ホ・ン・ト・だ・よ・ねぇ」
「…………」
物言いたげなジト目で見つめるジゼの視線に黙し、バツが悪そうに、静かに、視線を逸らした。
「ニャハハハハハ! ウチの男どもはだらしないニャ!」
「「…………」」
バッサリなシャーロットの一言に、返す言葉も無い男二人であったが、
「ヤマト様は紳士で、奥手なだけです!」
ナヤスが、すかさずフォロー。ヤマトの目に光が戻りかけると、シセが間髪入れず、
「単なるムッツリじゃないんですかぁ? 天然タラシのヤマトさぁん」
「ヤマト様を「女たらし」と愚弄するか、ユリ姫ぇ!!」
「誰が「ユリ姫」ですか! 私の「ジゼ姉様に対する想い」は、もっと遥か高き頂にあるのです!」
「言っている意味が分かりませぇん!」
「横恋慕の凡人になど理解出来る筈がありません!」
「言いましたわねぇ!」
寄ると触るとケンカばかりの二人を前に、何とも居心地の悪いヤマト。その原因が自らの優柔不断に端を発している自覚はあるから。
すると丁度良く、車内の気マズイ流れを濁す様に、車の通信機が着信ランプを点灯させ、
「が、ガルシアからじゃないかぁ!?」
ヤマトが必要以上に大きなリアクションで通信機を操作すると、
『大変だぁあぁぁっぁぁ!』
耳をつんざく大声と共に、焦るマシューの顔が画面いっぱい、どアップで迫った。
「「「「「「「「ッ!!!!!!!!!」」」」」」」」
飲んでいた物を一斉に噴き出しそうなほど驚くヤマト達。正気を失っていたジャックでさえ一瞬にして現実世界に戻り、ネタにされていたうっぷん晴らしを多分に含め、
「ウッセェ赤髪ィ! 暑苦しい顔を寄せんじゃねぇ!」
『デケェお世話だぁ、ジャックぅ!』
思わぬツッコミに苦笑いを返すマシューであったが、本題を思い出し、
『それよりヤベェんだぁ! エラが!』
「あぁ? あの男オンナがどうかしたかぁ? ついに性転換でもしたかぁ?」
相変わらずの品のない冗談に、冷笑のヤマト達。
『馬鹿言ってんじゃねぇ! エラのヤツ、あれ程「ダメだ」っつったのに書置き残してガーディアン副隊長の見舞いに行きやがったんだぁ!』
「「「「「「「「!」」」」」」」」
ギョッとするヤマト達。
ジャックは苦々し気に、
「あの馬鹿がァ!」
奥歯を噛み鳴らした。
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