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15_宿縁の章_16
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苛立ちを増し、歯ぎしりしながらジャックを見据え、
「キサマ、その体ァ……」
異常な急加速とスティーラーの枠を超えた破壊力から、ある可能性に気が付いた。
ニヤリと笑うジャック。
「ちぃとばっかイジって、クローザーと同等の体にしてあんぜぇ」
(オマエ(コーギー)が受けた辱めのヒトカケラ、マズは支払わせたぞ!)
見せた余裕の笑みは、一瞬にして怒りの形相へと豹変し、
「オレら兄妹をナメてんじゃネェ!」
背後にダブる、コーギーの姿。
(サイジャクどもがァ……)
アナスは歯ぎしりしながらワナワナと打ち震え、
「最弱がァアァァァッァァぁっぁアァァアァァァ!」
今にも噛みつきそうな、狂気染みた怒りで咆哮し、空気は激しくビリビリと振動した。
怒りで我を忘れるアナスの姿に、
(愚かでありんすな……)
嘲るアナクスであったが、口元に浮かべた妖艶な笑みは崩す事は無く、
「ファティ坊、少し離れているでありんす」
「ッ!」
不安げな顔で見上げるファティマ。
するとアナクスは、あえて自分たちを悪役のポジションに置き、
「物語とは、常に正義が勝利する訳ではありんすぇ」
皮肉った笑みを浮かべ、
「のぉ、ヌシよ? 故に、坊を人質に取ったり、傷つけたりはしぃせんやろぅ?」
視線を移すと、そこにはアナスへの加勢を阻止せんと立ちはだかるマリアの姿が。
「無論ですわ。幼女に手を掛けるほど、落ちぶれてはいませんですわ!」
「流石は正義の味方でありんすなぁ~」
笑みを浮かべ、
「ファティ坊、しばし離れているでありんすぇ」
強く頷くファティマは「勝って!」ジェスチャーを見せてから離れ、アナクスはその後ろ姿を見送ると、
「さぁてぇ、こちらも宴を始めるでありんすぅ」
身構え、
「来るでありんす♪」
優美な動きを以って、両手に雅びな扇子を出現させた。
「リストォ、ロードォ!」
ダブルレイピアを出現させて身構えるマリア。
「一つ聞いてもよろしいですの!」
「?」
「護るべき「確かな者(ファティマ)」がありながら、何故に最強などと「不確かな物」に固執しますですの!」
「根っこの生真面目は変わらぬでありんすなぁ~」
「え?」
「何でんありんせんぇ」
小さく笑い、
「言うなれば……」
脳裏にチラつく「金欲と権力欲」にまみれた王族たちの下卑た笑顔。
「言うなれば?」
固唾を呑み答えを待つと、妖艶な笑みは崩さず、
「癖(へき)でありんしょうかぁ?」
「へき……」
「強き者を押し倒して屈服させとぅなるぅ、性(さが)」
単に「強い者を求める性癖」と言ってのけ、
「ヌシの妹は、妾を満足させてはくれんせぇんしたでありんすが、」
「分かりましてございますわ」
マリアはギリッとアナクスを睨み、
「情けは無用と言う事ですわねぇ!」
身構え直すと地を激しく蹴りアナクスに迫った。
「良きに気概でありんすなぁ、第三位」
悠然と笑みを浮かべ待ち構えるアナクス。
「キサマ、その体ァ……」
異常な急加速とスティーラーの枠を超えた破壊力から、ある可能性に気が付いた。
ニヤリと笑うジャック。
「ちぃとばっかイジって、クローザーと同等の体にしてあんぜぇ」
(オマエ(コーギー)が受けた辱めのヒトカケラ、マズは支払わせたぞ!)
見せた余裕の笑みは、一瞬にして怒りの形相へと豹変し、
「オレら兄妹をナメてんじゃネェ!」
背後にダブる、コーギーの姿。
(サイジャクどもがァ……)
アナスは歯ぎしりしながらワナワナと打ち震え、
「最弱がァアァァァッァァぁっぁアァァアァァァ!」
今にも噛みつきそうな、狂気染みた怒りで咆哮し、空気は激しくビリビリと振動した。
怒りで我を忘れるアナスの姿に、
(愚かでありんすな……)
嘲るアナクスであったが、口元に浮かべた妖艶な笑みは崩す事は無く、
「ファティ坊、少し離れているでありんす」
「ッ!」
不安げな顔で見上げるファティマ。
するとアナクスは、あえて自分たちを悪役のポジションに置き、
「物語とは、常に正義が勝利する訳ではありんすぇ」
皮肉った笑みを浮かべ、
「のぉ、ヌシよ? 故に、坊を人質に取ったり、傷つけたりはしぃせんやろぅ?」
視線を移すと、そこにはアナスへの加勢を阻止せんと立ちはだかるマリアの姿が。
「無論ですわ。幼女に手を掛けるほど、落ちぶれてはいませんですわ!」
「流石は正義の味方でありんすなぁ~」
笑みを浮かべ、
「ファティ坊、しばし離れているでありんすぇ」
強く頷くファティマは「勝って!」ジェスチャーを見せてから離れ、アナクスはその後ろ姿を見送ると、
「さぁてぇ、こちらも宴を始めるでありんすぅ」
身構え、
「来るでありんす♪」
優美な動きを以って、両手に雅びな扇子を出現させた。
「リストォ、ロードォ!」
ダブルレイピアを出現させて身構えるマリア。
「一つ聞いてもよろしいですの!」
「?」
「護るべき「確かな者(ファティマ)」がありながら、何故に最強などと「不確かな物」に固執しますですの!」
「根っこの生真面目は変わらぬでありんすなぁ~」
「え?」
「何でんありんせんぇ」
小さく笑い、
「言うなれば……」
脳裏にチラつく「金欲と権力欲」にまみれた王族たちの下卑た笑顔。
「言うなれば?」
固唾を呑み答えを待つと、妖艶な笑みは崩さず、
「癖(へき)でありんしょうかぁ?」
「へき……」
「強き者を押し倒して屈服させとぅなるぅ、性(さが)」
単に「強い者を求める性癖」と言ってのけ、
「ヌシの妹は、妾を満足させてはくれんせぇんしたでありんすが、」
「分かりましてございますわ」
マリアはギリッとアナクスを睨み、
「情けは無用と言う事ですわねぇ!」
身構え直すと地を激しく蹴りアナクスに迫った。
「良きに気概でありんすなぁ、第三位」
悠然と笑みを浮かべ待ち構えるアナクス。
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