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第二十一話 帰るべき場所
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「今日の飯はまた一段と美味いなー! アリサの実家から送られてきたんだっけ?」
俺は食卓に並べられた、スパイスがほどよく効いた骨つき肉にかぶりついて言った。
「そうよ。うちで育ててる中でも特上の鶏肉を厳選して送ってもらったわ! アルスターブランドって言ってね、この辺じゃあ結構有名なんだから、よく味わって食べなさいよね」
アルスターとは隣町――アリサとシルヴィアが生まれ育った町の名前だ。
「へー、そうなんだ。そりゃありがたくいただかないとな」
俺は肉を頬張ったまま言った。
「……ところで、明日から二日間はオフ日よね?」
突然アリサがみんなに向かって発言する。
「そうだけど……? 何かあるのか?」
俺は口の中の肉を飲み込むと、アリサに向かって聞いた。
「……いや、たいしたことじゃないんだけど。オフの間はわたしとシルヴィアで地元に帰ろうと思ってね」
でたな地元大好きっ子め。俺なんか地元に帰りたくても帰れないんだぞ。……いや、そんなセンチになることを考えるのはやめよう。
元の世界に全く未練がないわけではないが、俺はこの世界を気に入っている。……それでいいじゃないか。
卑屈になってしまった自分をちょっと恥じつつも、俺の頭に一つの妙案がよぎった。
「……なあ? 俺もそれについて行っちゃまずいか?」
アリサは驚いて目を見開いた。
「はぁ!? 何言ってるの!? まずいに決まってるじゃない! あんたと一緒にいたんじゃ折角のオフが台無しよ」
いつも通りのアリサのきつい言葉にもめげずに俺は言い返す。
「でもさ、今日のこの肉が本当にうまかったから、アリサの親御さんにお礼を言いたいんだ。それくらい良いだろう?」
俺は真剣な目でアリサを見つめ返す。
「……お姉ちゃん? ……ユートにも、わたしたちの町……見せてあげたい。……きっと、気に入ってくれる」
横に座っていたシルヴィアがアリサの袖をつかんで言った。
「……もう、仕方ないわね。じゃあシルヴィアに免じて今回だけよ」
アリサは観念したようにスプーンをテーブルにおき、俺に向かって言う。
「明日の八時きっかりに出発するわよ。時間までに準備できてなかったら置いていくからね!」
アリサはそう言ってさっさと部屋に戻ってしまった。
どうにかアリサの両親に鶏肉のお礼を言うことができそうだ。まあ目的はそれだけじゃなく、アリサとシルヴィアの生まれ故郷がどんなところか知りたいっていうのも半分はあるけどな。
「……それじゃあユート……また明日ね」
シルヴィアも席を立ち、部屋に戻っていった。
「明日からはレイチェルちゃんと二人だけかー。この際わたしたちもどこかに遊びに行きましょうか?」
「うむ、良い案であるな! そうしたら召喚博物館と最果ての展望台に行きたいのである。あとはアクアパークなんかも良いと聞いておるな。それからそれから、ウィル・オ・ウィスプ商店街にも行きたいのである!」
「うーん、そんなにたくさんは行けないかなぁ……。ちょっと計画を練りましょうかね」
ローザとレイチェルは何やら休みの日の予定を相談しているようだ。
「それじゃあ俺は明日も朝早いんで、部屋に戻るから。お休み、ローザ、レイチェル」
「はい、お休みなさい。アリサちゃんたちの実家であまり羽目を外し過ぎないようにねー!」
「ははっ、大丈夫だって! レイチェルもあまりローザを困らせるなよー」
俺は二人に軽く手を振ってから、自分の部屋に向かって歩き出した。後ろからは「わたしを誰だと思っているのである! 困らせるはずがなかろう!」と叫ぶレイチェルの声が聞こえてくる。
……俺がいない間も仲良くやってくれよ。ま、あの二人なら心配ないだろうけど。
――――――――――――――――――――
翌朝、目が覚めると同時に俺は時計を確認する。――時刻は七時二十分、出かける時間まで後四十分である。
俺は服を着替えて歯を磨きながらアリサの実家について想像してみる。
アリサもシルヴィアも美人だからきっとお母さんも美人なんだろうな、会ってみるのが楽しみだ。
鶏を育てていると言っていたし、実家は養鶏場なんだろうな。でもそうだとしたらなんでアリサたちは冒険者になったんだろう?
俺はそんなことを考えながら準備を終えると、部屋を出てロビーへと向かった。
「あら、早いじゃない」
ロビーには既にアリサとシルヴィアが準備を済ませて待っていた。
「おはよう! 俺が一番だと思ったんだけどな……。まだ七時四十分だぜ? どれだけ実家が楽しみなんだよ……」
アリサは俺の方をジト目で睨んできた。
「……そうよ、楽しみよ。実家が楽しみで悪い? それよりあんたこそ浮かれてるんじゃないの? 左右の靴が反対よ」
――なにっ!? 俺は自分の足元を見てみたが、左右の足には正しく靴が履かれていた。
「……冗談よ。ちょっと早いけど、準備もできてるみたいだしもう行くわよ!」
アリサは俺を待たずにシルヴィアの手を引くと、家のドアをあけて外に出て行ってしまった。
「……ユート……はやく……」
ドアが閉まる音と同時にシルヴィアの声が聞こえる。
「ちょっ……!? 待って! おいていかないでください!」
……アリサの実家はどんなところだろうか。俺は再び想像してみる。
あの二人の実家なんだから、きっといいところに違いない。俺は期待を胸に、家の扉を開き二人の後を追うのであった。
俺は食卓に並べられた、スパイスがほどよく効いた骨つき肉にかぶりついて言った。
「そうよ。うちで育ててる中でも特上の鶏肉を厳選して送ってもらったわ! アルスターブランドって言ってね、この辺じゃあ結構有名なんだから、よく味わって食べなさいよね」
アルスターとは隣町――アリサとシルヴィアが生まれ育った町の名前だ。
「へー、そうなんだ。そりゃありがたくいただかないとな」
俺は肉を頬張ったまま言った。
「……ところで、明日から二日間はオフ日よね?」
突然アリサがみんなに向かって発言する。
「そうだけど……? 何かあるのか?」
俺は口の中の肉を飲み込むと、アリサに向かって聞いた。
「……いや、たいしたことじゃないんだけど。オフの間はわたしとシルヴィアで地元に帰ろうと思ってね」
でたな地元大好きっ子め。俺なんか地元に帰りたくても帰れないんだぞ。……いや、そんなセンチになることを考えるのはやめよう。
元の世界に全く未練がないわけではないが、俺はこの世界を気に入っている。……それでいいじゃないか。
卑屈になってしまった自分をちょっと恥じつつも、俺の頭に一つの妙案がよぎった。
「……なあ? 俺もそれについて行っちゃまずいか?」
アリサは驚いて目を見開いた。
「はぁ!? 何言ってるの!? まずいに決まってるじゃない! あんたと一緒にいたんじゃ折角のオフが台無しよ」
いつも通りのアリサのきつい言葉にもめげずに俺は言い返す。
「でもさ、今日のこの肉が本当にうまかったから、アリサの親御さんにお礼を言いたいんだ。それくらい良いだろう?」
俺は真剣な目でアリサを見つめ返す。
「……お姉ちゃん? ……ユートにも、わたしたちの町……見せてあげたい。……きっと、気に入ってくれる」
横に座っていたシルヴィアがアリサの袖をつかんで言った。
「……もう、仕方ないわね。じゃあシルヴィアに免じて今回だけよ」
アリサは観念したようにスプーンをテーブルにおき、俺に向かって言う。
「明日の八時きっかりに出発するわよ。時間までに準備できてなかったら置いていくからね!」
アリサはそう言ってさっさと部屋に戻ってしまった。
どうにかアリサの両親に鶏肉のお礼を言うことができそうだ。まあ目的はそれだけじゃなく、アリサとシルヴィアの生まれ故郷がどんなところか知りたいっていうのも半分はあるけどな。
「……それじゃあユート……また明日ね」
シルヴィアも席を立ち、部屋に戻っていった。
「明日からはレイチェルちゃんと二人だけかー。この際わたしたちもどこかに遊びに行きましょうか?」
「うむ、良い案であるな! そうしたら召喚博物館と最果ての展望台に行きたいのである。あとはアクアパークなんかも良いと聞いておるな。それからそれから、ウィル・オ・ウィスプ商店街にも行きたいのである!」
「うーん、そんなにたくさんは行けないかなぁ……。ちょっと計画を練りましょうかね」
ローザとレイチェルは何やら休みの日の予定を相談しているようだ。
「それじゃあ俺は明日も朝早いんで、部屋に戻るから。お休み、ローザ、レイチェル」
「はい、お休みなさい。アリサちゃんたちの実家であまり羽目を外し過ぎないようにねー!」
「ははっ、大丈夫だって! レイチェルもあまりローザを困らせるなよー」
俺は二人に軽く手を振ってから、自分の部屋に向かって歩き出した。後ろからは「わたしを誰だと思っているのである! 困らせるはずがなかろう!」と叫ぶレイチェルの声が聞こえてくる。
……俺がいない間も仲良くやってくれよ。ま、あの二人なら心配ないだろうけど。
――――――――――――――――――――
翌朝、目が覚めると同時に俺は時計を確認する。――時刻は七時二十分、出かける時間まで後四十分である。
俺は服を着替えて歯を磨きながらアリサの実家について想像してみる。
アリサもシルヴィアも美人だからきっとお母さんも美人なんだろうな、会ってみるのが楽しみだ。
鶏を育てていると言っていたし、実家は養鶏場なんだろうな。でもそうだとしたらなんでアリサたちは冒険者になったんだろう?
俺はそんなことを考えながら準備を終えると、部屋を出てロビーへと向かった。
「あら、早いじゃない」
ロビーには既にアリサとシルヴィアが準備を済ませて待っていた。
「おはよう! 俺が一番だと思ったんだけどな……。まだ七時四十分だぜ? どれだけ実家が楽しみなんだよ……」
アリサは俺の方をジト目で睨んできた。
「……そうよ、楽しみよ。実家が楽しみで悪い? それよりあんたこそ浮かれてるんじゃないの? 左右の靴が反対よ」
――なにっ!? 俺は自分の足元を見てみたが、左右の足には正しく靴が履かれていた。
「……冗談よ。ちょっと早いけど、準備もできてるみたいだしもう行くわよ!」
アリサは俺を待たずにシルヴィアの手を引くと、家のドアをあけて外に出て行ってしまった。
「……ユート……はやく……」
ドアが閉まる音と同時にシルヴィアの声が聞こえる。
「ちょっ……!? 待って! おいていかないでください!」
……アリサの実家はどんなところだろうか。俺は再び想像してみる。
あの二人の実家なんだから、きっといいところに違いない。俺は期待を胸に、家の扉を開き二人の後を追うのであった。
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