ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~

結月楓

文字の大きさ
23 / 81

第二十三話 氷の食卓

しおりを挟む
「大丈夫? 気持ち悪いなら無理して食べなくていいのよ?」
「いえ、少し休んだら回復しました! こんなに旨い食事を目の前にして食べないなんて、そのほうが無理ですよ!」

 俺とアリサは食卓に戻ると、何事もなかったかのように食事を続けた。……俺はしっかりとアリサの婚約者を演じることが出来るだろうか。

「……ところでユート君。アリサとはうまくやっているのかね?」
「え、ええ! 勿論ですよ! な、なあアリサ?」

 俺はきょどりながら返事をする。

「あんたね、もうちょっと自然に話しなさいよ!」

 アリサは小声で俺に耳打ちする。
 わかってる……わかってるけど緊張してしまう。

「休みの日にはどこか二人で出かけたりしているのか?」

 なおもアリサ父の質問攻めは続く。
 考えてみたらアリサと二人で出かけたことってないな。

「えっと、か、買い物に行ったりしてるよな!」

 俺はそっとアリサに目配せをする。

「え!? あ、そうね! この前ウィル・オ・ウィスプ商店街に二人で行ったわよね!」

 アリサもしどろもどろに返事をする。おい、お前も全然自然じゃないぞ。

 アリサの横ではシルヴィアがすました表情で紅茶をすすっている。そういえばシルヴィアはこのことについてどう思っているのだろうか?

「先週には俺とアリサとシルヴィアでピクニックにも行ったよな! いやー、将来の家族になるわけだからみんな仲良くしないとな!」

 アリサも俺もこんな調子なので、シルヴィアに助けを求めてみる。

「……ピクニック? ……わたし……行ってないよ? ……でも……行ってみたい」

 ――し、しまった! もしかしてシルヴィアには話が通ってないのか? 俺はアリサのほうをみると、アリサは鬼のような形相で俺をにらんでいる。

「あ・ん・た・ね! 余計なことはしないで頂戴!」

 アリサは小声で言っているつもりだろうが声を殺しきれていない。それ以上やると怪しまれるぞ! 俺はアリサを落ち着かせるために、両手を前に向けてジェスチャーを送る。

「む……? それで結局ピクニックには行ったのかね? 行ってないのかね?」

「あれ、一緒に行ったのはローザだったかなー? あははっ……」

 俺はごまかすつもりでいったがこれは失敗だった。

「誰だ! そのローザというやつは! まさか浮気じゃないだろうな!! 詳しく聞かせなさい!!」

 アリサの父親は激昂してテーブルを叩くと、立ち上がって俺に聞いてきた。まずいな、優しそうだと思って油断していたけどこの父親はやばい人かもしれない!
 助けて、アリサ! 俺はアリサに目で何回もヘルプの合図を送った。

「――ローザはわたしたちのギルドの仲間よ。その場にはわたしも一緒にいたから、パパの心配するようなことはないから安心して」

「……なんだ。それならそうと早く言いなさい」

 ふぅ……。ひとまず落ち着いてくれたようだ。

「ところで、ユート君はシルヴィアに新しい召喚をプレゼントしてくれたそうね? わたしからも感謝を言わせてもらうわ」

 アリサの母親はテテュスのお礼を言った。

「あー、あれはローザと二人でじゃんけん大会で取ったものだから、そんなに気にしな――」

 ここまで喋ってから、地雷を踏んでしまった事に気付いた。

「あら? そのローザという方とはやけに仲がいいようね?」

 アリサの母親は口調こそ穏やかだが、周囲が凍り付くかのような雰囲気を漂わせている。……いや、雰囲気だけじゃない! ――これ、実際に凍ってるじゃないか!

 みると食卓に並べてある食事は全てが冷凍食品になっていた。部屋の温度も氷点下まで下がっているのは確実だ……これは召喚のしわざか!?

 アリサの母親をキッと見つめると、その後ろには白装束を着た黒髪の女……雪女が佇んでいた、やはり召喚か! 俺はルーペを構える。


『Sランク召喚獣 雪女』 ●〇〇〇〇
白装束を身にまとう雪の妖怪で、出会う男に冷たい息を吹きかけて殺したり、
男の精を吸いつくして殺す恐ろしい妖怪と云われている。
雪の加護により、召喚者は周囲のものを雪で氷漬けにできるようになる。
【召喚持続時間:三時間】


 結構強そうな召喚だな……。
 しかし今の俺の目的は戦闘じゃない。
 落ち着いてもらうことが重要だ。

「お母さん! 俺とローザはそういう関係じゃないんです、ローザはシスターですから、恋愛なんてもってのほかなんですよ?」

 ローザの場合はあまりそういうところは気にしていない気もするけど、説得するならこれでいいだろう。

「わからないわよ……。時には女の嫉妬は人をも殺すのよ。そのローザって子はユート君からアリサを引きはがそうと必死なのね……きっと」

「ママの言うことは一理あるな。どうだね、この際ここでアリサとの間に既成事実を作らせるというのは」

 既成事実だって? 俺がそう思った瞬間、俺の体にスプレー上の雪が飛んできて壁に貼り付けられる。

「――ぐっ!? お母さんもお父さんも落ち着いてください!」

 俺は両手両足が氷漬けにされ、身動きが取れなくなる。この両親、ぱっと見の印象と違ってやばい人たちだった!

「ママもパパも落ち着いてよ! ユートの言っていることは本当よ。信じて!」

 アリサは必死に父親と母親を説得する。

「……いいでしょう。でも今日の態度を見てわかったわ。あなた達、キスすらまだしていないでしょ。そんなんじゃだめよ? アリサのためにも、早く既成事実を作れる状況を用意してあげるから安心してね」

 アリサの母親はそう言うと、俺を氷漬けのまま部屋まで運んでしまった。

「――ちょっと!? いくらなんでも無茶苦茶じゃありません?」

 俺はアリサの母親に抗議をする。

「これはうちの家系とアリサのため、それに君の為でもあるのよ。聞けばユート君はギルドを開設したらしいじゃない、そこまできたらあとは身を固めることが大事なのよ」

「…………」

 ここで抗議したところで泥沼にしかなりそうにないので俺は沈黙を貫くことにした。

「今頃アリサはお風呂で身を清めているところよ、あなたもその汚い体のままじゃアリサのお相手はできないでしょ? 特別に私が拭いてあげるわ」

 アリサの母親は身動きが取れない俺の、衣服を無理やり脱がせると、俺はパンツ一丁の姿にされてしまう。

「さ、いい子にしてるのよ。アリサと契りを交わすならそれ相応のエチケットが必要だものね」

「……くっ」

 俺はイフリートを召喚して拘束を解いて脱出する手も考えたが、できれば事を荒立てたくない。

 アリサの母親は雪のパウダーを俺の全身にふりかけ、それをアリサ母自身の手でゴシゴシと擦って俺の汚れを落としている。――めっちゃ寒いんですけど。……これは拷問の一種だろうか。俺はぐったりとうなだれてしまった。

「こらっ! 寝ちゃだめよ。本当に死んじゃうかもしれないんだからね! それならこれでどう?」

「――うっ!?」

 おれはビクっと震えた。胸のあたりを丹念に撫でられたのだ。

「あら、あなたはそこが敏感なのね。――これはアリサにも教えなきゃいけないわ! ……さて、これくらい綺麗になればいいでしょう。アリサが来るのを楽しみに待っててね、ユート君」

 アリサの母親はニヤリと笑うと、部屋のドアを閉めていなくなってしまった。その隙に俺は手と足の周りを拘束していた氷の枷をイフリートの炎で焼き払った。

 ――考えるんだ。下手に抵抗すれば、アリサとシルヴィアの家庭内事情を悪くさせてしまうし、言われるがままにしてしまうと俺とアリサの貞操が危ない。
 ……エッチなことに興味がないってことは全くないけど、こんなやり方はおかしいだろ! アリサの気持ちもあるし。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...