ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~

結月楓

文字の大きさ
33 / 81

第三十三話 ヘルヘイム

しおりを挟む
 モガディシュの捕縛を行った翌日はオフ日に設定した。最近ダンジョンに行けてないのでそろそろ稼ぎに行きたいところではあるが、みんなの疲労……特に俺の疲労が酷いので休まざるを得なかったのだ。

「ユートよ、いくら休みと言えど、食べて寝るばかりでは牛になるのであるぞ?」

 今は午後の二時を回ったところだ。正午にみんなで昼飯を食べた後は、各々の時間を過ごしている。

「……レイチェルか。昨日は召喚をフル活用したから疲れがたまってるんだよ。……今日はゆっくり寝かせてくれ」

「ならばロビーではなく自室で寝たほうがよいのではないか?」

 レイチェルの言うことはもっともだ。俺は朝からずっとロビーのソファーでぐったりと横になっている。

「……確かにそうだけど、なんかみんなの顔を見てないと不安な気分なんだ」

「……ふむ? 別にわたしたちは逃げたりせんのだがな」

 レイチェルは首をかしげて不思議がっている。……俺は昨日モガディシュに切られた男のことを考えて、少し不安になっていた。今日になってもあの時見た血の色と匂いが頭から離れない。もしこのギルドのメンバーの誰かがあんな目にあったらと考えるとゾッとしてしまう。

「……いつも以上にボケーっとしておるな。まあここにいるほうが休めるというのなら邪魔はしないのである」

 レイチェルはそう言うと部屋に戻っていった。

「――ユート君!? いるわよね?」

 レイチェルと入れ替わりに、ローザがやってきた。昼過ぎに教会に用があると言って出て行ったばかりなのに、もう戻ってくるなんて何かあったのだろうか?

「……ほーい、ここにいますよ」

 俺はソファーに寝っ転がったまま手を上げて返事をする。

「――よかった! ちょっと教会まで付き合ってもらえるかしら?」

「今日は休みたいから無理です」

「まあまあ、そんなこと言わず。ユート君にとって悪い話じゃないから来てくださいな」

 ローザはそう言うと、俺の手を引っ張って強制的に起こしにかかった。

「……わかった、わかったよ。……行くから」

 俺は渋々立ち上がる。

「……で、何の話なんだ?」

「ごめんね、それはわたしの口からは言えないのよ。――お願い! 騙されたと思って教会まで着いてきて!」

 ローザは両手を合わせて俺にお願いしている。……流石にここまでするからには何かわけがあるのだろう。

「……仕方ないなぁ。今度飯でも奢ってくれよ」

 俺とローザは一緒に教会に向かった。


――――――――――――――――――――


「――神父様! ユート君を連れてきたわよー!」

 教会に着くと、ローザがいつも通り神父を呼び出した。

「うむ、ご苦労であった」

 これまたいつも通りに神父が壇上に現れた。

「――神父様、俺に用って何ですか?」

 俺が質問すると、神父は少し間をおいて話し始めた。

「……ユートよ、昨日最後にエリーが言っていたことを覚えているか?」

「……エリーが言っていたこと? ……異端審問機関がどうとかって話ですか?」

 神父はゆっくりと頷いた。

「そうだ。実を言うとな、教会はお主を異端審問機関に所属させたいと考えている。――簡単に言うと、ユート、お主を勧誘するために今日は来てもらったのだ」

「――俺を勧誘だって!?」

 予想外の事だったので俺は驚いてしまった。

「近頃はオーブに絡んだ犯罪が増加しておってな。……不当な買い占め、盗難、強奪、教会以外での召喚の儀の実施等、挙げていくときりがないくらいの事件が起きていてるのだよ」

 へー、ってあれ!? 召喚の儀って教会でやらなきゃいけないのか?

「あの……、教会以外での召喚の儀ってなんでダメなんですか?」

 神父は俺を見ると、咳払いしてから答えた。

「……召喚は便利な反面、犯罪に利用されることも少なくないのだ。お主が持っているサルガタナスや、モガディシュの持っていたティンダロスの猟犬などを考えてみればわかるだろう?」

 俺はドキッとしてしまう。……そういえばサルガタナスを風呂場での覗きに使ってしまったな。ごめんなさい。

「犯罪が起きたときに誰がどの召喚を所持しているかを把握しておけば捜査は容易くなる。そのため、教会では召喚の儀が行われるたびに厳格に記録を取っているのだよ」

「つまり、教会外で召喚の儀が行われると把握できなくて困るってことか」

「……そういうことだ」

 あれ、でもシルヴィアのテテュスの時は確か教会じゃなかったような……。

「……おい、ローザ」

 俺は小声でローザに話しかけると、ローザは頭をコツンと叩いて舌を出した。……ダメだこのシスター、早く何とかしないと。

「……話を戻そう。オーブに関わる犯罪が増えた背景には、ある組織の勢力拡大が関係しているようなのだ。その犯罪組織の名は、――ヘルヘイム。この組織を壊滅させるべく、教会では異端審問機関の戦力となる人員を秘密裏で揃えているところだ」

 なるほどな。それで最強の召喚を持つ俺に白羽の矢が立ったってことか。

「うーん、でもその異端審問機関とやらに入るメリットってあるんですか? ……なんか危なそうだし」

「……勿論だ。異端審問機関に所属すれば、毎月百万ソル以上の給金がでる」

 百万ソル!? ……なかなかにいい報酬だな。でも最近はお金が貯まったところでオーブがほとんど売ってないんだよなぁ。犯罪組織と戦いなんかしたら命も危なそうだし割に合わない気がする。

「……それだけじゃ足りませんね。命の危険すらありそうですし。……残念ですが今回の話はなかったことに」

 俺は神父に断りの返事をする。すると、神父は焦った様子で引きとめにかかってきた。

「――待つのだ! この話を受けてくれれば特別にオーブもやろう!」

「――やります。やらせてください」

 俺は食い気味に返事をした。ガチャ、もといオーブは命よりも重いのだ。

「――なに!? 本当にいいのか? ……ローザに言われた通りにやってみるものだな」

 神父は自分で条件を出したくせに驚いている。
 ……オーブの報酬はローザの差し金か。グッジョブだローザ。

「で、俺はどうすればいいんですか?」

「……来週には異端審問機関の定期集会があるのでそこに参られよ。具体的な日程は後日、ローザから伝えることにしよう」

 ふーん、定期集会なんてのがあるのか。面倒だけど受けちゃったししょうがないよな。

「わかりました。――で、早速なんですがガチャがしたいんですけど」

「……分かっておる。ローザよ、準備を頼む」

「はいは~い! 任せなさい!」

 その後、召喚の儀が行われて俺はまた一つ新たな召喚を手に入れたのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...