ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~

結月楓

文字の大きさ
63 / 81

第六十三話 プレゼント交換

しおりを挟む
「プレゼントはみんな用意してるわね?」

 ローザが確認するとみんなは一斉にプレゼントを取り出した。

 この瞬間、俺はちょっと緊張している。
 果たしてみんなのプレゼントと比べても遜色ないものを俺は選べたのだろうか……。

「ユート君はプレゼント交換は初めてだったわよね? 交換にはルールがあってね、まずみんなで輪を作ってオーブフェスタの歌を唄うの。そして唄っている間、プレゼントを右の人に渡して、代わりに左の人から受け取ってグルグルさせるのよ。歌が終わった時に持っているプレゼントが、その人の貰えるプレゼントになるわ」

 身振り手振りを交えたローザの説明を聞いた俺は、ひとつ気になったことを尋ねてみる。

「最後に持ってるのが自分の用意したものだったらどうするんだ?」
「その時はもう一回だけ右の人に渡してプレゼントを回転させるのよ」
「なるほどね、了解」
「それじゃあ適当に輪になりましょう」

 みんなで席を立ちあがり、ロビーのスペースに集まって輪を作った。

 俺の左隣にはシルヴィア、右隣にはさやかが立っている。

「それでは始めましょう!」

 ローザは大きく息を吸ってからオーブフェスタの歌とやらを唄い始めた。

 俺は曲については知らないので適当に調子を合わせる。

「オーブに秘められし力を~♪」

 みんなの歌声が耳に心地よく響く。この世界にはカラオケなんてものはないから、みんなの歌声を聞くのはこれが初めてだ。
 といっても両隣の二人の声は全く聞こえてこないのだが。

「さやか……歌わないのか?」

 俺はプレゼントを回しながら、右にいるさやかに声をかける。

「歌わないじゃなくて歌えないの。……あなたと同じよ」
「あ、さやかも知らないってことか」

 てっきりさやかは去年のオーブフェスタに参加しているのかと思ったけど、そうでもないみたいだ。

「シルヴィア、声が聞こえないぞ?」

 今度は左を向いてシルヴィアに声をかけてみた。
 彼女はもじもじとして恥ずかしがっている。

「……わたし……お歌……苦手」

 みんなの歌声が響く中、かすかにシルヴィアの返事が聞こえた。

「そっか、それならしかたないな。でもシルヴィアの歌声も聞いてみたかったな~」
「……ユート……聞きたい? ……なら……頑張って……みる」

 俺の何気ない一言がシルヴィアに勇気を与えたようだ。

「――――――♪」

 とても歌が苦手とは思えない綺麗な声が部屋に響く。
 活舌はお世辞にもいいとは言えないが……むしろ何と言っているのかわからないが、そのハミングのような歌声は上質なオーケストラのヴァイオリンの音色のように心に響くものだった。

「シルヴィア、とても上手いじゃないか!」

 俺は思わずプレゼントを回す手を止めて褒めてしまった。

「……ユート……プレゼント止めちゃ……ダメ」

 シルヴィアは、はにかんで頬を赤らめて言った。


――――――――――――――――――――


「はい、終わり! こっからは念願のプレゼント開封よ!」

 ローザは言うや否や、自分の手元に渡ったプレゼントを開け始めた。

「……これは置時計かしら? 猫の絵がとっても可愛いわね」

 ローザに渡ったプレゼントは置時計か、俺のプレゼントと値段的には大差なさそうで良かった。

 プレゼント選びに失敗したわけじゃなくて一安心すると、今度は俺のプレゼントが誰に渡ったのかが気になり始めた。

 みんなの手元のプレゼントをチラチラ確認すると、どうやら俺のプレゼントはアリサに渡ったらしい。アリサは手際よくプレゼントを開封し始めた。

「中にあるのはアロマオイルとハンドクリームね。ちょうど切れちゃうとこだったからありがたいわ」

 どうやら満足してもらえたらしい。
 さて、俺もそろそろ貰ったものを確認するか。

 手元にはずっしりと重みのあるリボンのついた四角い箱がある。俺は巻いてあるリボンをほどき、箱を開けた。

「――こ、これは!!」

 中に入っていたのは黒のオーブだった。

「こんな高価なものがプレゼントだなんて! 誰だか知らないけどありがとう、愛してるぜ!」

 俺はテンションが上がってオーブを両手で掲げて部屋を走り回った。

「まさかユート君に渡るとはね。召喚の儀への思いの強さが神様に通じたのかしら?」

 ローザがフフッと笑いながら言った。

「その口ぶりからすると、これはローザのプレゼントなのか?」
「ええ、そうよ」
「こんな高価なもの本当にいいのか!?」
「大丈夫よ。それは教会に長年放置されていた持ち主不明のオーブで、つい先日保管期限が切れたばかりなので安く買えたのよ」

 俺は感激で震えてローザに抱き付いた。

「ありがとうローザ! 感謝してもしきれない程嬉しいぜ!」
「もう、現金ねえ……。それで、どうする? もう召喚してみる?」
「いいのか? ここ教会じゃないけど」

 確か決まりでは教会以外の場所で召喚ガチャを回すのは禁止だとか神父が言っていたような。

「いいのいいの、今日は教会も休みだし仕方なかったってことにしちゃえば」

 ヘルヘイムが暗躍してるのって、このユルユルな教会の体制が関係しているんじゃないかと一瞬思うも、ガチャの魅力には抗えないのでそのことは言わずにおいた。

「それじゃあお願いします!」

 俺は黒のオーブをローザに渡した。

「ええ、任せなさい! 深淵に潜む異端者よ、魔界を牛耳る神々よ。……ユート君に力を貸してあげて!」

 ピカァ! とオーブが発光し、俺とオーブの間は光の線で結ばれる。
 その後姿を現したのは、とんがり帽子に魔法の杖、ヒラヒラの黒いマントを着けた魔女だった。俺はルーペを覗き込む。


『Bランク召喚獣 ケリドウェン』 ●〇〇〇〇
ケルト神話における月と冥府の女神。
それと同時に強大な力を持つ魔女でもある。
ケリドウェンの持つ大釜で一年と一日の間材料を煮立てると、世界最高の「知恵」「霊感」「学問」を得られる魔法の秘薬を作ることが出来る。
この秘薬を誤って使ってしまった小人が逃げ出した時、ケリドウェンは鳥に変身してその小人を食べてしまったと言われている。
ケリドウェンの加護を受けたものは、最後に触れた人物に変身することができるようになる。
【召喚持続時間:三十分】


「――変身能力!? これまた便利そうなものが手に入ったぜ」
「ケリドウェンかぁ。ダンジョンでは使いにくいけど面白い能力よね」

 ケリドウェンの事も知っているのか。
 ローザは本当に色んな召喚の事を知ってるんだな。

「さて、それでは実験したいのだけど……」

 俺がニヤニヤして言うとみんなはササっと一歩引いてしまう。

「わ、わたしは嫌よ!」

 アリサがいの一番に拒否する。

「じゃあローザ頼む、触らせてくれ」
「え、どうせわたしに変身しておっぱい自分で揉みたいだけでしょ。ダメよ」

 げ、やろうとしたことがバレてる。
 ローザの言葉を聞いたみんなはますます俺から距離を取っていった……一人を除いて。

「コホン、それならわたくしで試してみると良いですの」

 なんとエリーが立候補してくれた。

「……こうでもしてユートの好感度を上げないと他の人にとられてしまいますの」

 エリーが小さな声でボソっと呟く。

「ありがとうエリー! 恩に着るぜ!」

 俺はエリーの手に触れると、ケリドウェンを召喚した。
 すると俺は完全にエリーの姿に変身した、服装まで完全再現だ。

「すげぇ! これが女の体かぁ。なんか胸の辺りが凄い違和感あるな」
「わたくしの姿と声でその喋り方をされると違和感ありますわね……」
「え、じゃあこうか? ――エリーのおっぱいは重たいですの!」

 平手でのビンタが俺の頬に直撃する。
 はたから見たらエリーがエリーをビンタしているというとんでもない絵面だろう。

「――はっ!? つい反射的に手が出てしまいましたの。……でもそんなことを言うあなたがわるいんですのよ?」
「す、すまん……ですの」
「……もうケリドウェンの能力は確認できましたわね? そしたら元に戻るんですの」
「はい」

 もう少しエリーの体で遊びたかったけれど、怒らせてしまっては仕方ない。俺は変身を解除した。

「ありがとなエリー」
「礼には及ばないですの。プレゼント交換も終わりましたし、お食事に戻りますわね」
「そうだな、まだ食事も残ってるしこの後も楽しもうぜ!」

 その後もパーティーは盛り上がり、とても楽しい夜を過ごすことができた。

 朝にヘルヘイムの襲撃があった時は最悪の一日だと思ったけど、最後には召喚も手に入ったし最高の一日になった。終わり良ければすべて良しだな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...