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番外編
その後の夏美
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人は、似たような現象や状況に陥った時に「デジャブだ」と口にすることがある。
しかしその内容が悪化している場合にソレは「デジャブ」と呼べるのだろうか。そしてその場合はソレをなんと呼べばよいのだろうか。
まだ夏も来てないというのに寝苦しさに目を開けた。なぜか汗ばんでいる。なんだか室内の空気も淀んでいるような……。
ぴちゃぴちゃ。
嫌な予感、いや悪寒しかない。
ゆっくり視線を自身の下方向に落とすと、全裸だ。そして下半身にうずくまる物体に、確信を持って声をかけた。
「あ、アキちゃん……」
呼ばれて顔を上げたのは、美しい顔に淫靡なオーラを纏った少年だった。
「あれ起きちゃった?」
ペロリと自分のテカっている唇を舐めると、蕩けるような笑顔をナツミに投げた。
「な、なにをしているのかな?」
「ああ、これ? 夜這いのリベンジ」
「はいっ?!」
「前ん時は、まあアレはアレで幸せだったんだけど、どうせなら本格的な夜這いやってみたいなーなんて。ほら、俺って探求心旺盛な思春期まっさかりだろ?」
……ただのさかりの間違いじゃないのか?
「もうっバカなことしないでっ……え?」
起き上がろうとするのに身体が思うように動かない。懐中電灯をダウンライトのようにして照らされる部屋の中で、ふと頭上を見上げると、腕が縛られていた。
たぶん、だが、一応手首が痛くならないようにご丁寧にタオルを巻いてその上からなにかの厚手の紐でひとくくりにして、その紐の先がベッドに結ばれている。
さらにその同じ要領で、ウエストにもタオルをあてがわれ、グルリとベッドごと紐で巻き付かれていた。
「あ、アキちゃーーん……」
何が悲しくてちゃんとお付き合いしている人に夜這いされなきゃならないのだ……。
「こ、こんなことしなくても、わたしたち付き合ってるんだから、その、ちゃんと、普通にしよう?」
ああ、恥ずかしい……。自分で言っていて顔から火を噴きそうだ。
「うん。もちろん。それはそれでいっぱいする。これはこれでね? 男子のロマンだから」
ロマンとはなんぞや……。
「ほら、俺長いこと片想いだっただろ? その分いっぱい想像力でカバーしてきたんだけど。あ、もちろんナツミとのアレコレだけだからな? それを実際にナツミと共有したいだろ? もったいないからさあ」
「……」
いっぱいと言った……。今この子、いっぱい想像した言った……。わたし、この先このまま付き合ってて大丈夫なんだろうか……。
「じゃあ、夜這い再開しまーす」
高らかに宣言すると再び股の間に顔を埋めてしまった。
「やあっ!!」
いきなり敏感な芽を食されて身体がベッド上を弾けるが、ウエストが押さえられていて思うように快感を逃せられない。
や、やばいかも……。
指がすぐ中に入ってきた。グチャグチャと音を立てる。明らかにナツミが気付く前、長いこと弄っていたに違いない状態だった。
「はあーっ、あっあっ」
腰を思わず浮かしかけたがまったく動けない。どんどん熱が籠る一方だ。
じゅぶぶぶぶ。
強く吸い上げられながら、入口付近を丁寧に指先でなぞられて、小さいが確実な波がやってくる。その波をかわそうとするが逃げ場がなくて余計に快感が強くなる。
「ああああっ……いっ、いくっ」
そのとたん、じゅぽりと口と手が離された。
半ば呆然としてアキラを見るが、顔を上げた少年は上気した頬を緩ませて満面の笑顔だ。
「これ、寸止めってやつね。ナツミ無駄に経験あるくせに言葉知らないから教えてあげた」
……なんの授業がはじまった……?
アキラの腕が体の左右のベッドをギシリと軋ませ、真っ赤な舌を出してゆっくり胸元に落ちていく。
確信犯なのかどうなのか、枕が高めになっていて、ナツミの視界にもよく見えてしまう。
すでに尖っている先端に舌がそぉっと触れる。
「あっ」
僅かすぎてもどかしい。つんつんと、様子を窺うように少ししか触れない。その間もじーーと上目遣いにこちらを見つめているのが、ものすごく色っぽい。
アキちゃんて……ほんとに高校生? はっきり言って何から何まで恐ろしい。
アキちゃんが良く言う「無駄に経験」をわたしはしてきたけど、それでもアキちゃんとのアレコレが毎回刺激的すぎるのだ。その手もその表情も、行われる行為すべてがドロドロに淫靡で、とてもこの間まで中学生だったとは思えない。
むしろ「無駄に経験」してきたのはアキちゃんの方じゃないだろか。
こんなに色気振り撒いて高校行って、すごくかわいい子や綺麗な子たくさん侍らしてるんじゃないだろうか。
わたしは小さい頃から見てきたから免疫がついてきてるんだろうけど、このビジュアルを防御なしでいきなり拝んだら……。やっぱり引く手あまたの、手出し放題で……。
いつの間にか無表情に見つめ返してたのか、アキちゃんが小さく首を傾げる。
「あれ? もったいつけすぎた? じゃあこれでどうだ」
先端を指先でクニクニとしごき出して思わずビクリと身体が粟立った。
「っはぁ!」
アキちゃんの舌が唇をぐるりとなぞって咥内に侵入してかき混ぜる。
「んっふ」
すぐに熱が全身を巡っていく。手がスルスルと肌を伝って下降して、芽をグニグニと強くなぶり回す。
「んっんっんっ!」
手を動かしたいのにビクリともせず、腰をよじらせることも出来ず急激に快感の波が押し寄せてきた。
「んんんんっ!!」
衝撃に耐えようと身体が突っ張り出した途端、またアキちゃんの口や手がパッと離れた。
「うっ……うう」
もうどうにかなってしまいそうだ。身体が勝手にモジモジと腿を擦り合わせる。
「はぁナツミ、かわいい……そんなに目潤ませて……すごい物欲しそうだよ?」
生理的な涙がツーと枕に吸い込まれる。その滴の後をアキちゃんはペロリと舐めると指先で唇を撫でる。
「こんな、身体が縛られて、夜這いかけられてるのに、まるで欲しがってるみたいだよ……エッチだね、ナツミ」
「ううっ」
「どうしてほしい?」
ツンツンとアキラの硬いものが下腹部をノックする。
キュッとナカのほうがせつなげに悲鳴をあげる。
なんだか今、とても欲しい。一瞬陰ったこの気持ちを吹き飛ばしてほしい。
「あ、アキちゃん……」
「ん?」
「い、いれて……」
「……」
ビクンとアキラのものが反応した。だが本人は平静を保っている? ようだ。
「ナツミがすげーエロく俺を誘惑してくるんだけど」
「……」
「でも、ちゃんと言わないと、あげないよ? ほら、なにをどうしたい?」
ナツミは羞恥心を無理矢理捨て震える声で欲した。
「アキちゃんに、入れてほしい……き、きもちよく、して?」
途端にガバリと覆い被さってきた。
「マジ感動!! たまんねーー!! あーー俺、今、幸せっ!! このままここで死にたい!! でもやだ!! いっぱいヤる!!」
その勢いでズボッと枕下に手を突っ込んで取り出したゴムを、装着するやいなやナツミの脚をグイッと持ち上げた。
「あっ!」
にゅるりと、濡れた割れ目に沿わせて蜜を塗りつけるとそのままズブリと一気に貫いた。
全身がガクガクと震える。
「あ、ちょっとナツミ……いきなしその攻撃……くっ」
ジュポッとこれまた一気に引き抜いた。
「ああっ!」
ゾクゾクゾクッと身体の中心が歓喜する。
「や、やばかった今……挿れてすぐイッたらさすがに男として落ち込む」
……入れられてすぐイッちゃったわたしは、どうすればいいの……。
「ううっ」
アキちゃんが慌てて覆い被さり髪の毛を救うように撫でて、チュッとキスを落とす。
「ごめんナツミ。急に抜いちゃって寂しくなった?」
……違う理由で泣いてます……。
「ちょっと、俺、一回抜いとこうかな……」
「やっ、だめ……」
「……え?」
「わ、わたしと、して……ほしい」
「…………」
長すぎる沈黙で、大魔王様が氷漬けになったのかと思った。
「……ナツミ……」
「……は、い」
「俺は四六時中ナツミのナカに突っ込んだまま生きていければいいって本気で思ってるよ」
……冗談で言ってないのがわかるから怖い……。
だけどなんだか笑ってしまった。
「うん」
アキちゃんは何故だかこのタイミングでバババッと赤面して、何故だか無駄に咳をして、「そ、それではいれちゃいます」と告げると再びぐにゅにゅと深く奥まで入れてくる。
「はぁ、気持ちいい……」
「あああっ」
ぐちゅぐちゅぐにゅぐちゅ。
奥を重点に何度も何度も抽挿が続く。両手で胸を鷲掴みながら先端に交互にかぶりつく。
「あっあっ」
片方を甘噛みされつつもう片方は指先で潰される。
「あっ! もうっ!! くるっ!! あああっ」
「はぁはぁはぁ……ナツミんなか、すごいことなってるよっ」
じゅじゅじゅじゅっ。
無理矢理押し上げられるような快楽の波に怯えて身体中が突っ張る。
手も腰も動かせなくて、ただこの暴力的な強い快感に無抵抗で、意識を手放した。
ビクビクビク。
びゅくびゅくびゅく。
「んっはーーーーぁ!!」
「うっ!! くーーっ」
アキちゃんが倒れこんで、頬や胸元にサラサラした髪の感触が落ち、それがなんとかわたしをこの場に繋ぎ止める。
恐ろしいほど、気持ちがよかった……。ほんとにわたし、大丈夫なんだろうか。
やがてもぞもぞとアキちゃんが身を起こし、ナカに入れっぱなしだった自身を引き抜く。
「ナツミぃ、すげかったぞナカ……俺、廃人になるかと思った……」
「……」
悟られてはいけない。悟られたら終わりだ、毎日毎日縛られてしまうっ。あんなスンドメ? とか何度もされたら、わたしが危うく大魔王の世界に突入してしまう。
アキちゃんはユルユルと紐をほどいていく。
「縛るのもいいけど、やっぱナツミがよがりすぎて俺にしがみつくのもたまんないから、今度は普通でやろう」
……まだするのか?
「で、そのあと、ほらあれ、まだやってないだろ? バックからいれたい。ナツミのエロい顔見ながらが一番だけど、やっぱ探求心が疼くんだよな」
……。
「それの後にまた正常位に戻って」
「あ、アキちゃん!」
これはやばい。このままじゃわたしが本日付けで廃人になってしまう!
「ひとつ聞きたいことあるんだけど」
「ん? なに?」
ニコニコの大魔王様である。夢やそれ以外を膨らませているようだ。
「アキちゃんって、本当にエッチ初めて?」
「……はい?」
明らかに顔が凍りついた。
「なんか、色々と、とてもじゃないけど、ど、童貞だったとか、信じられない」
じとーーと横目で睨むと、慌てたようにわたしに巻き付けてたタオルをバッサバッサしだした。
「まじ! いやまじ! ほんとだって! あのーーそのっ、近いことはし、したかなーー? で、でも、本番とか、キスとか、まじで大切に取っておいたんだって! それもこれもナツミに捧げる為にっ!」
「……ほんとかなー……」
「ほんとっ! まじでっまじでっ!」
「……じゃあ、その近いことっていうのはどんなこと?」
「え…………」
こうして、ナツミは自分のピンチを免れたが、大魔王様はこの後、愛しいナツミに触れさせてもらうことはなく、一生懸命弁明に追われるのであった。
めでたしめでたし。
しかしその内容が悪化している場合にソレは「デジャブ」と呼べるのだろうか。そしてその場合はソレをなんと呼べばよいのだろうか。
まだ夏も来てないというのに寝苦しさに目を開けた。なぜか汗ばんでいる。なんだか室内の空気も淀んでいるような……。
ぴちゃぴちゃ。
嫌な予感、いや悪寒しかない。
ゆっくり視線を自身の下方向に落とすと、全裸だ。そして下半身にうずくまる物体に、確信を持って声をかけた。
「あ、アキちゃん……」
呼ばれて顔を上げたのは、美しい顔に淫靡なオーラを纏った少年だった。
「あれ起きちゃった?」
ペロリと自分のテカっている唇を舐めると、蕩けるような笑顔をナツミに投げた。
「な、なにをしているのかな?」
「ああ、これ? 夜這いのリベンジ」
「はいっ?!」
「前ん時は、まあアレはアレで幸せだったんだけど、どうせなら本格的な夜這いやってみたいなーなんて。ほら、俺って探求心旺盛な思春期まっさかりだろ?」
……ただのさかりの間違いじゃないのか?
「もうっバカなことしないでっ……え?」
起き上がろうとするのに身体が思うように動かない。懐中電灯をダウンライトのようにして照らされる部屋の中で、ふと頭上を見上げると、腕が縛られていた。
たぶん、だが、一応手首が痛くならないようにご丁寧にタオルを巻いてその上からなにかの厚手の紐でひとくくりにして、その紐の先がベッドに結ばれている。
さらにその同じ要領で、ウエストにもタオルをあてがわれ、グルリとベッドごと紐で巻き付かれていた。
「あ、アキちゃーーん……」
何が悲しくてちゃんとお付き合いしている人に夜這いされなきゃならないのだ……。
「こ、こんなことしなくても、わたしたち付き合ってるんだから、その、ちゃんと、普通にしよう?」
ああ、恥ずかしい……。自分で言っていて顔から火を噴きそうだ。
「うん。もちろん。それはそれでいっぱいする。これはこれでね? 男子のロマンだから」
ロマンとはなんぞや……。
「ほら、俺長いこと片想いだっただろ? その分いっぱい想像力でカバーしてきたんだけど。あ、もちろんナツミとのアレコレだけだからな? それを実際にナツミと共有したいだろ? もったいないからさあ」
「……」
いっぱいと言った……。今この子、いっぱい想像した言った……。わたし、この先このまま付き合ってて大丈夫なんだろうか……。
「じゃあ、夜這い再開しまーす」
高らかに宣言すると再び股の間に顔を埋めてしまった。
「やあっ!!」
いきなり敏感な芽を食されて身体がベッド上を弾けるが、ウエストが押さえられていて思うように快感を逃せられない。
や、やばいかも……。
指がすぐ中に入ってきた。グチャグチャと音を立てる。明らかにナツミが気付く前、長いこと弄っていたに違いない状態だった。
「はあーっ、あっあっ」
腰を思わず浮かしかけたがまったく動けない。どんどん熱が籠る一方だ。
じゅぶぶぶぶ。
強く吸い上げられながら、入口付近を丁寧に指先でなぞられて、小さいが確実な波がやってくる。その波をかわそうとするが逃げ場がなくて余計に快感が強くなる。
「ああああっ……いっ、いくっ」
そのとたん、じゅぽりと口と手が離された。
半ば呆然としてアキラを見るが、顔を上げた少年は上気した頬を緩ませて満面の笑顔だ。
「これ、寸止めってやつね。ナツミ無駄に経験あるくせに言葉知らないから教えてあげた」
……なんの授業がはじまった……?
アキラの腕が体の左右のベッドをギシリと軋ませ、真っ赤な舌を出してゆっくり胸元に落ちていく。
確信犯なのかどうなのか、枕が高めになっていて、ナツミの視界にもよく見えてしまう。
すでに尖っている先端に舌がそぉっと触れる。
「あっ」
僅かすぎてもどかしい。つんつんと、様子を窺うように少ししか触れない。その間もじーーと上目遣いにこちらを見つめているのが、ものすごく色っぽい。
アキちゃんて……ほんとに高校生? はっきり言って何から何まで恐ろしい。
アキちゃんが良く言う「無駄に経験」をわたしはしてきたけど、それでもアキちゃんとのアレコレが毎回刺激的すぎるのだ。その手もその表情も、行われる行為すべてがドロドロに淫靡で、とてもこの間まで中学生だったとは思えない。
むしろ「無駄に経験」してきたのはアキちゃんの方じゃないだろか。
こんなに色気振り撒いて高校行って、すごくかわいい子や綺麗な子たくさん侍らしてるんじゃないだろうか。
わたしは小さい頃から見てきたから免疫がついてきてるんだろうけど、このビジュアルを防御なしでいきなり拝んだら……。やっぱり引く手あまたの、手出し放題で……。
いつの間にか無表情に見つめ返してたのか、アキちゃんが小さく首を傾げる。
「あれ? もったいつけすぎた? じゃあこれでどうだ」
先端を指先でクニクニとしごき出して思わずビクリと身体が粟立った。
「っはぁ!」
アキちゃんの舌が唇をぐるりとなぞって咥内に侵入してかき混ぜる。
「んっふ」
すぐに熱が全身を巡っていく。手がスルスルと肌を伝って下降して、芽をグニグニと強くなぶり回す。
「んっんっんっ!」
手を動かしたいのにビクリともせず、腰をよじらせることも出来ず急激に快感の波が押し寄せてきた。
「んんんんっ!!」
衝撃に耐えようと身体が突っ張り出した途端、またアキちゃんの口や手がパッと離れた。
「うっ……うう」
もうどうにかなってしまいそうだ。身体が勝手にモジモジと腿を擦り合わせる。
「はぁナツミ、かわいい……そんなに目潤ませて……すごい物欲しそうだよ?」
生理的な涙がツーと枕に吸い込まれる。その滴の後をアキちゃんはペロリと舐めると指先で唇を撫でる。
「こんな、身体が縛られて、夜這いかけられてるのに、まるで欲しがってるみたいだよ……エッチだね、ナツミ」
「ううっ」
「どうしてほしい?」
ツンツンとアキラの硬いものが下腹部をノックする。
キュッとナカのほうがせつなげに悲鳴をあげる。
なんだか今、とても欲しい。一瞬陰ったこの気持ちを吹き飛ばしてほしい。
「あ、アキちゃん……」
「ん?」
「い、いれて……」
「……」
ビクンとアキラのものが反応した。だが本人は平静を保っている? ようだ。
「ナツミがすげーエロく俺を誘惑してくるんだけど」
「……」
「でも、ちゃんと言わないと、あげないよ? ほら、なにをどうしたい?」
ナツミは羞恥心を無理矢理捨て震える声で欲した。
「アキちゃんに、入れてほしい……き、きもちよく、して?」
途端にガバリと覆い被さってきた。
「マジ感動!! たまんねーー!! あーー俺、今、幸せっ!! このままここで死にたい!! でもやだ!! いっぱいヤる!!」
その勢いでズボッと枕下に手を突っ込んで取り出したゴムを、装着するやいなやナツミの脚をグイッと持ち上げた。
「あっ!」
にゅるりと、濡れた割れ目に沿わせて蜜を塗りつけるとそのままズブリと一気に貫いた。
全身がガクガクと震える。
「あ、ちょっとナツミ……いきなしその攻撃……くっ」
ジュポッとこれまた一気に引き抜いた。
「ああっ!」
ゾクゾクゾクッと身体の中心が歓喜する。
「や、やばかった今……挿れてすぐイッたらさすがに男として落ち込む」
……入れられてすぐイッちゃったわたしは、どうすればいいの……。
「ううっ」
アキちゃんが慌てて覆い被さり髪の毛を救うように撫でて、チュッとキスを落とす。
「ごめんナツミ。急に抜いちゃって寂しくなった?」
……違う理由で泣いてます……。
「ちょっと、俺、一回抜いとこうかな……」
「やっ、だめ……」
「……え?」
「わ、わたしと、して……ほしい」
「…………」
長すぎる沈黙で、大魔王様が氷漬けになったのかと思った。
「……ナツミ……」
「……は、い」
「俺は四六時中ナツミのナカに突っ込んだまま生きていければいいって本気で思ってるよ」
……冗談で言ってないのがわかるから怖い……。
だけどなんだか笑ってしまった。
「うん」
アキちゃんは何故だかこのタイミングでバババッと赤面して、何故だか無駄に咳をして、「そ、それではいれちゃいます」と告げると再びぐにゅにゅと深く奥まで入れてくる。
「はぁ、気持ちいい……」
「あああっ」
ぐちゅぐちゅぐにゅぐちゅ。
奥を重点に何度も何度も抽挿が続く。両手で胸を鷲掴みながら先端に交互にかぶりつく。
「あっあっ」
片方を甘噛みされつつもう片方は指先で潰される。
「あっ! もうっ!! くるっ!! あああっ」
「はぁはぁはぁ……ナツミんなか、すごいことなってるよっ」
じゅじゅじゅじゅっ。
無理矢理押し上げられるような快楽の波に怯えて身体中が突っ張る。
手も腰も動かせなくて、ただこの暴力的な強い快感に無抵抗で、意識を手放した。
ビクビクビク。
びゅくびゅくびゅく。
「んっはーーーーぁ!!」
「うっ!! くーーっ」
アキちゃんが倒れこんで、頬や胸元にサラサラした髪の感触が落ち、それがなんとかわたしをこの場に繋ぎ止める。
恐ろしいほど、気持ちがよかった……。ほんとにわたし、大丈夫なんだろうか。
やがてもぞもぞとアキちゃんが身を起こし、ナカに入れっぱなしだった自身を引き抜く。
「ナツミぃ、すげかったぞナカ……俺、廃人になるかと思った……」
「……」
悟られてはいけない。悟られたら終わりだ、毎日毎日縛られてしまうっ。あんなスンドメ? とか何度もされたら、わたしが危うく大魔王の世界に突入してしまう。
アキちゃんはユルユルと紐をほどいていく。
「縛るのもいいけど、やっぱナツミがよがりすぎて俺にしがみつくのもたまんないから、今度は普通でやろう」
……まだするのか?
「で、そのあと、ほらあれ、まだやってないだろ? バックからいれたい。ナツミのエロい顔見ながらが一番だけど、やっぱ探求心が疼くんだよな」
……。
「それの後にまた正常位に戻って」
「あ、アキちゃん!」
これはやばい。このままじゃわたしが本日付けで廃人になってしまう!
「ひとつ聞きたいことあるんだけど」
「ん? なに?」
ニコニコの大魔王様である。夢やそれ以外を膨らませているようだ。
「アキちゃんって、本当にエッチ初めて?」
「……はい?」
明らかに顔が凍りついた。
「なんか、色々と、とてもじゃないけど、ど、童貞だったとか、信じられない」
じとーーと横目で睨むと、慌てたようにわたしに巻き付けてたタオルをバッサバッサしだした。
「まじ! いやまじ! ほんとだって! あのーーそのっ、近いことはし、したかなーー? で、でも、本番とか、キスとか、まじで大切に取っておいたんだって! それもこれもナツミに捧げる為にっ!」
「……ほんとかなー……」
「ほんとっ! まじでっまじでっ!」
「……じゃあ、その近いことっていうのはどんなこと?」
「え…………」
こうして、ナツミは自分のピンチを免れたが、大魔王様はこの後、愛しいナツミに触れさせてもらうことはなく、一生懸命弁明に追われるのであった。
めでたしめでたし。
応援ありがとうございます!
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