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峯森誠司
13話 正直な気持ち(1)
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どうやら、結局のところ、ちゃんと伝わってなかったらしい。そして結果、やっと伝わった?
羽馬は思いのほか、泣き止むのが早かった。泣いている間だけは、なんとなくずっと抱きしめていていいものだと勘違いを起こしていたので、名残惜しいと思うほどには、早かった。
「うそだ。やっぱり信じられない。誠司くんだよ? あの誠司くんが、私のこと好きって? ありえない!」
泣き止んだ開口一番がこれなもんで、俺の今までの振る舞いが、いかに羽馬にとって最悪なものだったのかと思い知らされる。
「ごめん、俺の自覚が遅かったというか、よくわかってなかったというか……」
「錯覚、てことじゃない? ずっと女の子に擬態してたから。でも、もう無理。ずっと自分らしくなくて、しんどくもなって。だから、やっぱり誠司くんには、誠司くんのままでいてほしいから」
言ってる意味がわからない。だいぶ混乱を起こしているのだろうか。告白って、「はい」「いいえ」とか「わたしもスキ」「ごめんなさい」とか、もっと簡潔なゴールをむかえるもんだと思っていたんだけど。
「あの、羽馬、さっきから、大丈夫か?」
泣きはらした瞳をキッと向けている。なんとなく、もう一度抱きしめたいと思ってしまって、一回天を仰いだ。
「私なんかが誠司くんの隣に立てるわけない。けど、誰にも立っていてほしくない。なんでこのふたつしかないんだって、思ってるとこ!」
そう言うと、逃げ出すように目の前から走り去っていってしまった。
「え? ええ?」
結局、この二度目の告白も、成功というより失敗のほうが色濃いような気が、した。
羽馬は思いのほか、泣き止むのが早かった。泣いている間だけは、なんとなくずっと抱きしめていていいものだと勘違いを起こしていたので、名残惜しいと思うほどには、早かった。
「うそだ。やっぱり信じられない。誠司くんだよ? あの誠司くんが、私のこと好きって? ありえない!」
泣き止んだ開口一番がこれなもんで、俺の今までの振る舞いが、いかに羽馬にとって最悪なものだったのかと思い知らされる。
「ごめん、俺の自覚が遅かったというか、よくわかってなかったというか……」
「錯覚、てことじゃない? ずっと女の子に擬態してたから。でも、もう無理。ずっと自分らしくなくて、しんどくもなって。だから、やっぱり誠司くんには、誠司くんのままでいてほしいから」
言ってる意味がわからない。だいぶ混乱を起こしているのだろうか。告白って、「はい」「いいえ」とか「わたしもスキ」「ごめんなさい」とか、もっと簡潔なゴールをむかえるもんだと思っていたんだけど。
「あの、羽馬、さっきから、大丈夫か?」
泣きはらした瞳をキッと向けている。なんとなく、もう一度抱きしめたいと思ってしまって、一回天を仰いだ。
「私なんかが誠司くんの隣に立てるわけない。けど、誰にも立っていてほしくない。なんでこのふたつしかないんだって、思ってるとこ!」
そう言うと、逃げ出すように目の前から走り去っていってしまった。
「え? ええ?」
結局、この二度目の告白も、成功というより失敗のほうが色濃いような気が、した。
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