親友だと思っていた後輩に襲われた話

Sion ショタもの書きさん

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親友だと思っていた後輩に襲われた話

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 グラウンドが夕陽によって橙色に染め上げられていく。その様を見て、今日はここまでかと、隼人は号令をかけた。同級生と後輩の一年たちが息を切らして駆け寄ってくる。みんな汗をかいているのは同じだが、ユニフォームに泥をつけている一年が何人かいる。今日の練習メニューは多かったのかもしれない。明日はすこし減らそうか。

「そろそろ終わろうか! 俺たち二年はゴールをかたづけるから、一年はコーンとボールを片づけて。そのあとみんなでグラウンド整備な!」

 悩みながらも、指示だしは正確に行う。

「「「はい!!」」」

「あと泥をつけている一年、こっちこい」

 手招きをすると、後輩たちは苦笑いをして駆け寄ってきた。

「どうしました?」

 水飲み場の方まで三人を案内すると、隼人は泥を落とすように説明した。手には絆創膏を握っている。もし怪我を放置して、膿んだりしたらいけない。
 後輩があらっている間に、タオルを用意した。

「これで拭いたら良いからな。女の子じゃなくて、俺のタオルで悪いけど」

 一人一人に手渡していく。
 そのたびに、ありがとうと笑顔で言われると、心の広い後輩を持てて幸せだなと感じる。
 最後の三人目、優樹にも手渡す。

「あっ、ありがとうございますっ!」

 優樹は声を裏返しながら頭を下げた。タオルで顔の半分を隠しているが、よく見ると、すこし顔が赤くなっている。それに息も切れているようだ。

「水も飲んどけよ。顔、赤くなってるから」

「はうぅ……!」

 隼人は後輩二人を先に返して、優樹の様子を観察した。これでも食べておけと口に塩飴をつっ込みながら、額に手を当てて体温を測る。すると優樹がプルプルと震えだした。

「……大丈夫か?」

「そ、その、近いです」

「あっ悪い、気持ち悪かったよな」

「いっいいえ、全然、まったく!! むしろ僕の方がごめんなさいですっ!」

 どういう意味だと笑う。
 おそらく熱中症だろう。看病のついでに休憩して、グラウンドへ戻ると、ほとんど片づけが終わっていた。最終下校の10分前を知らせるチャイムが鳴っている。

「ごめんな、ありがとう。明日、何かおごらせて」
 
「いいよいいよ」
 
 自分がいない間、ゴールを運んでくれたメンバーに礼をする隼人。同級生はあまり気にしていないようで、なんでもないかのように笑顔で手をふっていた。
 いつものように、テキパキと片づけを済ましていき、解散の合図をする。
 
「また明日もよろしくな。お疲れさま」

「「「お疲れさまでした!!」」」

 そうして校門を出たときには、すでに太陽は落ちきっていた。もうすぐ秋になる。心なしか、風も冷たくなってきた。もう暗いから気をつけろよ、とみんなに向かって手をふりながら、ジャージが必要かどうかを考える。……まだ暑いから大丈夫か。
 ふっ、と息をつく。

「じゃあ、俺たちも帰ろうか」

「は、はいっ!」

 隼人が歩き始めるのを、優樹は追いかける。帰り道が一緒だった。ぽつりぽつりと会話をしながら、無言のときを楽しむ。公園の前にさしかかった辺りで、隼人は何となしに考えていた。会話のペースが遅いからだろうか。優樹といるのは意外と落ち着く。
 はじめは気弱なやつだと心配になることもあった。しかし毎日、会話を重ねるたびに、そうではない一面もあると理解してきた。たとえば「つ、つつつ、つき合ってください!」と言われて休日につき合った、サッカーの練習。隼人が見せた手本を、優樹は何度も、必死になって真似ようとした。
 ふと、隣を見る。

「って、何してるんだ?」

「い、一生のお願いです。先輩の体をさわらせてください!!」

 いつの間にか、優樹は地面に膝をつけて、土下座をしていた。

「別にいいけど、そんなに必死になるほどか?」

 わからない。が、優樹にとっては何か、大切なことなんだろう。
 気前よく隼人は腕に力こぶをつくった。

「……そ、そっちじゃないです」

「あ、こっちか?」

 ユニフォームをたくし上げて腹筋に力を入れる。

「うぅ、先輩が手強い……。まあいいです。体にふれて良いって、先輩は言いましたからね!!」

「ん? おう」

 戸惑う隼人の手を引いて、優樹は公園樹の影へ移動した。そこからは道路が一切見えず、クルマの音が聞こえるだけ。聞こえるといっても、ほとんどしない。互いの姿が確認できないほどの暗がりだった。体にふれるだけ、だよな? と隼人は首をかしげる。

「さわって、いいですか?」

 声を震わせる優樹が、どんな顔をしているのか、隼人にはわからなかった。
 隼人が「おう」と意思表示をすると、優樹が動き出す。ザリ、と砂を踏む足音が聞こえた。 

 はじめは手だった。両手をつかって、右手を丁寧に持ちあげて、表を向けたり、裏を向けたりする。手のひらを指先でなぞられて、隼人はこそばゆい気持ちになる。
 優樹の息がかかっている感覚がして、明日にするかと聞く。そうすれば、そんなに顔を近づけなくても、手相くらい見ることができるだろう。

「明日もして良いんですか!?」

 違う。明日にするかと聞いたんだ。
 そう口に出しそうになるが、断る理由がないことに気づく。

「まあ、いいか」

「ありがとうございますっ!」

 手のひらが握られ、握手の形になる。手の甲にやわらかい感触がした。これは優樹のほほだろうか。その仕草が子犬のようで、思わず隼人は、左手で優樹の頭をなでていた。
 ピクリと優樹の頭が揺れ動く。

「悪い、つい」

「いえ、僕は嬉しいです。先輩さえよければ、もっと……」

「そうか?」

 隼人が遠慮なく、子犬のような優樹をなでて堪能していると、二の腕からわきへ優樹の両手が移動してきた。そうして抱きつかれる。
 そのまま肩から背中。そして、ためらいがちにお尻へと手が伸ばされる。
 街灯も届かない夜の公園。視覚が働かない代わりに、その他の感覚が鋭敏になっている。首の匂いを嗅がれている気がしてしまうのも、無理はない。優樹は息をしているだけなのに。
 ただ、これは流石に様子が変だ。
 もしかして。

「優樹、学校で何かあったか? 友達と喧嘩したか? それとも親?」

「どうして、です……?」

「いや、寂しいことがあると、人肌恋しくなるよな」

 そういえば、と今までのことを思い出す。ちょこちょこと自分の後を追いかけるいつもの姿が目に浮かぶ。意外と優樹が寂しがり屋だったことに気がつかされた。新たな一面だ。抱きしめ返して、そのままじっとしている。腕の中で身じろぎをする優樹。

「違いますから!」

 唇にむにゅりとした感覚。

「んぅ!?」

 隼人は目を大きく開けて驚いた。キスは親愛の証だ。普通は家族とするものではあるが、海外では友達同士でもするらしいことを思い出す。そういう家庭で育ったのだろうか。求めに応じるようにキスを返す。ついばむように。慣れていないのか息を切らしている優樹。
 息がくすぐったく感じて、くすりと笑う。
 胸や腕ごしに優樹の体がこわばるような感覚が伝わってきた。それから力がいっそう強まった。さすがに暑くなるほど、ピタリと密着していると、汗の匂いが気になってくる。
 でも、落ち着くなぁ。
 優樹の背中を、あやすようになでる。

「!?!?」

 優樹の舌が口に入りこんできた。かなり驚いたが、何とか真似をして舌を絡ませる。不思議な感覚がする。こそばゆいような、そうでないような。
 ……しかし親愛のキスとは舌を、入れるものだっただろうか。

「っふ、ふは、はやと、せんぱいっ」

「はぁはぁ、はぁ……」

 そんな顔をして心配しなくとも、俺たちは親友だろうに。
 いつの間に、これだけ好かれていたのだろう。

「好き、です」

「むしろ嫌いだって言われた方が驚くけどな」

 これだけしておいて、と笑いかける。

「……さわって良いって、言いましたからね?」

 額と額をあわせる。不安げに尋ねられると、隼人には何だか優樹が、可愛く思えてきた。ここは先輩として胸をはって答えるべきだろう。

「そんなに心配しなくても、優樹のこと、俺が嫌いになるはずないだろ?」

 おずおずと、そして思い切ったように優樹の手が、隼人のユニフォームをたくし上げた。
 たくし上げた?

「は?」

 何が起きた。

 呆然と立ち尽くす隼人の胸に、もどかしい快感が広がっていった。自身の胸に優樹が吸いついているのだと気がつくと、ひどく困惑してしまう。先の方を舌でころがされると、じん、とする。
 何をされているのか、理解したくない。
 しかし、襲い来る快感がそれを許さなかった。

 右の方が終わると左の方へ。
 それまで温かだった濡れたところへ夜風がかすめると、ひんやりとした。
 それすら快楽へ変わる。

 何度も、何度も、何度も。微弱な刺激が送り続けられる。

「や、やめ」

 呆然としている間に自身のペニスが持ち上がりはじめていることに、隼人は気がついた。気持ちいい、ではない。このままではまずい。非常にまずい。
 しかし理由もなく優樹がこんなことをするだろうか。さわる、という範囲に入るのか疑問ではあるが約束もしてしまった。
 頭がいっぱいになる隼人。

「んっ!?」

 舌先でへそを舐められている。
 指先で胸をいじられている。
 止める間もなくズボンが下ろされた。

「ゆうきっ」

「んっ、はぁ先輩……」

 優樹が目を丸くして隼人の股間をみつめた。その視線を隼人が追うと、自身のパンツが大きく膨らんでおり、テントを張っていた。その頂点がしっとりと濡れている。優樹の愛撫に興奮してしまったという、紛れもない証拠だった。

「み、みるな」

 願いは叶わず、優樹の鼻先がピタリと密着する。息を吸って、吐いたのが、パンツごしに伝わった。思わずピクリと反応してしまって、ペニスを鼻へ押しつけてしまう形になる。

「はやと先輩のにおい、だ……」

 とろけるような甘い声でつぶやく優樹に、隼人は耳まで赤く染め上げてしまう。言葉もでなかった。頭が真っ白になっていく。心臓の音がうるさい。のぼせてしまったように体が熱い。

「や、やめよう、な?」

 蚊の鳴くような声しか出せなかった。
 悩みながら、考えを言葉にしていこうとする。

「さすがに、親友でもここまでしないと思う。だから」

「……親友じゃないです」

「えっ」

 親友ではない、とは。血の気が引くとは、このことなのだろう。と、現実感のないまま隼人は思った。優樹の言葉が脳内でなんどもくり返された。親友じゃないとは、どういうことだと。

「僕は先輩のことがしゅ、んんっ、好きです」

 ……もしかして。

「友達?」

「じゃないです」

「……好きなのに?」

「はい」

「…………こ、こここ、恋人とか、か?」

「そうです!」

 優樹の明るい声。

「そっかー」

 答えを得たはずが、隼人の頭の中は真っ白なまま。こんな時だというのに、暗くて優樹の顔がよく見えない。視線を空へと移す。夜風がすずしく、遠くでクルマの音が聞こえる。それ以外に音はしない。
 現実に引き戻すかのように、優樹によって、隼人のパンツがずり下げられた。
 何かに引っかかるような、すこしの抵抗。窮屈な場所に閉じ込められていた、硬く勃起したペニスが勢いよく跳ね上がる。

 はずかしがる暇もなく、優樹が顔を近づけてきた。これまでの経験から、匂いでも嗅いでいるのかもしれないと隼人は予想した。現実逃避だ。満足したのか離れていく気配がして、ほっと息をつく。
 次の瞬間には丁寧になでられていた。竿はもちろん、玉のところまで、優しくなでられて揉まれていく。自分でするのとはまた違った感覚に、隼人は声を押し殺すことができなかった。背筋がしびれるような快感。はずかしさがこみ上げてくる。

「……硬くて、熱いですね」

「お、おう」

「それに僕のより大きいです。あっ、先輩の先っぽから蜜がでてきまし……むぐっ」

「あ、大きくなっ……むぐぅ!」

 思わず優樹の口をふせぐ。どうしてそんな報告をするんだ。と体を震わせた。これ以上に何かされると、体が熱くなりすぎて、死んでしまう。快感で腰が抜けそうだというのに。優樹が腰に抱きつくから、座ることすらできない。
 優樹の手によって亀頭が外気にふれる。冷たい。でも、気持ちいい。
 いやいや、ダメだ。止めないと。
 人にされているという状況か。それとも優樹が上手いだけか。与え続けられる快感に、理性と本能の間でゆれてしまう。

「もう、やめろよ……」

 無理に引きはがすと、怪我をさせてしまう。そのことも考えて、隼人は手を出せずにいた。

「気持ちいい、ですよね?」

「そう、だけどな」

さすがにここまでは想定していなかった。
次の言葉をつげようとして、さえぎられる。

「んっ、ふぅっ……お、おま!」

 突如として訪れた、大きな快感に声が漏れた。
 このぬるりとした温かい感触はまさか。

「先輩の、おいしいです」

 てろん、と甘い声。
 まるでアイスを舐めるかのように、ペニスの裏側を刺激されていた。この気持ちよさは何だ。チロチロと、すこしずつ積み重ねられていく快楽に、理性がとろけていく。ついつい、腰を動かしてしまった。優樹の口へと。舌にすりつけるように。
 拒否されるでもなく、嬉しそうに飲み込んでいく様を見ると、何だか良いような気がしてくる。
 だ、ダメだ。

「これ以上は、止まらなくなる。もう」

「……僕は、れろ、いいです。せんぱいの、すきにして、ください」

 優樹の声が甘く響く。与えられる快楽と好意の波に、ながされてしまいそうになる。本当はダメなのに。体がいうことを聞かない。無理矢理に頭を抑えて、腰を打ちつけたくなる衝動をかろうじて、耐えることが精一杯だった。

 軽くふれるように舐められる。喉の深いところまでくわえられる。あの手この手で、我慢しているものを、残らずはき出してしまえと快楽が与えられる。
 温かくも優しい愛撫は、まるで湯船につかっているように気持ちが良い。
 熱く、激しい愛撫は、まるで激流の中にいるようで、激しい快感に襲われる。
 それらが巧みに隼人を高みへ昇りつめさせる。ペニスの内側でとどこおっている白い流れを、外側へはじきだそうと。じんじんと、頭の中に幸福が蓄積されていく。耐えられない。もうすぐ決壊してしまう。隼人は優樹の頭をぎゅっとつかんだ。

「でそう、だから……」

 優樹は答えない。いや、よりいっそう、隼人を激しく責め立てることで、出して良いと答えているのだ。幻聴が聞こえる。『出しても良いですよ先輩』と。そしてきっと、次には『おいしかったです』と明るく笑うのだろう。

「あ、あぁ、あああ!」

 隼人は優樹の口で果てた。ビュク、ビュクと、断続的に強烈な快感が襲い来る。脳天まで蹂躙されるようだった。これだけ気持ちよく射精したのは、人生ではじめてかもしれない。口でペニスを締めつけられている。吸われているのだろうか。
 亀頭の付近で、うねるような刺激が与えられる。自身が出してしまった液体が飲まれているのだろう。その刺激が射精を止めさせてくれない。
 やっと終わると優樹がペニスから口を離す。
 ビュクッ、と残った精液が発射されて、その顔に線を描いた。

「「あっ」」

 かけてしまったという罪悪感。それに加えて、よりによって、射精の瞬間を見られてしまった。体をこわばらせる隼人。おずおずと優樹へ視線を向けると、ニコリと微笑まれる。
 恥ずかしい。

「なんか、ごめんな」

「気にしないでください」

 顔にかかってしまった隼人の精液を指ですくい取る優樹。親指と人差し指をくっつけたり、離したりして遊びだす。もちろん匂いを嗅ぐのも忘れない。とんでもなく興奮しているようで、顔を赤くしながら、息も荒くしていた。
 隼人はハンカチを取り出して、そっと優樹の指をぬぐう。その顔は真っ赤に染まっていた。何をしているんだ、と。

「――なぁ、好きって、答えのことなんだけど」

 帰り道。
 ついに最後までしてしまったという後悔。それでも、優樹にされるのが嫌ではなかったという事実。自分の心について悩みながら話しかける。

「は、はい!!」

「俺はまだ、よくわからない、から。もっとよく考えさせてほしい」

 伝えきると、優樹は抱きついてきた。

「わかり、ました。じゃあ、明日もよろしくお願いします」

「……えっ?」

「約束しましたよね! 絶対に先輩に好きといわせてみせますからねっ! 体だけでも!!」

 まじか。耐えられるだろうか。と隼人は不安になった。
 優樹が宣言してから、一日、二日、三日と過ぎていき。一週間、一ヶ月、半年の月日が流れていく。優樹の勢いに負けてしまったのか、隼人は徐々に優樹に惹かれていった。はじめは顔を見るだけで緊張していた。しかし、すこしずつ、着実に、前よりも落ち着ける居場所に変化していった。
 なんだか敵わないなぁ。
 そんな風に、隼人は言葉をこぼした。
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