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中編 和井過去を語る
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村に引っ越してきた時に和井が借りた一軒家。
村の中心から外れた一番山に近い場所の一軒家に住み始めてから和井は準備を進めていたのだという・・・
「本当にこれだけで村が栄えるのですかのぉ~」
「結果が出るまでは時間が掛かると思いますが気長に見て見て下さい」
和井は村長に話した、最近ではダム巡りや廃橋なんかを名所にしている場所もあるという事を。
確かに一部の人間がそう言った場所を巡るのを趣味にしている話はある、部数は少ないが専門誌も出ているくらいだからだ。
だが本屋すらまともにない田舎、携帯は未だにガラケーが殆ど、なによりインターネットすら繋がっている家が非常に少ないドが付く程の田舎だ。
その言葉の信憑性を確認する手段も少ないから『物は試しに』が和井の予想通り通じた。
何より生活を始めてから半年の間、和井が誠実に整備工場で働き、村の人間と交流を深めていたのが結果的に村長の背中を押したのだ。
「それであの山の大沼を名所にすると?」
「はい!既にこちらで準備の手筈を整えれるように調べてありますよ」
「随分と手が早いのぉ・・・」
「いや~自分この村に住み着いてから何とかこの村を活気付けられないかと常々思っていたもので」
これが村に住み着いて直ぐの人間が口にしたのであれば怪しさ全開であったが、人というのは人を見るものである。
和井の言葉はこの村の住民として『村を住み良くする為の善意』として捉えられたのだ。
そうして村長からゴーサインが出た和井はその日から行動を開始した。
「って業者に頼んで沼への悪路と沼の周囲にロープを張っただけ?!」
「あぁ、これで準備は全部さ」
「それでどうやったらこの3億になるっていうんだ?」
「簡単な事さ・・・」
日が暮れたある日、1台の車が田舎の山目指して走っていた。
運転するのは一人の男、睡眠不足なのか目の下にクマを作り震える手でハンドルを握っていた。
「も・・・もう少しだ・・・」
男は山の麓に建てられた『この先、底なし沼 午後5時以降の侵入を禁止する』という看板にチラリと目をやって口元を歪ませる。
後部座席には一人の女性が横たわっていた。
その姿をルームミラーでチラリと確認し男は山の中へ車を走らせ続ける。
そして、目的の場所へ到着した。
「これか・・・本当どうなることかと思ったがこれで安泰だ・・・」
そう言って男は後部座席のドアを開けた・・・
「やった・・・やったぞ・・・これで俺は・・・自由だ!」
嬉々として山道を走る男、だが悪路なのもあり車が激しく跳ねる。
だが解放感に酔っているのか男は気付かなかった・・・
行きよりも激しく車が揺れている事に・・・
「あんっ?!おい嘘だろ?!」
それは山を下山して直ぐ、アスファルトの上に乗って気付いた。
左の前輪がパンクしていたのだ。
そして、男は直ぐ近くの一軒家に目が行く・・・
街灯が殆どない田舎、携帯電話で助けを呼ぼうにも今自分がここに居ると言う情報を極力残したくない男はGPSを恐れて電源を入れられなかった。
「すまない、誰かいないか?」
「はーい」
呼ばれて現れたのは和井である。
男はドライブの途中で車がパンクしたので助けてほしいとの事を伝えた。
「それなら村の整備工場で働いていますから融通聞きますよ」
「本当か!助かる!」
「ちょっと待ってて下さいね・・・『あっおやっさん?はい・・・いま・・・うちで・・・えぇ・・・』15分くらいで来てくれるそうです」
「そうか!悪いな本当助かる」
「いえいえ、困った時はお互い様ですから」
そして、和井と男は真っ昼間の15分間他愛無い世間話で場をつないでいた。
「へぇ、そんなに若いのにここに引っ越してきたのか?」
「えぇそうなんですよ、それでこの村の名物の底なし沼の管理人なんかやらされてるんですよハハハ・・・」
「か、管理人・・・か・・・」
底なし沼の管理人という言葉に男の表情が一瞬痙攣する。
その表情を見た和井は内心ほくそ笑みならが続けて口にする。
「そうそう、あの底なし沼なんですけどね・・・ここだけの話ですよ・・・底が在るんですよ」
「えっ・・・」
「ひどい話でしょ?底なし沼ってうたってるのに底が在るなんて」
男の顔から血の気が引いていく・・・
その時ちょうど整備工場の車が到着した音が響いた。
和井の計算通りの時間である。
そして、和井も手伝いパンクしたタイヤを外して修理する・・・
「それではお気をつけて~」
代金を支払い青ざめた顔したままの男がダッシュボードに入っていた振込先の書かれたメモに気付いたのは翌日の事であった・・・
「とまぁこんな感じで1年程続けて振り込まれた合計金額がこの3億円って訳さ」
和井の言葉に俺は固まっていた。
整備工場の明細には車のナンバーや日付本人直筆のサインが残されている。
そして何より・・・
底なし沼には一体どれ程の数が沈んでいるのか・・・
それを考えると恐ろしい目で和井を見つめていた・・・
「そんな目で見るなよ、俺はたまたまパンクした車の近くに居た民家の人間で、偶然整備工場の従業員で、不思議と底なし沼の管理人で、知らない相手から受け取っても問題の無い架空の名義の銀行口座を持ってただけなんだから」
「そ・・・そうだよな・・・お前自身は一切殺人も、脅迫も何もしてないもんな・・・」
死体遺棄補助・・・いや、知らなかったのなら仕方ない、そう仕方ないんだ・・・
「そ、その整備工場では不審がられなかったのか?」
「ん?あぁ流石におかしいと思われていたとは思うけど臨時売り上げ、しかも出張料と割増料金込みだからな。なにより・・・前もって『肝試しをしようと夜中にやってくる上客が絶対増えますから』って言い張っていたから深く追及されたことは無いよ。不思議に思ってるとしたら俺の仕掛けたパンクする罠だろうけど『夜中に悪戯されたら困るから対策考えておきます』とも事前に伝えてあるから」
「そ・・・そうか・・・」
抜かりない和井の言葉に納得した振りして和井は目の前の3億に視線をやる・・・
そして、その視線に気づいた和井は口にした。
「それじゃあここまで話したんだ。今からこの3億円を現金化するのに協力してもらうぜ」
「・・・えっ?」
村の中心から外れた一番山に近い場所の一軒家に住み始めてから和井は準備を進めていたのだという・・・
「本当にこれだけで村が栄えるのですかのぉ~」
「結果が出るまでは時間が掛かると思いますが気長に見て見て下さい」
和井は村長に話した、最近ではダム巡りや廃橋なんかを名所にしている場所もあるという事を。
確かに一部の人間がそう言った場所を巡るのを趣味にしている話はある、部数は少ないが専門誌も出ているくらいだからだ。
だが本屋すらまともにない田舎、携帯は未だにガラケーが殆ど、なによりインターネットすら繋がっている家が非常に少ないドが付く程の田舎だ。
その言葉の信憑性を確認する手段も少ないから『物は試しに』が和井の予想通り通じた。
何より生活を始めてから半年の間、和井が誠実に整備工場で働き、村の人間と交流を深めていたのが結果的に村長の背中を押したのだ。
「それであの山の大沼を名所にすると?」
「はい!既にこちらで準備の手筈を整えれるように調べてありますよ」
「随分と手が早いのぉ・・・」
「いや~自分この村に住み着いてから何とかこの村を活気付けられないかと常々思っていたもので」
これが村に住み着いて直ぐの人間が口にしたのであれば怪しさ全開であったが、人というのは人を見るものである。
和井の言葉はこの村の住民として『村を住み良くする為の善意』として捉えられたのだ。
そうして村長からゴーサインが出た和井はその日から行動を開始した。
「って業者に頼んで沼への悪路と沼の周囲にロープを張っただけ?!」
「あぁ、これで準備は全部さ」
「それでどうやったらこの3億になるっていうんだ?」
「簡単な事さ・・・」
日が暮れたある日、1台の車が田舎の山目指して走っていた。
運転するのは一人の男、睡眠不足なのか目の下にクマを作り震える手でハンドルを握っていた。
「も・・・もう少しだ・・・」
男は山の麓に建てられた『この先、底なし沼 午後5時以降の侵入を禁止する』という看板にチラリと目をやって口元を歪ませる。
後部座席には一人の女性が横たわっていた。
その姿をルームミラーでチラリと確認し男は山の中へ車を走らせ続ける。
そして、目的の場所へ到着した。
「これか・・・本当どうなることかと思ったがこれで安泰だ・・・」
そう言って男は後部座席のドアを開けた・・・
「やった・・・やったぞ・・・これで俺は・・・自由だ!」
嬉々として山道を走る男、だが悪路なのもあり車が激しく跳ねる。
だが解放感に酔っているのか男は気付かなかった・・・
行きよりも激しく車が揺れている事に・・・
「あんっ?!おい嘘だろ?!」
それは山を下山して直ぐ、アスファルトの上に乗って気付いた。
左の前輪がパンクしていたのだ。
そして、男は直ぐ近くの一軒家に目が行く・・・
街灯が殆どない田舎、携帯電話で助けを呼ぼうにも今自分がここに居ると言う情報を極力残したくない男はGPSを恐れて電源を入れられなかった。
「すまない、誰かいないか?」
「はーい」
呼ばれて現れたのは和井である。
男はドライブの途中で車がパンクしたので助けてほしいとの事を伝えた。
「それなら村の整備工場で働いていますから融通聞きますよ」
「本当か!助かる!」
「ちょっと待ってて下さいね・・・『あっおやっさん?はい・・・いま・・・うちで・・・えぇ・・・』15分くらいで来てくれるそうです」
「そうか!悪いな本当助かる」
「いえいえ、困った時はお互い様ですから」
そして、和井と男は真っ昼間の15分間他愛無い世間話で場をつないでいた。
「へぇ、そんなに若いのにここに引っ越してきたのか?」
「えぇそうなんですよ、それでこの村の名物の底なし沼の管理人なんかやらされてるんですよハハハ・・・」
「か、管理人・・・か・・・」
底なし沼の管理人という言葉に男の表情が一瞬痙攣する。
その表情を見た和井は内心ほくそ笑みならが続けて口にする。
「そうそう、あの底なし沼なんですけどね・・・ここだけの話ですよ・・・底が在るんですよ」
「えっ・・・」
「ひどい話でしょ?底なし沼ってうたってるのに底が在るなんて」
男の顔から血の気が引いていく・・・
その時ちょうど整備工場の車が到着した音が響いた。
和井の計算通りの時間である。
そして、和井も手伝いパンクしたタイヤを外して修理する・・・
「それではお気をつけて~」
代金を支払い青ざめた顔したままの男がダッシュボードに入っていた振込先の書かれたメモに気付いたのは翌日の事であった・・・
「とまぁこんな感じで1年程続けて振り込まれた合計金額がこの3億円って訳さ」
和井の言葉に俺は固まっていた。
整備工場の明細には車のナンバーや日付本人直筆のサインが残されている。
そして何より・・・
底なし沼には一体どれ程の数が沈んでいるのか・・・
それを考えると恐ろしい目で和井を見つめていた・・・
「そんな目で見るなよ、俺はたまたまパンクした車の近くに居た民家の人間で、偶然整備工場の従業員で、不思議と底なし沼の管理人で、知らない相手から受け取っても問題の無い架空の名義の銀行口座を持ってただけなんだから」
「そ・・・そうだよな・・・お前自身は一切殺人も、脅迫も何もしてないもんな・・・」
死体遺棄補助・・・いや、知らなかったのなら仕方ない、そう仕方ないんだ・・・
「そ、その整備工場では不審がられなかったのか?」
「ん?あぁ流石におかしいと思われていたとは思うけど臨時売り上げ、しかも出張料と割増料金込みだからな。なにより・・・前もって『肝試しをしようと夜中にやってくる上客が絶対増えますから』って言い張っていたから深く追及されたことは無いよ。不思議に思ってるとしたら俺の仕掛けたパンクする罠だろうけど『夜中に悪戯されたら困るから対策考えておきます』とも事前に伝えてあるから」
「そ・・・そうか・・・」
抜かりない和井の言葉に納得した振りして和井は目の前の3億に視線をやる・・・
そして、その視線に気づいた和井は口にした。
「それじゃあここまで話したんだ。今からこの3億円を現金化するのに協力してもらうぜ」
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