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人から人へ感染するアウトブレイク 第9話
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助かったと思ったガンジーに向けられた3つの銃口、あの位置から放たれれば二人とも無事では済まないのは直ぐに見て取れた。
あの村人の足を撃って破壊した威力であれば自分達の命なんて簡単に奪えるだろう・・・
思わずガンジーは声を漏らした。
「い・・・一体どういう・・・」
「おとなしくしてろ!そのまま動かず目をしっかりと見せろ!」
怒鳴り声が二人に突き刺さり男の方に目を向ける。
銃口を向けるその男の顔が緊張しているのに気付き、ガンジーとヒロエは気付いた。
外での事で奴らの仲間になっていないかを確認しているのだ。
二人も理解している点、目が赤く光り怪我等が直ぐに治るのを確認しているのだろう・・・
そう気付いた時に足元にナイフが転がってきた。
「それで指先を少し切って見せろ!」
「そ、村長!ご無事だったんですね!」
男たちの後ろに立つ老年の男性、彼がこの村の村長カタストだ。
見知った顔に少し安堵しガンジーは言葉を発したが、村長からの返答は無かった。
それよりもまずは確認させろという事なのだろう、ガンジーはゆっくりと落ちているナイフに手を伸ばして拾った。
そのナイフを人差し指の先にあて、少しだけ切り込みを入れる・・・
指先から垂れる血、その切り口から出る血が直ぐに止まらないのを確認した男達は銃口をガンジーから離しヒロエに向けた。
「そっちもだ!」
「分かった。直ぐにやるからちょっと待て、少しだけ痛いが我慢してくれな」
「うん・・・」
そう会話し、ガンジーはヒロエの手を取り指先にナイフを当てる・・・
痛みを我慢するようにヒロエがギュッと目を瞑ったのを確認して小さく切り込みを入れた・・・
「っ?!」
「す、すまない痛かったかヒロエ?」
「う・・・ううん大丈夫だよお父さん」
血豆の様な小さな傷口に膨れ上がる血・・・
それを見える様に男達に向けて見合う事数秒・・・
勿論ヒロエの指先も直ぐに血が止まる事は無く、指を血が伝い止まらない事を確認する男達は互いに顔を見合わせ一つ頷き合った。
それと共に安心したのか、男たちの顔からこわばりが消えて銃口が二人から反れた。
それを確認し、ホッとガンジーとヒロエも肩の力を抜いた。
「すまなかったな、確認のためとは言え痛い思いをさせて」
「いえ、仕方のない事です。おかげで助かりましたから」
そう村長の言葉にガンジーは答え今通ってきた裏口の方を見る。
未だ扉を叩いたり、引っ搔いたりする音が続いている扉の外にはどれ程の奴等が集まっているのか・・・
自分達の会話に反応しているのだろう、呻き声と奇声は止む事無く今なお続いていた。
「とりあえず中に入りなさい、食料の備蓄も十分にある」
「ありがとうございます。ほらっヒロエ立てるか?」
「うん・・・お父さんも大丈夫?」
「あぁ、良く頑張ったな」
そう会話を交わし、ガンジーはヒロエを抱き上げる。
数年ぶりの抱っこ、だがヒロエもそうされるのを望んでいたかのように父ガンジーに身を委ねる。
そうして外に出ていた男達に伴ってガンジーは村長の家の中に足を踏み入れる。
その間誰も言葉を交わすことは無い、ただ家の中に血痕らしきモノが見られない事から、ここは安全なのだとどんな言葉よりも説得力が在った。
家の外には幾つか飛び散った血痕が残っていたのだが・・・
通された場所は来客用の部屋であった。
少し広めの居間に数名見知った顔が在る。
この居間は他の地域から訪問した人との面会を行う事もある為に広く作られているのが幸いし、避難所として使用されていた。
言葉を交わすことは無く、知り合いと小さく手を上げて互いに無事だった事だけを顔で安堵し合い、ガンジーは壁際の開いているスペースにヒロエと共に腰を降ろす。
気を張り詰め続けていたので疲労したのであろう、ヒロエは眠たそうにしていた。
「ヒロエ大丈夫か?父さんが見守ってるから少し寝るといい」
「うん・・・ゴメンお父さん・・・」
そう一言返事を返し、ヒロエの瞼はゆっくりと閉じた。
疲れ切るまで動いて糸が切れた様に眠る、まだ小さかった頃のヒロエが良く見せた光景に懐かしく思えるガンジー・・・
その寝顔を見て記憶がフラッシュバックする。
「ぐっ・・・」
ズキっと痛む両手の痛みに思わず呻き声が漏れた。
それは怪我の痛みではない、妻であるバーラと息子のエルミンの最後がフラッシュバックしたのだ。
自らの手で愛する家族の首を生きたまま切断した事実、そうしなければならなかったとはいえ事実は変わらない。
だがその結果娘のヒロエだけでも助ける事が出来た。
そう思い込むことでガンジーは心を落ち着かせようと考え深呼吸を繰り返す・・・
今すぐにでも叫び出したい衝動を必死に堪えたのだ。
「ほらっ使うと良い」
俯いて悩みこんでいたガンジーの前に差し出されたのは2枚の毛布。
突然の事にハッと顔を上げるとそこには先程の猟銃を持った男が立っていた。
「ここまで色々あったんだろう?だけどアンタが頑張った結果娘さんは助かったんだ。今はそれで十分だろ?」
自分よりも一回り若い男性の言葉、だが誰かに許してもらえたという事が免罪符になる訳でもないのに、ガンジーの心はその言葉に救われた。
一人で悩んで苦しみ続けるというのは渦の様に何重にも悪い思考が繰り返し深みにはまっていくもの、名も知らぬ男性のその言葉はガンジーの心を解きほぐすのに十分であった。
「ありがとう・・・あり・・・がとう・・・」
「あぁ・・・」
受け取った毛布を自分に抱き着くヒロエに掛け、もう一枚を背中から羽織ったガンジーはヒロエの寝息に引っ張られるように座った姿勢で眠りにつくのであった・・・
あの村人の足を撃って破壊した威力であれば自分達の命なんて簡単に奪えるだろう・・・
思わずガンジーは声を漏らした。
「い・・・一体どういう・・・」
「おとなしくしてろ!そのまま動かず目をしっかりと見せろ!」
怒鳴り声が二人に突き刺さり男の方に目を向ける。
銃口を向けるその男の顔が緊張しているのに気付き、ガンジーとヒロエは気付いた。
外での事で奴らの仲間になっていないかを確認しているのだ。
二人も理解している点、目が赤く光り怪我等が直ぐに治るのを確認しているのだろう・・・
そう気付いた時に足元にナイフが転がってきた。
「それで指先を少し切って見せろ!」
「そ、村長!ご無事だったんですね!」
男たちの後ろに立つ老年の男性、彼がこの村の村長カタストだ。
見知った顔に少し安堵しガンジーは言葉を発したが、村長からの返答は無かった。
それよりもまずは確認させろという事なのだろう、ガンジーはゆっくりと落ちているナイフに手を伸ばして拾った。
そのナイフを人差し指の先にあて、少しだけ切り込みを入れる・・・
指先から垂れる血、その切り口から出る血が直ぐに止まらないのを確認した男達は銃口をガンジーから離しヒロエに向けた。
「そっちもだ!」
「分かった。直ぐにやるからちょっと待て、少しだけ痛いが我慢してくれな」
「うん・・・」
そう会話し、ガンジーはヒロエの手を取り指先にナイフを当てる・・・
痛みを我慢するようにヒロエがギュッと目を瞑ったのを確認して小さく切り込みを入れた・・・
「っ?!」
「す、すまない痛かったかヒロエ?」
「う・・・ううん大丈夫だよお父さん」
血豆の様な小さな傷口に膨れ上がる血・・・
それを見える様に男達に向けて見合う事数秒・・・
勿論ヒロエの指先も直ぐに血が止まる事は無く、指を血が伝い止まらない事を確認する男達は互いに顔を見合わせ一つ頷き合った。
それと共に安心したのか、男たちの顔からこわばりが消えて銃口が二人から反れた。
それを確認し、ホッとガンジーとヒロエも肩の力を抜いた。
「すまなかったな、確認のためとは言え痛い思いをさせて」
「いえ、仕方のない事です。おかげで助かりましたから」
そう村長の言葉にガンジーは答え今通ってきた裏口の方を見る。
未だ扉を叩いたり、引っ搔いたりする音が続いている扉の外にはどれ程の奴等が集まっているのか・・・
自分達の会話に反応しているのだろう、呻き声と奇声は止む事無く今なお続いていた。
「とりあえず中に入りなさい、食料の備蓄も十分にある」
「ありがとうございます。ほらっヒロエ立てるか?」
「うん・・・お父さんも大丈夫?」
「あぁ、良く頑張ったな」
そう会話を交わし、ガンジーはヒロエを抱き上げる。
数年ぶりの抱っこ、だがヒロエもそうされるのを望んでいたかのように父ガンジーに身を委ねる。
そうして外に出ていた男達に伴ってガンジーは村長の家の中に足を踏み入れる。
その間誰も言葉を交わすことは無い、ただ家の中に血痕らしきモノが見られない事から、ここは安全なのだとどんな言葉よりも説得力が在った。
家の外には幾つか飛び散った血痕が残っていたのだが・・・
通された場所は来客用の部屋であった。
少し広めの居間に数名見知った顔が在る。
この居間は他の地域から訪問した人との面会を行う事もある為に広く作られているのが幸いし、避難所として使用されていた。
言葉を交わすことは無く、知り合いと小さく手を上げて互いに無事だった事だけを顔で安堵し合い、ガンジーは壁際の開いているスペースにヒロエと共に腰を降ろす。
気を張り詰め続けていたので疲労したのであろう、ヒロエは眠たそうにしていた。
「ヒロエ大丈夫か?父さんが見守ってるから少し寝るといい」
「うん・・・ゴメンお父さん・・・」
そう一言返事を返し、ヒロエの瞼はゆっくりと閉じた。
疲れ切るまで動いて糸が切れた様に眠る、まだ小さかった頃のヒロエが良く見せた光景に懐かしく思えるガンジー・・・
その寝顔を見て記憶がフラッシュバックする。
「ぐっ・・・」
ズキっと痛む両手の痛みに思わず呻き声が漏れた。
それは怪我の痛みではない、妻であるバーラと息子のエルミンの最後がフラッシュバックしたのだ。
自らの手で愛する家族の首を生きたまま切断した事実、そうしなければならなかったとはいえ事実は変わらない。
だがその結果娘のヒロエだけでも助ける事が出来た。
そう思い込むことでガンジーは心を落ち着かせようと考え深呼吸を繰り返す・・・
今すぐにでも叫び出したい衝動を必死に堪えたのだ。
「ほらっ使うと良い」
俯いて悩みこんでいたガンジーの前に差し出されたのは2枚の毛布。
突然の事にハッと顔を上げるとそこには先程の猟銃を持った男が立っていた。
「ここまで色々あったんだろう?だけどアンタが頑張った結果娘さんは助かったんだ。今はそれで十分だろ?」
自分よりも一回り若い男性の言葉、だが誰かに許してもらえたという事が免罪符になる訳でもないのに、ガンジーの心はその言葉に救われた。
一人で悩んで苦しみ続けるというのは渦の様に何重にも悪い思考が繰り返し深みにはまっていくもの、名も知らぬ男性のその言葉はガンジーの心を解きほぐすのに十分であった。
「ありがとう・・・あり・・・がとう・・・」
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