最悪最凶スキル『デスゲームメーカー』生存確率…

昆布海胆

文字の大きさ
22 / 92

第22話 絶望の最下層?

しおりを挟む
「くそっ!?次から次へとなんなんだよここは?!」

長髪の盗賊が愚痴を言いながら道先に仕掛けられた罠を回避していく。
足が掛かるように結ばれた不自然な草。
微妙に凹凸のある地面。
左右の壁から不自然に生えた枯れ木。
まるで子供の悪戯の様なそれ事態には大した被害の無い罠。
だが追われて逃げている状態ならそれは凶器になり得る。

「いだっ?!ちくしょ!ふざけんなよ!」

手で不自然に垂れ下がった布を払ったら尖った木屑が刺さっており、それがチクリと手に痛みを与えた。
当然毒が塗られてもいなければ血が出たわけでもない、それが余計にイライラを募らせる。
俺とリリンは一人先に駆けてく盗賊の動きを見て罠を回避していく。
流れてくる溶岩は付かず離れず一定の距離を保ちつつこちらへ向かっていた。
まるで意図的に追い詰めるように…

「おいおい…マジかよ…」

前を走っていた盗賊の足が止まった。
下り続けていた道が突然登りになったと思った先はまるで滑り台の様に急傾斜になっており天井が低いのだ。
道はそこしかなく舌打ちしつつ長髪の盗賊は尻を着いて先に滑り出した。

「えっ…」

俺は迷うことなくリリンを抱き抱えて守るように腹の上に寝かせた。
驚いたリリンが声を上げたが迷うことなく坂を滑り降りた。

「ひやぁぁぁぁぁぁ!?!?」

胸元でリリンが悲鳴を上げるがこっちはそれどころではない、背中が擦れて削られていくのが分かる。
既に着ていた服の背中部分は破れ坂を血がコーティングしているのを想像しながら痛みに耐え続けた。

「ぐあっ?!」

尻餅を付いて少しの段差を放り出された。
背中が焼けるように痛いが後ろから溶岩が流れてくるのを考え立ち上がる。

「あっ…」

今の今までリリンは俺の胸にしがみついていたのに自ら気付いて立ち上がった俺から体を離した。
だが余程怖かったのか左手が俺の体から離れない。

「なんとか生きてるみたいだな、良かった」
「…うん」

明らかに様子がおかしくなりつつあるリリンだが今はそれよりも先へ進まないと…
そう考えた俺達はそれを見て真っ青になる。
周囲に壁はなく半径10メートルにも満たない小さな丸い場所に自分達は立っており目の前にある棺のような物に長髪の盗賊が入ろうとしていたのだ。

「はははっ悪いな!神の仰った通りだ!周りは崖、つまりここが最下層でLIFE1、つまり助かるのは一人のみって訳だ。悪いが俺はまだ死にたくないんでね、その娘はお前にやるよじゃな」

そう言って持ち上げたドアのような構造の棺の蓋を長髪の盗賊は閉めた。
その光景を唖然と見ていた二人の背後からドバァと溶岩が溢れ出る!
俺はリリンを抱き上げて端にまで下がった。
足を溶岩に焼かれても持ち上げていればリリンは助かるかもしれない。
そんな無茶苦茶な事を考えるほど切羽詰まった状況の中、抱き上げたリリンが俺の顔を両手で挟んだ。
そして、見つめ合う…

「もう…いいですよ…」

泣きそうなその顔を見て俺は笑顔を見せる。
背中から流れた血が俺達と長髪の盗賊が通った後を残す床を溶岩が塗り潰していく。
熱い…
熱が離れていても肌を焼いていく。
広がるように流れる溶岩が床を塗り潰し徐々に迫ってきて俺はリリンに一言…

「ごめんな…」

そう告げて俺はリリンを抱き抱えたまま後ろの崖下へ飛び降りた。
運が良ければ俺の体がクッションになって彼女は助かるかもしれない。
落下しながら『上から降ってきた溶岩が降りかかったら結局二人とも助からないな』と考えて小さく笑うのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

国一番の美少女だけど、婚約者は“嫌われ者のブサイク王子”でした

玖坂
ファンタジー
気がつけば、乙女ゲームの“悪役令嬢”ポジションに転生してました。 しかも婚約者は、誰もがドン引きする“ブサイクで嫌われ者の王子様” だけど――あれ? この王子、見た目はともかく中身は、想像以上に優しすぎる……!? 国一番の美少女に転生した令嬢と、誰にも愛されなかった王子が、少しずつ成長していく物語。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...