最悪最凶スキル『デスゲームメーカー』生存確率…

昆布海胆

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第43話 旅立ち

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「それではこれにて失礼させて頂きます」

そう言ってウイが両手をパンッと合わせると真っ暗だった世界が一瞬で切り替わる。
気付けば村の広場に6人は立っていたのだ。

「うっ?!」

村人の1人がそれを見て絶句する。
辺りに散らばるのはバラバラになった死体・・・死体・・・死体・・・
それら全てはデスゲームで亡くなった村人と盗賊とその奴隷達である。
だが殆どの死体は悪魔によってバラバラにされた状態のまま転がっているのだ。

「うげぇええ・・・」

流石の生き残った盗賊もその現状に蹲り吐き出す。
そして、その背後に立つ人影・・・

「お前達が来なければ・・・」
「えっ・・・がぁっ?!」

振り下ろされる石は盗賊の後頭部に叩き付けられその場に倒れこむ。
叩かれた部分を押さえながら見上げる盗賊の目には再び石を振り上げる村人の姿。

「ひっ・・・」

最後に聞こえた盗賊の最後の声がその小さい悲鳴であった。
顔面に叩き付けられた石は顔の骨を砕き全身を痙攣させる。
だが再度石は叩き付けられその痙攣は程なく停止する・・・
過去の犯罪履歴を消された盗賊の最後であった。

「お兄さん・・・」
「いいんだリリン・・・」

俺は自らにしがみ付いたリリンを避ける。
目の前に立つのはロッツォの母である。
彼女の表情は苦悶に歪んでいた。
悪魔だった者の娘であるリリンとこの村を襲った盗賊の一味だった男。
あの盗賊の様に殺されてもおかしくないのである。

「俺達はこのまま村を出る、だから見逃して貰えるとありがたい」

その言葉にもう1人の村人が睨み付ける。
手にはいつの間にかナイフの様な物が握られておりこっちを睨み付ける様に見ていた。

「お前達が来なければ・・・こんな事にはならなかったんだ・・・」

だがその間に立ったのはロッツォの母親であった。

「待ちなさい、私達が助かったのも彼が居たからよ」
「それは・・・そうかもしれないが・・・」
「もういい、お前達全員この村から出て行け!」

怒鳴りつけたのは盗賊を殺した村人であった。
ナイフを持った村人も振り返ってそれを見た。
血が滴る石を手に持ち、目を真っ赤に充血させたまま盗賊の返り血を顔につけた村人がそこに居た。

「俺も?」
「そうだ・・・もうこの村は終わりだ」

その村人はウイに願って元通りになった村から出て行けと言っているのだ。
そして、手にしていた石を地面に転がる盗賊に投げつける。

「もうこの村は終わりなんだよ!俺はこの村と共に消える、だから・・・」

怒鳴り声は徐々に弱々しくなり村人の視線は空を見ていた。

「行こうリリン・・・」
「うん・・・おばさんはどうします?」
「私も一緒に行かせて貰うよ」

こうして男、リリン、ロッツォの母親は村を出発した。
ロッツォの母親とリリンが村から度に必要になるであろう最低限の衣類と金銭、そして食料を持ち出し数時間後には村の外に居た。
そこにはあのナイフを所持していた村人の姿も在った。

「隣町までだ。そこまでは一緒に行ってやる」
「ありがとうございます」

リリンが頭を下げて微妙に納得の言ってない村人は名乗る。

「俺はジタン、カミラさんとリリンは分かるがあんたの名前を聞いてもいいか?」

カミラ・・・ロッツォの母親の名前をその時初めて知った男であったがその質問に対する答えは横に首を振るのみ・・・

「すまない、俺は奴隷だったんだ・・・」

そう、奴隷になるとその者の名前は魔法で永遠に消去される。
それが奴隷と言う立場にあるものであるだが・・・

「お兄さんはもう奴隷じゃないんでしょ?だったら・・・」
「分からないんだ。俺の名前は失われてしまったから・・・」
「なら仕方ないねぇ・・・あんたは今からカインだ」
「カミラさん・・・それは・・・」

カミラが名付けれくれた名前『カイン』それはあの村の人間なら一度は耳にする御伽噺の名前であった。
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