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第86話 扉の向こう側
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「多分・・・あれは・・・俺達の・・・過去だ!」
『コングラッチュレーション!』
モニター室で過去の自分達が行っていた行動を見守り続けた3人は回答に辿り着いた竜一の言葉にガッツポーズを取る。
それと共にモニターの前に居た竜一と白根の姿が突如消えた。
ただ残されたモニターだけが映っており真っ暗な部屋を照らしていた。
その影の中で立ち上がる人影が在った。
「助かったのかな?」
「そうみたいね・・・」
「頭がこんがらがりそうだわ」
竜一、白根、まなみの3人であった。
自分達が行動した内容をもう1人の自分が過去の映像だと見抜く事が出来るかどうかのデスゲームに勝ち残ったのだ。
「それじゃ行こうか」
「そうね、きっともう1人の私が見者の本でしょうからね」
竜一の言葉にまなみが頷く。
だが白根は外へ向けて歩く2人にはついて行かず立ち止まった。
「ねぇ、本当にそれで在ってるのかな?」
白根の言葉に竜一とまなみは振り返りその目を見つめる。
モニターの光が逆光になり白根の顔は影で見えないはずなのにそこに目だけがハッキリと鮮明に見えていた。
「白根さん、何か理由があるの?」
まなみが聞き返すが白根は何も言わずそのまま首を後ろへ向ける。
その視線の先には青い色だけが映されたモニターがあるだけだ。
「ううん、理由は無いんだけど・・・もう1人が居ない筈のまなみが見者の本って安直過ぎないかな・・・って思って」
ここまで続けられてきたデスゲームは徐々にその難易度を上げておりそんな単純な回答で良いのかと疑問を持っていた。
だが竜一は白根のそんな思考は予想済みであった。
「白根さん、多分だけど・・・」
そう言ってその部屋の扉を開く・・・
そこに見えた光景にまなみも白根も目を大きく開いて驚きを隠せなかった。
図書館だった筈、にも関わらずそこに見えた景色は異空間であった。
扉の向こうには階段が続いており天地すらも訳が分からない様に階段は捻れどこまでも複雑に続いていた。
「やっぱりこういう感じか・・・」
竜一はその景色すらも予想していたのだろうか、驚く二人とは違う反応を見せドアから外へ一歩踏み出す。
それを見た2人は再び驚愕の表情を浮かべる。
階段に立った竜一は真っ直ぐに立っていなかったのだ。
いや、正確には重力の働く方向が15度くらい傾いているのだ。
「うへぇ~なんだこれ気持ち悪いな・・・」
人間にとって真下が重力の方向と言うのは常識である。
そもそも耳の奥に在る三半規管により人は平衡感覚を司っている。
これが狂うとまず最初に訪れる影響がめまいであるのは知っての通りであった。
宇宙の無重力に体が宇宙酔いをすると言うのもこれが原因であった。
「うぅぅ・・・とりあえずまなみもここで待ってろ、これはちょっと厳しいから俺が1人で行ってくるわ」
心配させまいと、大したこと無いアピールであったが状況が厳しいのはその表情を見れば一目瞭然であった。
竜一の顔色はチアノーゼを起こしている様に紫色になりつつあった。
だがここで戻ればもう一度この階段に足を踏み出そうと思えないと感じた竜一は思い切って先へと足を踏み出す。
そんな竜一を見詰めていたまなみと白根が手を触れてもいないのに突如ドアが閉まった!
「えっ?!ちょっと・・・はぁ?!」
慌ててまなみが近寄り扉を開くとそこは塔の最上階であった。
物凄い強風が吹く中外に見えるのはまさしく絶景、どれ程の高さがあるのか地上は遥か彼方にあるようにしか見えなかった。
「・・・私はここを探せって事かしらね?」
「ちょっまなみ?!」
ドアを抜けた瞬間まなみの体は横の壁に強風によって叩きつけられた。
全身を圧迫する風に呼吸もまともに出来ないがまなみは壁沿いに下へと続いている階段を降り始める。
そして、扉の向こうで見ている白根が慌てて追いかけようとした時に扉は勢い良く勝手に閉まる・・・
白根はドアノブに手を掛けてその扉を一気に開く!
だがそこに在ったのは元の図書館であった・・・
『コングラッチュレーション!』
モニター室で過去の自分達が行っていた行動を見守り続けた3人は回答に辿り着いた竜一の言葉にガッツポーズを取る。
それと共にモニターの前に居た竜一と白根の姿が突如消えた。
ただ残されたモニターだけが映っており真っ暗な部屋を照らしていた。
その影の中で立ち上がる人影が在った。
「助かったのかな?」
「そうみたいね・・・」
「頭がこんがらがりそうだわ」
竜一、白根、まなみの3人であった。
自分達が行動した内容をもう1人の自分が過去の映像だと見抜く事が出来るかどうかのデスゲームに勝ち残ったのだ。
「それじゃ行こうか」
「そうね、きっともう1人の私が見者の本でしょうからね」
竜一の言葉にまなみが頷く。
だが白根は外へ向けて歩く2人にはついて行かず立ち止まった。
「ねぇ、本当にそれで在ってるのかな?」
白根の言葉に竜一とまなみは振り返りその目を見つめる。
モニターの光が逆光になり白根の顔は影で見えないはずなのにそこに目だけがハッキリと鮮明に見えていた。
「白根さん、何か理由があるの?」
まなみが聞き返すが白根は何も言わずそのまま首を後ろへ向ける。
その視線の先には青い色だけが映されたモニターがあるだけだ。
「ううん、理由は無いんだけど・・・もう1人が居ない筈のまなみが見者の本って安直過ぎないかな・・・って思って」
ここまで続けられてきたデスゲームは徐々にその難易度を上げておりそんな単純な回答で良いのかと疑問を持っていた。
だが竜一は白根のそんな思考は予想済みであった。
「白根さん、多分だけど・・・」
そう言ってその部屋の扉を開く・・・
そこに見えた光景にまなみも白根も目を大きく開いて驚きを隠せなかった。
図書館だった筈、にも関わらずそこに見えた景色は異空間であった。
扉の向こうには階段が続いており天地すらも訳が分からない様に階段は捻れどこまでも複雑に続いていた。
「やっぱりこういう感じか・・・」
竜一はその景色すらも予想していたのだろうか、驚く二人とは違う反応を見せドアから外へ一歩踏み出す。
それを見た2人は再び驚愕の表情を浮かべる。
階段に立った竜一は真っ直ぐに立っていなかったのだ。
いや、正確には重力の働く方向が15度くらい傾いているのだ。
「うへぇ~なんだこれ気持ち悪いな・・・」
人間にとって真下が重力の方向と言うのは常識である。
そもそも耳の奥に在る三半規管により人は平衡感覚を司っている。
これが狂うとまず最初に訪れる影響がめまいであるのは知っての通りであった。
宇宙の無重力に体が宇宙酔いをすると言うのもこれが原因であった。
「うぅぅ・・・とりあえずまなみもここで待ってろ、これはちょっと厳しいから俺が1人で行ってくるわ」
心配させまいと、大したこと無いアピールであったが状況が厳しいのはその表情を見れば一目瞭然であった。
竜一の顔色はチアノーゼを起こしている様に紫色になりつつあった。
だがここで戻ればもう一度この階段に足を踏み出そうと思えないと感じた竜一は思い切って先へと足を踏み出す。
そんな竜一を見詰めていたまなみと白根が手を触れてもいないのに突如ドアが閉まった!
「えっ?!ちょっと・・・はぁ?!」
慌ててまなみが近寄り扉を開くとそこは塔の最上階であった。
物凄い強風が吹く中外に見えるのはまさしく絶景、どれ程の高さがあるのか地上は遥か彼方にあるようにしか見えなかった。
「・・・私はここを探せって事かしらね?」
「ちょっまなみ?!」
ドアを抜けた瞬間まなみの体は横の壁に強風によって叩きつけられた。
全身を圧迫する風に呼吸もまともに出来ないがまなみは壁沿いに下へと続いている階段を降り始める。
そして、扉の向こうで見ている白根が慌てて追いかけようとした時に扉は勢い良く勝手に閉まる・・・
白根はドアノブに手を掛けてその扉を一気に開く!
だがそこに在ったのは元の図書館であった・・・
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