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第79話 最後の神、その名は・・・
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「ほら、もう大丈夫だ」
酒呑童子が体に巻かれていた包帯を取りその下の傷が無くなっている事をピコハンに見せていた。
リトーの鳥の足により傷つけられたピコハンの傷は既に完治しており加護の力に驚きを見せる酒呑童子が自分の傷も既に癒えていると訴えていたのだ。
それを見たピコハンは納得して立ち上がる。
酒呑童子も手を借りる事無く立ち上がり二人は溶岩の奥の岩で出来た通路を奥へと進んでいく・・・
後ろで溶岩がボコリっと泡を破裂させる音を聞いてリトーがまた出てきたのかとピコハンと酒呑童子は振り返るが何事も無かった事に2人して笑う。
争い続けた者同士だからこそ共通の敵が出来た時に仲良くなる、定番の王道物語そのものであった。
「ようやく涼しくなってきたと思ったら今度はこれかよ・・・」
岩肌の通路を進んでいくと途中から岩で出来た階段が真っ直ぐに上に向かって伸びている場所に辿り着いた。
それを見上げた酒呑童子が愚痴るのも無理は無いだろう。
階段は遥か彼方まで一直線に延びており他に道が無い様子からそこを登るしかないのだと理解して二人は歩み始める・・・
踊り場が一切存在しないその階段は途中から石の階段に変わり、更に先に進むと更に滑らかな材質で出来たまっ平な階段に変化した。
流石に登り始めてから1時間近くが経過して疲れを感じ始めた2人は一度腰掛けて休む事にした。
「ほら、飲むといいよ」
「本当それ便利なものだな」
ピコハンがクリフから受け取った共有箱から飲み物を2つ取り出し共に飲む。
加護の力でピコハンは見た目の怪我は直ぐに治るが体力までは直ぐには回復しない。
ダンジョンに続きリトーとの連戦、そして終わりの見えない階段とピコハンの体力はかなり消耗していたのだ。
「そういえば、ここは玄武とか言うやつの中だって言ってたよな?」
酒呑童子が当然の疑問をピコハンに尋ねる。
ピコハンは色々な事を事前に知っていたので酒呑童子へ自分の知る情報を暇潰しがてら伝えていく・・・
戦闘狂の鬼である酒呑童子だが決して頭が悪い訳では無いのだ。
そして、情報を共有し合い体力も結構回復した所で2人は共に立ち上がる。
そのまま合図も無く2人は共に階段を登り始めるのであった。
「ん?あれはなんだ?」
もうどれくらい階段を上がっているのか分からない。
斜めに続く穴に設置された階段を上がり続けた二人は突き当たりの壁に階段がめり込むように終了しているのに気が付いた。
壁近くまで来て二人は上を見上げる。
斜めに続いた穴が突き当たりの天井に向かって今度は伸びているのだ。
その突き当りの壁はとても滑らかで垂直になっている、それを見て酒呑童子はどうしたものかと悩んでいた。
「この壁を登るのは流石に無理だぞ」
そんな事を口にした酒呑童子を無視してピコハンは壁に向かって足を伸ばす。
それと同時であった。
「おわっ?!」
なんと道が反転し登ってきた階段が下ってきた形となり真正面に向かって通路が現れた形となった。
ピコハンは永遠の古墳で在ったトラップと同じ臭いを感じたのだ。
そのまま真っ直ぐ進もうとするピコハンに慌てて付いていく酒呑童子。
そして、暫く歩いてそこへ辿り着いた。
「穴だな・・・」
「穴ですね・・・」
正面の壁に大きな穴が開いているのだ。
方向的に元々は真上に位置するその穴に少し立ち止まったピコハンと酒呑童子であったが進むしかないと理解してその穴へ向かって進む。
そして、その穴に足をゆっくりと沈めていった・・・
穴は闇が膜を作っているように波打つような動きを見せ二人を受け入れていく・・・
そして、全身がその穴の中へ入った時であった。
真っ暗闇の中で2人の体に異変が訪れた!
「な、なんだ?!体が・・・大きくなる?!」
酒呑童子が自身の体に異変が起きているのを訴えるが闇の中に居るピコハンが本当にそこに居るのか分からなかった為もあり声を上げる。
だがピコハンからは何も返事が無く、少しして大きくなり続けた体は変化が止まった。
そして、一気に全身が光に包まれた。
いや、空からの日光だ。
あまりにも強いその日差しに手で目に影を作ってゆっくりと目を開いていく・・・
「神殿・・・だな・・・ん?なんだあれは?」
「あった・・・」
酒呑童子の発見したそれはあの光の扉である。
そして、それはピコハンが捜し求めていた物、ピコハンは酒呑童子の顔を見て頷く。
酒呑童子にもその扉が見えている、つまりダンジョンを攻略したという事が認められたのだ。
「あの中が目的地だ」
「入るのか、あそこに?」
非現実的なその扉にダンジョンで予想できない物を見てきた酒呑童子ですら警戒していた。
だがピコハンが怖がらずにそのまま扉の中へ足を踏み入れたのを見て仕方なく歩いてその中へ足を踏み入れた。
『ようこそ、歓迎しますよ二人共』
それはとてつもなく美しい声であった。
今まで生きてきた中で聞いた事も無いほど美しいその声に酒呑童子だけでなくピコハンも驚いていた。
そして、彼女は歩いて近付いてきた。
天使の羽もなく見た目はただの女性である。
黒い髪が非常に長く地面すれすれまで伸びており前髪が両目を隠している。
だがその存在力というのか、そこに居るだけで物凄い圧力を感じた2人は必死に自分が跪くのに抵抗していた。
黒髪の女性が右手をゆっくりと上げて自らの前髪を上げる。
赤と黄色の目が露になりまるで全てを見透かす様な視線に2人は硬直した。
『あら?貴方・・・』
その女性は酒呑童子を見詰める。
それを見てピコハンは当たりかと笑みを浮かべるが・・・
『鬼化してるわね、人間に戻してあげましょうか?』
「あれ?・・・探していたのは彼じゃないんですか?」
ピコハンの質問に前髪を下ろして女子は答える。
『えっ?違うわよ、ピコハン君』
名乗っても居ないのに名前を当てられたその女性の言葉にピコハンは残念と驚きの混じった何ともいえない顔を見せる。
その顔を見て小さく口端を上げて笑みを見せる。
『まずは名乗った方が良いわよね?私はフーカ、この世界を管理する5人の神の最後の一人よ』
最後の女神はどう見ても普通の人間の美女にしか見えないのであった。
酒呑童子が体に巻かれていた包帯を取りその下の傷が無くなっている事をピコハンに見せていた。
リトーの鳥の足により傷つけられたピコハンの傷は既に完治しており加護の力に驚きを見せる酒呑童子が自分の傷も既に癒えていると訴えていたのだ。
それを見たピコハンは納得して立ち上がる。
酒呑童子も手を借りる事無く立ち上がり二人は溶岩の奥の岩で出来た通路を奥へと進んでいく・・・
後ろで溶岩がボコリっと泡を破裂させる音を聞いてリトーがまた出てきたのかとピコハンと酒呑童子は振り返るが何事も無かった事に2人して笑う。
争い続けた者同士だからこそ共通の敵が出来た時に仲良くなる、定番の王道物語そのものであった。
「ようやく涼しくなってきたと思ったら今度はこれかよ・・・」
岩肌の通路を進んでいくと途中から岩で出来た階段が真っ直ぐに上に向かって伸びている場所に辿り着いた。
それを見上げた酒呑童子が愚痴るのも無理は無いだろう。
階段は遥か彼方まで一直線に延びており他に道が無い様子からそこを登るしかないのだと理解して二人は歩み始める・・・
踊り場が一切存在しないその階段は途中から石の階段に変わり、更に先に進むと更に滑らかな材質で出来たまっ平な階段に変化した。
流石に登り始めてから1時間近くが経過して疲れを感じ始めた2人は一度腰掛けて休む事にした。
「ほら、飲むといいよ」
「本当それ便利なものだな」
ピコハンがクリフから受け取った共有箱から飲み物を2つ取り出し共に飲む。
加護の力でピコハンは見た目の怪我は直ぐに治るが体力までは直ぐには回復しない。
ダンジョンに続きリトーとの連戦、そして終わりの見えない階段とピコハンの体力はかなり消耗していたのだ。
「そういえば、ここは玄武とか言うやつの中だって言ってたよな?」
酒呑童子が当然の疑問をピコハンに尋ねる。
ピコハンは色々な事を事前に知っていたので酒呑童子へ自分の知る情報を暇潰しがてら伝えていく・・・
戦闘狂の鬼である酒呑童子だが決して頭が悪い訳では無いのだ。
そして、情報を共有し合い体力も結構回復した所で2人は共に立ち上がる。
そのまま合図も無く2人は共に階段を登り始めるのであった。
「ん?あれはなんだ?」
もうどれくらい階段を上がっているのか分からない。
斜めに続く穴に設置された階段を上がり続けた二人は突き当たりの壁に階段がめり込むように終了しているのに気が付いた。
壁近くまで来て二人は上を見上げる。
斜めに続いた穴が突き当たりの天井に向かって今度は伸びているのだ。
その突き当りの壁はとても滑らかで垂直になっている、それを見て酒呑童子はどうしたものかと悩んでいた。
「この壁を登るのは流石に無理だぞ」
そんな事を口にした酒呑童子を無視してピコハンは壁に向かって足を伸ばす。
それと同時であった。
「おわっ?!」
なんと道が反転し登ってきた階段が下ってきた形となり真正面に向かって通路が現れた形となった。
ピコハンは永遠の古墳で在ったトラップと同じ臭いを感じたのだ。
そのまま真っ直ぐ進もうとするピコハンに慌てて付いていく酒呑童子。
そして、暫く歩いてそこへ辿り着いた。
「穴だな・・・」
「穴ですね・・・」
正面の壁に大きな穴が開いているのだ。
方向的に元々は真上に位置するその穴に少し立ち止まったピコハンと酒呑童子であったが進むしかないと理解してその穴へ向かって進む。
そして、その穴に足をゆっくりと沈めていった・・・
穴は闇が膜を作っているように波打つような動きを見せ二人を受け入れていく・・・
そして、全身がその穴の中へ入った時であった。
真っ暗闇の中で2人の体に異変が訪れた!
「な、なんだ?!体が・・・大きくなる?!」
酒呑童子が自身の体に異変が起きているのを訴えるが闇の中に居るピコハンが本当にそこに居るのか分からなかった為もあり声を上げる。
だがピコハンからは何も返事が無く、少しして大きくなり続けた体は変化が止まった。
そして、一気に全身が光に包まれた。
いや、空からの日光だ。
あまりにも強いその日差しに手で目に影を作ってゆっくりと目を開いていく・・・
「神殿・・・だな・・・ん?なんだあれは?」
「あった・・・」
酒呑童子の発見したそれはあの光の扉である。
そして、それはピコハンが捜し求めていた物、ピコハンは酒呑童子の顔を見て頷く。
酒呑童子にもその扉が見えている、つまりダンジョンを攻略したという事が認められたのだ。
「あの中が目的地だ」
「入るのか、あそこに?」
非現実的なその扉にダンジョンで予想できない物を見てきた酒呑童子ですら警戒していた。
だがピコハンが怖がらずにそのまま扉の中へ足を踏み入れたのを見て仕方なく歩いてその中へ足を踏み入れた。
『ようこそ、歓迎しますよ二人共』
それはとてつもなく美しい声であった。
今まで生きてきた中で聞いた事も無いほど美しいその声に酒呑童子だけでなくピコハンも驚いていた。
そして、彼女は歩いて近付いてきた。
天使の羽もなく見た目はただの女性である。
黒い髪が非常に長く地面すれすれまで伸びており前髪が両目を隠している。
だがその存在力というのか、そこに居るだけで物凄い圧力を感じた2人は必死に自分が跪くのに抵抗していた。
黒髪の女性が右手をゆっくりと上げて自らの前髪を上げる。
赤と黄色の目が露になりまるで全てを見透かす様な視線に2人は硬直した。
『あら?貴方・・・』
その女性は酒呑童子を見詰める。
それを見てピコハンは当たりかと笑みを浮かべるが・・・
『鬼化してるわね、人間に戻してあげましょうか?』
「あれ?・・・探していたのは彼じゃないんですか?」
ピコハンの質問に前髪を下ろして女子は答える。
『えっ?違うわよ、ピコハン君』
名乗っても居ないのに名前を当てられたその女性の言葉にピコハンは残念と驚きの混じった何ともいえない顔を見せる。
その顔を見て小さく口端を上げて笑みを見せる。
『まずは名乗った方が良いわよね?私はフーカ、この世界を管理する5人の神の最後の一人よ』
最後の女神はどう見ても普通の人間の美女にしか見えないのであった。
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