上 下
9 / 16

双子の兄妹のお小遣い

しおりを挟む
僕の家は貧乏であった。
平凡な一般家庭に父、母、双子の兄、僕の4人で暮らしている。
しかし、最近父の仕事の業績が非常に良くて少しずつ裕福な暮らしが出来るようになってきた。
そのせいもあって小学6年生の終業式の日、中学生になると言う事で両親は話し合って高校を卒業するまで毎月お小遣いを1000円くれる事になった。
今までお小遣いと言う物を貰った事が無かった僕等兄弟は大いに喜んだ。
しかも毎月金額を30円ずつ上げてくれると言うのだ
その話が出た日の夜、兄が父へ話をした。

「お父さん、それだったら相談があるんだけど・・・」

双子の兄が父へ相談をし始めた。
兄が言うには『月に1回じゃ待ちきれないから半月に1回で500円が欲しい』と言うことであった。
確かに週刊漫画を買うのに月末までお小遣いが残っていない場合もある、流石兄だと心の中で褒めていた。
そして、兄へ衝撃的な発言をした。

「月に1回1000円を貰うのであれば毎月30円ずつアップしてくれるんだよね?じゃあさ、半月に1回500円を貰うのであれば半月毎に10円アップしてくれない?それだったらいいでしょ?」

兄の言葉に少し考えた父は強く頷いて了承をした。
だが僕には納得できなかった。
我慢が出来ないからと言って僕を巻き込まないで欲しかったのだ。

結局、僕と兄は揉めに揉めてそれぞれ別々の形で兄は半月、僕は毎月のお小遣いを貰う事にした。
どう考えても僕の方が得をしている筈・・・
なのに勝ち誇ったようなあの時の兄の顔が今も忘れられない・・・
あの表情は一体どういう意味だったのだろうか・・・
しおりを挟む

処理中です...