絶対無敵のアホウ

昆布海胆

文字の大きさ
13 / 25

第13話 中島との激闘!

しおりを挟む
手の甲で叩かれたサランラップが波打ちまるで意思を持ったようにヒロシに巻きつく?!

「なっなんだ?!」

そのままヒロシの腕がサランラップで巻きつけられ両腕が固定される。
少々焦り気味のヒロシに中島は嬉しそうに告げる。

「これが俺の能力、不動の左手と可動の右手だ!」

両腕の使えなくなったヒロシに中島の左手が迫る?!
それに触れると危険だと判断したヒロシはアホウを使って亜空間からアイテムを取り出した!
1枚の羽の様なものは両腕を固定されたヒロシの手に出現して次の瞬間ヒロシの姿が消える!

ドゴンッ!

それはキメラの翼であった。
その効果は一度行った事のある場所へ瞬時に移動する、である。
だがそれは野外で使用した場合だ。
屋内で使用すると現在のヒロシの様に天井に頭をぶつけてしまうのである。

「よっと、咄嗟に回避するとはやるね!」

中島が落下してくるヒロシが何かをするかもしれないと考えて一度距離を取った。
その予想は正解でヒロシは天井から落下する際に中島が居た場所へ何かを大量に落下させていた。
中島がヒロシの攻撃を回避して軽快していた目を大きく開く。
それは仕方ないだろう、ヒロシから大量に落下したそれは美少女フィギアだったからだ。

「よっと」

空中で何も無い空間を蹴ってフィギアの真上から隣へ着地したヒロシは自分の出した美少女フィギアを一つ手に取る。
俺の妹が・・・で有名なあの妹フィギアである。
それを中島目掛けてパスをする様に放り投げた。

「な、何のまねだ?!」

それが何かの攻撃かと予想した中島は横へ飛んで回避した。
その為妹フィギアは地面に落下して稼動する関節が衝撃でバラバラになってしまった。
それを見たヒロシは肩を震わせて小さく呟く・・・

「ゆ・・・ゆるさん・・・よくも・・・よくも・・・ゆるさんぞ!」

いつの間にか腕に巻きついていたラップは消えておりその様子を見詰める中島。
そして、ヒロシが顔を上げると共に周囲に砂埃が舞いあがる!

「あのツンデレ?・・・桐乃の事かぁああああああ!!!!!」

髪の毛がいつの間にか金髪になり逆立ってヒロシのイメージが一新していた。
いつもの野球帽が髪の毛で持ち上げられ固めた髪の毛の上に帽子が乗っている状態となったその姿を見て中島は呟く・・・

「まさか・・・伝説の・・・スーパーサイヤ・・・」
「ザ・ワールド!」

中島が何かを言おうとしたその前にヒロシは叫びながら時計の様な物のボタンを押した!
すると中島だけでなくこの世界全ての時間が停止した。
そう、いつもの皆大好き狸ロボットの秘密道具『タンマウオッチ』である。
その時間が停止した中島に向かって金髪となったヒロシは拾い上げた妹フィギアを修復し動かない彼の右手に触れさせる。

「そして、時は動き出す・・・」

中島にとって目の前に居た筈のヒロシが一瞬で後ろへ移動していたと思ったのだろう。
辺りを見回し真後ろに居たヒロシに気付いたら慌てて距離と取ろうと後ろに下がったのだ!
だがヒロシはそんな中島に反応する事無く手に乗せていたフィギアを眺めていた・・・
そして、それを優しく包み込むように胸に抱き寄せて涙を流す・・・

「騙したな・・・」
「えっ?」
「俺を騙したなぁああああ!!!!!」

ヒロシの叫び声が木霊する!
全てはヒロシの願望であった。
自分の所持するフィギアを動くようにして妖精と暮らすアニメの主人公の様になりたかったヒロシだが、中島の能力では動くように出来ても話す事が出来るようにはならなかったのだ。
勿論ヒロシの持つアイテムを使えば似た様な事は出来るがそれはまた違うと彼は否定していたのだ。
困惑する中島に向かっていつの間にか取り出した1本の杖をヒロシは投げつけた!
そう、杖を投げつけたのである!

「うぁっ?!」

中島は突如行なわれた攻撃に予想が出来ておらずその杖は中島にぶつかる。
だがその衝撃は殆どなくダメージが無いまま杖は空気に消えるようになくなってしまった。
そして、その杖が当たったのを確認したヒロシは髪の毛の逆立ちが収まり黒髪に戻った。
帽子を被りなおし一言・・・

「やれやれだぜ・・・」

いつの間にか学生服に変化していた相変わらずの無茶苦茶な光景についていけない中島は放心していたが突如我に帰ってヒロシに襲い掛かる!

「調子に乗りすぎだ!」

そして、中島の左手がヒロシの肩を掴んだ!
その瞬間勝利を確信した中島、彼の持つ不動の左手は触った対象を完全に停止させる効果がある。
ヒロシによって生み出された栽培マンやグルドはこれに触れられて停止、つまり生命活動を停止させられたのだ。
中島の手は生物だけでなく無機物すらその効果を及ぼす、つまり触られたらその時点で終了の最強の能力の一つなのであった。
だが・・・

「もう勝負は終わったんだよ」

そうヒロシが告げて中島の顔は驚愕に変わる。
放心する中島を無視してヒロシはその場から動かずに大量に出現させた美少女フィギアを名残惜しそうにアホウで収納した。

「な、何故だ?!何故俺の能力が・・・」
「さっきの杖さ」

先程ヒロシが中島に投げつけた1本の杖、それはまふうじのつえ(0)であった。
使用すれば直線状に居る相手にマホトーンと言う魔法を封じる効果にも似た魔法と同じような効果がある杖だ。
だが使用回数が0回となっていたので仕方なく投げて相手にぶつけて使用したのだ。
それを喰らった中島は所持していた両手の能力を封印されてしまった。

「さて、俺達は先に行くんでじゃあな」
「まっ・・・」

そう告げヒロシは中島の体をアホウで作った空間を動かして元の世界へ強制的に帰らせた。
能力を失い普通の人間に戻った彼は無事にヒロシの手で帰ることが出来たのだ。
辺りを見回しヒロシは疑問に思った。

「あれ?クリスは?」

そこまで言って上を見上げると首から上が天井に突き刺さった状態のままのクリスが居た。
そう、あの時である。
中島の攻撃を回避する為に使用したキメラの翼。
その効果は・・・

仲間や所持していた乗り物含めて思い描いた場所へ移動する。
そして屋内で使用した場合は天上に頭をぶつけるであった。
全自動高い高いをされた状態になったクリスは強化され過ぎた頭部のせいで天井を突き破っていたのだ。
ヒロシは気を失ってそのままになっていたクリスを降ろして『きんのネクタル』と言う気絶を治すアイテムを使用して回復した。
そして、何事も無かったかのようにヒロシとクリスは更に上の3階へ上がっていく・・・
ヒロシとクリスが3階に足を踏み入れた時であった。

「ぐぁあああああ!!!!」
「ぎょおおおおおお!!!!」

階段を上がった直線の廊下に檻が置かれて二人の男女が入っていた。
どちらも赤髪でその表情は明らかに常軌を異していた。
歯をむき出しに食いしばり両手をダラリと下げたその様子にクリスは表情を硬くする。

「薬・・・でしょうか?」
「いや、あれは・・・」

そう言うヒロシは左目に何かを装着していた。
そして、横にあるボタンを押すとヒロシの目に数値が表示される。

「戦闘能力5300と5800か・・・」
「なんですそれ?」
「スカウターだ」

その数値がどれ程のものなのか分からないクリスであったがヒロシは1回頷いてクリスに告げる。

「どうやらあいつらはお前が倒すべき相手のようだ。頑張ってくれ」
「は?はぁ・・・」

どうにも意味が理解できないクリスは一歩前に出る。
そんな2人に何処からか声が届いた。

「くくく・・・ここまで来るとは何処の組織の者か分からないが大したものだ。だがこの血の暴走をした2人に果たして勝てるかな?」

そう一方的に告げられて折に入った2人が解き放たれた!
まるで獣の様に四つん這いで物凄いスピードで迫る赤髪の男女にクリスは気合を入れて向かい合う!
そんな後ろでヒロシは小さく言う・・・

「さっきの中島1人の方が強かったんじゃね?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

処理中です...