2 / 58
夢の始まり1
しおりを挟む
「……以上。他に質問は?……無いか?では、課題・宿題を忘れずに各々節度をもって過ごす様に」
7月中旬、一学期が終了した。
俺が通う高校は、幼稚園から大学まで一貫して通う事が出来る学園である。
幼・小・大は共学。中・高は男女別となっている。
俺は家から徒歩圏内という理由だけで、幼等科からずっと通っているのだが、外部受験をして高等科に入学した生徒から聞くまで、実はここの学園が名門校だと俺は知らなかった。
まぁたしかに、私立だし中には車で送迎されている生徒もいるが、俺の周りは徒歩だったり自転車通学者が多かったからだ。
又、みんな話の内容も口調も至って普通だったし幼等科からの知り合いばかりで本当に無自覚だった。
実際俺の家は土地面積約65坪の普通の4LDKだし。
親父の仕事は貿易商と聞いているが、母が秘書代わりに常に一緒に海外を飛び回り側にいないので良く解らん。
そんな多忙な両親の代わりに幼い頃は近所に住む祖父母と通いの家政婦が俺と3つ下の弟の世話を焼いてくれた。
今は昔程海外ばかりに行っている訳ではない両親なので、たまに家で顔を合わせ会話もある。
まあ、そんな家族の話はどうでも良いとして。
俺は、1人ニンマリとしていた。 顔の筋肉が緩んでしまうのには理由がある。
海外旅行へ行くのだ。
嬉しい事に、1年生には夏期講習が無い。
最近プライベートの時間が取れる様になった両親が、今まで放っておいた俺達に詫びるつもりで前々から弟が行きたがっていたカナダへ旅行する事になったのだ。
キャンピングカーでキャンプを楽しみながらカナディアンロッキーやその周辺の国立公園を巡る予定。
しかし、残念ながら俺だけは10日間程滞在したら帰国をしなくてはならない。部活で剣道をやっていてその稽古・強化合宿が8月の上旬から始まる。
家族より一足先に旅行から戻ったら親友の木根久志の家にお世話になるのだが、俺的には家族が帰国するまで自宅から通うつもりでいた。
しかし、とっくの昔に子離れをして思春期で多感な子供達の目の前でも毎日イチャイチャする両親が「なんか心配」と言い出し、半ば強引に久志の家にお世話になる事に。
まあ、両親同士が高校時代からの親友で長く家族ぐるみの付き合いをしているし、久志も幼等科からここの学園に通っていて俺達はその時からずっとクラスも同じ(何度もクラス替えがあったにも関わらず)という腐れ縁。
そんな久志の性格は常に冷静沈着。顔も無表情が多く一見何を考えているのか不明の様な奴。そして学年テストの順位は必ず俺の上を行き、他の事でも常にそつなくこなす万能人間。
身長は175cm程(もっとあるかも知れないが俺は認めねぇ!)で、生粋の日本人の筈なのに顔立ちははっきりしているし鼻筋も通り高く整っている。
目はややつり目だが二重瞼で睫毛長め、目の色は瞳孔が判らない程黒。
髪も闇に溶け込める程に黒い。
肌は同じ剣道部の練習で外周のランニングが多い為か、程よく焼けていて無駄な筋肉が無く細身なのに何処か野性味を感じさせる。
だからか、すれ違う異性から2度見される程格好良い奴だ。
逆に俺は、感情に流されやすく思った事が顔に出やすい。勉強だけでなく他の事でも久志に勝てた事が一度もない。
俺の身長は男としてはがっかりな程低い。(何㎝かは言いたく無い!)顔立ちは自分で言うのも何だが、悪くないと思う。
ややたれ目で二重瞼、睫毛は男としては要らん程長い。
目の色はかなり薄い茶色(おかげで強い光に弱い)。髪もかなり明るい茶色。何故なら、母がフランス系カナダ人だからだ。
両親の出会いとか馴れ初めはどうでも良いとして。何故、俺は身長190㎝を超える親父(こちらも生粋の日本人のはず!)と170㎝越えの母に似れなかったのか本当に悲しい。
弟は見事に親父のDNAを引き継ぎ、中1のくせに俺より背が高い。
最近は、弟から頭を撫でられたり抱き締められたりする理不尽ぷり……。
ちょっと脱線したが、とにかく俺は正直久志に勝てない事に悔しいとは思うが、何故か嫌いになる事は無かった。
恐らく、久志自身が慢り高ぶる様な性格ではなかったおかげだろう。
そんな訳で幼なじみでもあり腐れ縁でもあるが、何だかんだ言って気も合うので互いに親友と呼べる仲だ。
7月中旬、一学期が終了した。
俺が通う高校は、幼稚園から大学まで一貫して通う事が出来る学園である。
幼・小・大は共学。中・高は男女別となっている。
俺は家から徒歩圏内という理由だけで、幼等科からずっと通っているのだが、外部受験をして高等科に入学した生徒から聞くまで、実はここの学園が名門校だと俺は知らなかった。
まぁたしかに、私立だし中には車で送迎されている生徒もいるが、俺の周りは徒歩だったり自転車通学者が多かったからだ。
又、みんな話の内容も口調も至って普通だったし幼等科からの知り合いばかりで本当に無自覚だった。
実際俺の家は土地面積約65坪の普通の4LDKだし。
親父の仕事は貿易商と聞いているが、母が秘書代わりに常に一緒に海外を飛び回り側にいないので良く解らん。
そんな多忙な両親の代わりに幼い頃は近所に住む祖父母と通いの家政婦が俺と3つ下の弟の世話を焼いてくれた。
今は昔程海外ばかりに行っている訳ではない両親なので、たまに家で顔を合わせ会話もある。
まあ、そんな家族の話はどうでも良いとして。
俺は、1人ニンマリとしていた。 顔の筋肉が緩んでしまうのには理由がある。
海外旅行へ行くのだ。
嬉しい事に、1年生には夏期講習が無い。
最近プライベートの時間が取れる様になった両親が、今まで放っておいた俺達に詫びるつもりで前々から弟が行きたがっていたカナダへ旅行する事になったのだ。
キャンピングカーでキャンプを楽しみながらカナディアンロッキーやその周辺の国立公園を巡る予定。
しかし、残念ながら俺だけは10日間程滞在したら帰国をしなくてはならない。部活で剣道をやっていてその稽古・強化合宿が8月の上旬から始まる。
家族より一足先に旅行から戻ったら親友の木根久志の家にお世話になるのだが、俺的には家族が帰国するまで自宅から通うつもりでいた。
しかし、とっくの昔に子離れをして思春期で多感な子供達の目の前でも毎日イチャイチャする両親が「なんか心配」と言い出し、半ば強引に久志の家にお世話になる事に。
まあ、両親同士が高校時代からの親友で長く家族ぐるみの付き合いをしているし、久志も幼等科からここの学園に通っていて俺達はその時からずっとクラスも同じ(何度もクラス替えがあったにも関わらず)という腐れ縁。
そんな久志の性格は常に冷静沈着。顔も無表情が多く一見何を考えているのか不明の様な奴。そして学年テストの順位は必ず俺の上を行き、他の事でも常にそつなくこなす万能人間。
身長は175cm程(もっとあるかも知れないが俺は認めねぇ!)で、生粋の日本人の筈なのに顔立ちははっきりしているし鼻筋も通り高く整っている。
目はややつり目だが二重瞼で睫毛長め、目の色は瞳孔が判らない程黒。
髪も闇に溶け込める程に黒い。
肌は同じ剣道部の練習で外周のランニングが多い為か、程よく焼けていて無駄な筋肉が無く細身なのに何処か野性味を感じさせる。
だからか、すれ違う異性から2度見される程格好良い奴だ。
逆に俺は、感情に流されやすく思った事が顔に出やすい。勉強だけでなく他の事でも久志に勝てた事が一度もない。
俺の身長は男としてはがっかりな程低い。(何㎝かは言いたく無い!)顔立ちは自分で言うのも何だが、悪くないと思う。
ややたれ目で二重瞼、睫毛は男としては要らん程長い。
目の色はかなり薄い茶色(おかげで強い光に弱い)。髪もかなり明るい茶色。何故なら、母がフランス系カナダ人だからだ。
両親の出会いとか馴れ初めはどうでも良いとして。何故、俺は身長190㎝を超える親父(こちらも生粋の日本人のはず!)と170㎝越えの母に似れなかったのか本当に悲しい。
弟は見事に親父のDNAを引き継ぎ、中1のくせに俺より背が高い。
最近は、弟から頭を撫でられたり抱き締められたりする理不尽ぷり……。
ちょっと脱線したが、とにかく俺は正直久志に勝てない事に悔しいとは思うが、何故か嫌いになる事は無かった。
恐らく、久志自身が慢り高ぶる様な性格ではなかったおかげだろう。
そんな訳で幼なじみでもあり腐れ縁でもあるが、何だかんだ言って気も合うので互いに親友と呼べる仲だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる