知らされた真実〜それぞれの選択〜

maruko

文字の大きさ
42 / 46
ユースティオ編

41

しおりを挟む
※途中殺○の描写があります
苦手な方はご自衛ください
--------------------


「庭師の息子って言っても庭師さんはそこには居なかったんだ。名前だけ貸してもらってる状態で僕の他にも多くはなかったけどもっと小さい子もいたんだよ。カールトン公爵様は、どうやら僕みたいな訳有の子供を秘密裏にかくまっていたみたいなんだ。僕もお屋敷で下働きでもさせられるかと思ったけど、そんな事はなくて、ただお手伝い程度の仕事はしたよ。その中で興味のあるものを選べばいいって教わった。あとは後々一人でも生活出来るようにって住み込みのメイドさんたちにも色々と教わっていたんだ。ただナーチェ様のお側に行っては駄目だと言われてたから、ナーチェ様と僕は直接話したことはないんだよ」

「そうか、俺がラオスに会ったから母上にバレたんだな」

「兄様が気にすることではないよ。父様も言っていたけど全部父様が悪いんだってさ。まぁ僕もそう思う、それに僕は兄様がいたからあの公爵家でも楽しい思い出が今でも残っているからね」

そう言ってラオスがポケットから取り出して見せたのは、あの馬の描かれたブローチだった。

「これ、俺が墓前に置いてきた⋯ずっと持っていてくれたのか」

「うん、直ぐには行けなかったけどこっそり自分のお墓に行った時に見つけて。それからずっと御守なんだ」

「そうか」

思わずユースティオはあの時の気持ちが蘇り涙が溢れてきた。
目元を腕で隠して零れないように押さえた。

「これからが重要なんだけど、ある日公爵様とナーチェ様がお二人揃って出かけた日があって、暫く帰ってこないって聞いていたんだけど4日位して公爵様が男の人を連れて帰ってきたんだ。メイドが本邸の執事って言ってた」

(オルト)は帰ってくるなり使用人を全員集めて食事会をすると言い出した。日頃の感謝の気持ちだと言われて皆喜んで席に着く。ただ使用人が少ないといっても全員は入れずにラオスのような子供達は別室に連れて行かれた。
そこで食事を提供されたのだが、一口口に入れてラオスはそれが直ぐに毒だと分かった、彼には耐性が付いていたからだ。
その場にいた5人の子供のうち二人は既に飲み込んでしまって間に合わなかったが、女の子二人は直ぐに吐き出した。
公爵と執事しか来てなかったから子供だけの部屋には見張りも立てていなかった為、生き残った3人は食べたフリをする為に残りを捨てた。
隣では息絶えた子供もいて、ラオスは怖くて体中が震えていたけれど、我慢して残った女の子達とともに死んだふりをした。

「その後、抱えられて、大きな穴に投げ入れられた。薄目を開けたら死体だらけだったよ。思わず声が出そうだったけど我慢してたら上から土をかけられたんだ」

「土?埋められたのか!」

ユースティオにラオスは頷いた。

「僕は一緒に投げ入れられた時小さな女の子を抱きかかえてその子の口には土が入らないようにしていたんだ。苦しくて本当に死にそうだったんだけど我慢して我慢して、そうしたら隣からトントンって合図をされたから思い切って動いてみたら、幸いな事に僕達は一番上にいたみたいでさ。何とか穴から出て、急いで穴を埋めてそこから逃げたんだ」

あまりの事にユースティオは言葉もなかった。
運命に翻弄されるラオスが、それを事も無げに普通に話している事に胸がつまされていた。



✎ ------------------------

本日は3話更新します
よろしくお願いします🙇‍♀

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

たのしい わたしの おそうしき

syarin
恋愛
ふわふわのシフォンと綺羅綺羅のビジュー。 彩りあざやかな花をたくさん。 髪は人生で一番のふわふわにして、綺羅綺羅の小さな髪飾りを沢山付けるの。 きっと、仄昏い水底で、月光浴びて天の川の様に見えるのだわ。 辛い日々が報われたと思った私は、挙式の直後に幸せの絶頂から地獄へと叩き落とされる。 けれど、こんな幸せを知ってしまってから元の辛い日々には戻れない。 だから、私は幸せの内に死ぬことを選んだ。 沢山の花と光る硝子珠を周囲に散らし、自由を満喫して幸せなお葬式を自ら執り行いながら……。 ーーーーーーーーーーーー 物語が始まらなかった物語。 ざまぁもハッピーエンドも無いです。 唐突に書きたくなって(*ノ▽ノ*) こーゆー話が山程あって、その内の幾つかに奇跡が起きて転生令嬢とか、主人公が逞しく乗り越えたり、とかするんだなぁ……と思うような話です(  ̄ー ̄) 19日13時に最終話です。 ホトラン48位((((;゜Д゜)))ありがとうございます*。・+(人*´∀`)+・。*

婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有
恋愛
伯爵令嬢のミレナは、双子の妹キサラより劣っていると思われていた。 婚約者のルドノスも同じ考えのようで、ミレナよりキサラと婚約したくなったらしい。 排除しようとルドノスが突き飛ばした時に、ミレナは前世の記憶を思い出し危機を回避した。 今までミレナが支えていたから、妹の方が優秀と思われている。 前世の記憶を思い出したミレナは、キサラのために何かすることはなかった。

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

【完結】悪女を押し付けられていた第一王女は、愛する公爵に処刑されて幸せを得る

甘海そら
恋愛
第一王女、メアリ・ブラントは悪女だった。 家族から、あらゆる悪事の責任を押し付けられればそうなった。 国王の政務の怠慢。 母と妹の浪費。 兄の女癖の悪さによる乱行。 王家の汚点の全てを押し付けられてきた。 そんな彼女はついに望むのだった。 「どうか死なせて」 応える者は確かにあった。 「メアリ・ブラント。貴様の罪、もはや死をもって以外あがなうことは出来んぞ」 幼年からの想い人であるキシオン・シュラネス。 公爵にして法務卿である彼に死を請われればメアリは笑みを浮かべる。 そして、3日後。 彼女は処刑された。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

【完結】婚約者を奪われましたが、彼が愛していたのは私でした

珊瑚
恋愛
全てが完璧なアイリーン。だが、転落して頭を強く打ってしまったことが原因で意識を失ってしまう。その間に婚約者は妹に奪われてしまっていたが彼の様子は少し変で……? 基本的には、0.6.12.18時の何れかに更新します。どうぞ宜しくお願いいたします。

(完結)私が貴方から卒業する時

青空一夏
恋愛
私はペシオ公爵家のソレンヌ。ランディ・ヴァレリアン第2王子は私の婚約者だ。彼に幼い頃慰めてもらった思い出がある私はずっと恋をしていたわ。 だから、ランディ様に相応しくなれるよう努力してきたの。でもね、彼は・・・・・・ ※なんちゃって西洋風異世界。現代的な表現や機器、お料理などでてくる可能性あり。史実には全く基づいておりません。

どうしてあなたが後悔するのですか?~私はあなたを覚えていませんから~

クロユキ
恋愛
公爵家の家系に生まれたジェシカは一人娘でもあり我が儘に育ちなんでも思い通りに成らないと気がすまない性格だがそんな彼女をイヤだと言う者は居なかった。彼氏を作るにも慎重に選び一人の男性に目を向けた。 同じ公爵家の男性グレスには婚約を約束をした伯爵家の娘シャーロットがいた。 ジェシカはグレスに強制にシャーロットと婚約破棄を言うがしっこいと追い返されてしまう毎日、それでも諦めないジェシカは貴族で集まった披露宴でもグレスに迫りベランダに出ていたグレスとシャーロットを見つけ寄り添う二人を引き離そうとグレスの手を握った時グレスは手を払い退けジェシカは体ごと手摺をすり抜け落下した… 誤字脱字がありますが気にしないと言っていただけたら幸いです…更新は不定期ですがよろしくお願いします。

処理中です...