最後の人生は⋯。

maruko

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21策略

 その日、昼食の後、花摘みに行ったマリエンナが午後の授業が始まっても教室に戻らなかった。

 授業開始から10分経って、リヒトールが教師に探しに行くと断りを告げる。
 侍女部屋に待機しているマリエンナの侍女とリヒトールの護衛騎士数人が、マリエンナを捜索すると彼女は校舎の裏手にある古くなり、今は使われていない厩舎の中に閉じ込められていた。

 マリエンナは頑丈な鉄の扉を必死に叩いたのだろう、行方が分からなくなって数十分で、手の皮は剥けて血で真っ赤に染まり、顔色は悪く憔悴していた。

 マリエンナは閉じ込めた犯人の顔は見ていなかった。彼女は背後から腕を捻られ、捕まった。そしてそのまま口も塞がれ、厩舎に閉じ込められていた。その際、警告されたのだが、声の主は男女だったという。

「どういう事?」

 イシュエルはリヒトールから、最悪な結果である無体な事はされていないと聞かされ、安堵した。だが、ホッとしたのもつかの間、マリエンナを閉じこめた犯人が彼女に学園を辞めるように警告したのだと、続けて聞かされて疑問が浮かんだ。

 そんな事をわざわざ拉致してまで言い含める犯人の意図が意味不明だった。

 そんなイシュエルにラムヒルドが答えをくれた。

「捕まえて閉じ込めて何もしなかったのは、しようと思えば命を奪えると警告には充分だ。考えられる動機は二つだな。マリエンナ嬢の家絡みか、リヒトール絡みだな」

 ラムヒルドの言葉でイシュエルがリヒトールを見ると彼もうなずいていた。

「わざわざ学園で実行するところが小賢しい」

 マリエンナはそれから表向き自宅に籠もるようになった。表向きというのはイシュエルが彼女を保護することにしたからだ。

 マリエンナは今イシュエルの宮で療養させている。

 ほどなくして犯人は判明した。
 こちら側の捜索で捕縛したのではない、犯人が自ら出頭してそのまま牢の中で自害した。

 それで背後には権力のある者がいることが分かった。

 マリエンナはリヒトールの婚約者で準王族に当る。だが犯行は卑劣極まりないとしても、実質的な危害を加えてはいない。
 自ら名乗り出た事もあり、おそらく彼等の処遇は30年ほどの労働刑が妥当だった。
 処刑になどなるはずもないのに、手がかりのない状態で自ら名乗り出て自害するなど、罪に対して潔が良すぎた。

 そして彼らの生家である子爵家と男爵家は、彼らが名乗り出る前に爵位を返上して、その後の行方は分からなくなっていた。






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