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ご褒美!
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アルシェリーナは二人の会話を聞きながらダートンを見つめていたら、徐にルーカスが起き上がった。
そしてアルシェリーナを見やる。
「おまえ、何か言いたそうだな。意見があるか?」
ルーカスはアルシェリーナの事を呼ぶ時“お前”か“シア”と呼ぶ。
それは大人でもショタでも同じだった。
ルーカスの声は大人になるとそれなりの声になる、愛子であってもしっかりと声変わりはするようだ。
まだ青年であるのに渋みのあるバリトンは耳に心地よい、ショタルーカスは見た目通りの声だが8歳ごろにしてはアルトの領域だ。
アルシェリーナは当然どちらも好きである。
─“おまえ呼び”いいわぁ─
起き上がったばかりの近い距離で呼ばれたアルシェリーナは恍惚の表情をしている為、今度はダートンのほうが目を白黒させた。
「お前また違う事考えてるだろう、やめい!」
ルーカスはアルシェリーナの腕をパンパン叩きながら訴えるが、アルシェリーナにとってはそれもご褒美だ!ちっとも痛くない。
だが現実にも目を向けなければと、辛うじて脳内の花畑の片隅から理性が呼びかけた。
「あっ!と失礼いたしました。ルーカス様にというか妖精様に質問がありますの」
「ん?」
「お祖母様の手記にあったのですが⋯」
「ん?前ドュバン夫人の手記が残っているのか?」
「はい!色々と参考になる事を沢山残してくれていました」
ダートンに聞かれたアルシェリーナは嬉しそうに言ったがルーカスとトゥールは遠い目になった。
何故ならその手記の九割はマイケルとの惚気だからだ。
あれを最後まで読んだ日の夕食は砂の味しかしなかったとルーカスは思うのだった。
「其処に記されていたのですがお祖父様の元婚約者様が子供の姿を受け入れられずに妖精の粉で記憶を消したとありました、それは誰にでも使えるのでしょうか?」
アルシェリーナの問いに待つことなくルーカスが答えた。
「誰にでも使えるそうだ、ただ一人に2回が限度だと言ってる」
「いえ一度で充分です、それと妖精達は人の内面も見えますか?少しそんな事を書いていたので」
「見えるそうだが、それに関して矯正はしないと言ってる」
「矯正は必要ありません。陛下質問しても構いませんか?」
アルシェリーナは今度はダートンに向きを変えた。
ダートンはアルシェリーナとルーカスの会話を黙って聞いていたが、振られた質問に黙って頷いた。
「先程のお話からすると陛下は愛子の秘密が守れて尚且つ責任を持って保護出来る人を王太子にと考えていらっしゃいますか?」
「あぁその通りだ、そんな事でと思うかもしれないが、愛子が最優先だ。何故ならこの国は妖精と共に在らねばならないと私は考えている」
ダートンの真剣な眼差しに、アルシェリーナだけでなくルーカスも胸に熱い物がこみ上げた。
特にルーカスは側妃である母の今の状態を見てダートンを軽蔑してもいたからだ。
ダートンがもっとしっかりしていたらといつも思っていた。
そのダートンを初めて尊敬できる人なのだと認識した。
「それであるならば一度ご兄弟で対面を試みては如何でしょうか?ライアン様の胸の内も今は陛下の印象だけだと思いますし、ルーカス様に会われたお二人の反応と胸の内を妖精達に観察してもらっては如何かと思いますの」
「⋯⋯そうか!それで選ばなかった方は妖精の粉を使うんだな」
「いいえ今回は一旦お二人とも使ったほうが良いと思います。全ての準備が整って王太子に正式になってからもう一度の対面とすればよろしいかと」
「いいなぁそれってこいつらも言ってるぞ、あぁシアの周りでダンスを踊ってる。因みに今は父上の周りでも踊っているそ、父上さっきの発言で株上げ成功してるようです」
ルーカスの言葉でダートンは嬉しくなって、強面の顔がすっかり崩れて目尻を下げた。
アルシェリーナは良い案を出したご褒美にルーカスがお膝に乗って小さな体でギュッと抱きしめてくれた。
─ルーカス様!私鼻血が飛びそう⋯で⋯す─
アルシェリーナは感激のあまり逆上せてしまいそのまま気絶してしまった。
そしてアルシェリーナを見やる。
「おまえ、何か言いたそうだな。意見があるか?」
ルーカスはアルシェリーナの事を呼ぶ時“お前”か“シア”と呼ぶ。
それは大人でもショタでも同じだった。
ルーカスの声は大人になるとそれなりの声になる、愛子であってもしっかりと声変わりはするようだ。
まだ青年であるのに渋みのあるバリトンは耳に心地よい、ショタルーカスは見た目通りの声だが8歳ごろにしてはアルトの領域だ。
アルシェリーナは当然どちらも好きである。
─“おまえ呼び”いいわぁ─
起き上がったばかりの近い距離で呼ばれたアルシェリーナは恍惚の表情をしている為、今度はダートンのほうが目を白黒させた。
「お前また違う事考えてるだろう、やめい!」
ルーカスはアルシェリーナの腕をパンパン叩きながら訴えるが、アルシェリーナにとってはそれもご褒美だ!ちっとも痛くない。
だが現実にも目を向けなければと、辛うじて脳内の花畑の片隅から理性が呼びかけた。
「あっ!と失礼いたしました。ルーカス様にというか妖精様に質問がありますの」
「ん?」
「お祖母様の手記にあったのですが⋯」
「ん?前ドュバン夫人の手記が残っているのか?」
「はい!色々と参考になる事を沢山残してくれていました」
ダートンに聞かれたアルシェリーナは嬉しそうに言ったがルーカスとトゥールは遠い目になった。
何故ならその手記の九割はマイケルとの惚気だからだ。
あれを最後まで読んだ日の夕食は砂の味しかしなかったとルーカスは思うのだった。
「其処に記されていたのですがお祖父様の元婚約者様が子供の姿を受け入れられずに妖精の粉で記憶を消したとありました、それは誰にでも使えるのでしょうか?」
アルシェリーナの問いに待つことなくルーカスが答えた。
「誰にでも使えるそうだ、ただ一人に2回が限度だと言ってる」
「いえ一度で充分です、それと妖精達は人の内面も見えますか?少しそんな事を書いていたので」
「見えるそうだが、それに関して矯正はしないと言ってる」
「矯正は必要ありません。陛下質問しても構いませんか?」
アルシェリーナは今度はダートンに向きを変えた。
ダートンはアルシェリーナとルーカスの会話を黙って聞いていたが、振られた質問に黙って頷いた。
「先程のお話からすると陛下は愛子の秘密が守れて尚且つ責任を持って保護出来る人を王太子にと考えていらっしゃいますか?」
「あぁその通りだ、そんな事でと思うかもしれないが、愛子が最優先だ。何故ならこの国は妖精と共に在らねばならないと私は考えている」
ダートンの真剣な眼差しに、アルシェリーナだけでなくルーカスも胸に熱い物がこみ上げた。
特にルーカスは側妃である母の今の状態を見てダートンを軽蔑してもいたからだ。
ダートンがもっとしっかりしていたらといつも思っていた。
そのダートンを初めて尊敬できる人なのだと認識した。
「それであるならば一度ご兄弟で対面を試みては如何でしょうか?ライアン様の胸の内も今は陛下の印象だけだと思いますし、ルーカス様に会われたお二人の反応と胸の内を妖精達に観察してもらっては如何かと思いますの」
「⋯⋯そうか!それで選ばなかった方は妖精の粉を使うんだな」
「いいえ今回は一旦お二人とも使ったほうが良いと思います。全ての準備が整って王太子に正式になってからもう一度の対面とすればよろしいかと」
「いいなぁそれってこいつらも言ってるぞ、あぁシアの周りでダンスを踊ってる。因みに今は父上の周りでも踊っているそ、父上さっきの発言で株上げ成功してるようです」
ルーカスの言葉でダートンは嬉しくなって、強面の顔がすっかり崩れて目尻を下げた。
アルシェリーナは良い案を出したご褒美にルーカスがお膝に乗って小さな体でギュッと抱きしめてくれた。
─ルーカス様!私鼻血が飛びそう⋯で⋯す─
アルシェリーナは感激のあまり逆上せてしまいそのまま気絶してしまった。
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