公爵夫人マーシェのお悩み

maruko

文字の大きさ
22 / 59

21 マーシェの思案

しおりを挟む
 あれから3日ほど部屋で軟禁の憂き目にあったマーシェだったが、その間も夫アルマンは湯浴みの時以外は部屋にいた。
 何かを言いたそうで言わない、そんな風にマーシェを見つめたり俯いたりを繰り返す。そんな夫も城の一室に軟禁されている事も全てに苛ついていたマーシェはとうとう爆発した。

「何なのですか!」

「何とは?」

 澄ました顔のアルマンを見てますます神経が尖る。

「何か仰りたいことがあるのでしょう?」

「聞いてくれるか!!」

 マーシェの言葉にベッドに前のめりになるアルマンに慄きつつも頷くと、彼はやはりと言うべきかストナム王国との仲介を懇願してきた。

「殿下が何故そんな行動をされたのか私達にも理解は出来ない。だが同行している男はこちらとしてもあまり安心できる男じゃない方なんだ。それで陛下は心配されている」

「あの、それが私に何か関係があるんでしょうか?」

「君は!我が国の危機なんだぞ」

「そうは言いますが、散々我が家を蔑ろにしているのはこの国ですし。今回は姉にまでそれが飛び火しておりますでしょう。それをやらかしたから助けろだなんて。

「それは⋯ちょっと待て。蔑ろになどしてはいないではないか」

「それをまた繰り返すのですか?」

「あっ⋯すまん。今後は気をつける!」

 アルマンの必死の顔がマーシェにはおかしく思えた。どうしてこの方はこんなに必死なのだろう?言ってみれば今回の件は、王太子の自業自得ではないのかしら?
 そんな風に考えたマーシェは疑問をアルマンにぶつけてみた。

「それはルイスは⋯殿下は王女の事でかなり苦労しているんだ。それできっと判断力を失ってしまったのだろうと推察される。いつもなら誰かに相談なりするはずなんだ!それが誰にも言わずに動くなんてありえないし。私達も頭を抱えてるのだ」

 マーシェは頭の中で考えを巡らした。
 今回の件はストナム王国にこちらの王家が誠心誠意謝罪するのが筋だけど、それを拒否されてしまってどうにもならない。だからポリント辺境伯に頼みたいがこちらも門前払い。だからマーシェに話が来たのだが。
 頭で整理すると単純に考えられる。
 2国間の関係悪化はあまりよろしくないのはマーシェにも分かる。
 王家はどうでもいいけれど、被害を被るのはいつだって弱者だ。
 ここでマーシェが意地を張るのもいいけれど、恩を売る事も可能ならそちらのほうがいいかもしれない。
 そこまで考えてマーシェはニンマリと微笑んだ。
 その笑みを見てアルマンはブルッと震えたが、もう引き返せない。マーシェの次の言葉を大人しく待っていた。

「そうですね、条件次第ではストナムにいる姉に頼むのもやぶさかではありませんわ」

「本当か?!」

「えぇ」

「⋯⋯⋯⋯その条件とは?」

「いくつかありますけど、全て書面に致しますので筆記用具を用意していただけますか?」

「⋯⋯書くほどあるのか?」

「当たり前でしょう」

 マーシェの言葉に渋々アルマンは動いた。

 紙とペンを用意されたマーシェは、起き上がり、ルルチアに着替えを手伝ってもらって文机に落ち着いた。

 そして人払いをしてからもう一度思案する。

 そして一気に誓約書を書き上げた。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました

よどら文鳥
恋愛
 ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。  ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。  ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。  更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。  再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。  ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。  後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。  ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。

【完結】旦那に愛人がいると知ってから

よどら文鳥
恋愛
 私(ジュリアーナ)は旦那のことをヒーローだと思っている。だからこそどんなに性格が変わってしまっても、いつの日か優しかった旦那に戻ることを願って今もなお愛している。  だが、私の気持ちなどお構いなく、旦那からの容赦ない暴言は絶えない。当然だが、私のことを愛してはくれていないのだろう。  それでも好きでいられる思い出があったから耐えてきた。  だが、偶然にも旦那が他の女と腕を組んでいる姿を目撃してしまった。 「……あの女、誰……!?」  この事件がきっかけで、私の大事にしていた思い出までもが崩れていく。  だが、今までの苦しい日々から解放される試練でもあった。 ※前半が暗すぎるので、明るくなってくるところまで一気に更新しました。

冷たい王妃の生活

柴田はつみ
恋愛
大国セイラン王国と公爵領ファルネーゼ家の同盟のため、21歳の令嬢リディアは冷徹と噂される若き国王アレクシスと政略結婚する。 三年間、王妃として宮廷に仕えるも、愛されている実感は一度もなかった。 王の傍らには、いつも美貌の女魔導師ミレーネの姿があり、宮廷中では「王の愛妾」と囁かれていた。 孤独と誤解に耐え切れなくなったリディアは、ついに離縁を願い出る。 「わかった」――王は一言だけ告げ、三年の婚姻生活はあっけなく幕を閉じた。 自由の身となったリディアは、旅先で騎士や魔導師と交流し、少しずつ自分の世界を広げていくが、心の奥底で忘れられないのは初恋の相手であるアレクシス。 やがて王都で再会した二人は、宮廷の陰謀と誤解に再び翻弄される。 嫉妬、すれ違い、噂――三年越しの愛は果たして誓いとなるのか。

彼女の離縁とその波紋

豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。 ※子どもに関するセンシティブな内容があります。

報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜

矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』 彼はいつだって誠実な婚約者だった。 嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。 『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』 『……分かりました、ロイド様』 私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。 結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。 なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

あなたの愛が正しいわ

来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~  夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。  一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。 「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

処理中です...