あなたならどうなさいますか?

maruko

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 沢山の人が行き交う歩道を、ゆっくりと走る馬車から眺めるオリビアは、色とりどりに店の前を飾る並びが、とても新鮮で目が輝かせていた。メロウ伯爵領を巡るのは初めての体験で王都との違いに胸が踊る。
 王都よりも整備された馬車道は、体にあまり負担をかけることなく進む上に、窓の外を見ても景色があまり揺れていない。

「伯母様、道の整備が行き届いてますね。それに店の前のディスプレーが色鮮やかだわ」

「そうみたいねぇ、私もここに来てすごいなぁと思ったわ」

 のんびり口調の伯母は、馬車に乗りながらレース編みをするという器用なことをしていた。
 酔わないのかしら?オリビアは感心しながらそう思っていた。

 アレクサンドルも反対側を窓から見ていた。
 彼の中では馬車道の舗装状態も目に入れている。参考にして王都に帰ったら予算を検討しようと考えていたからだ。

 兄のスペアとして今は生きるアレクサンドルは、王太子の公務の代理で他領に赴く事も多い。だが、このメロウ伯爵領に来るのは些か憚られた。
 過剰に意識する事も危険ではあるけれど、要請もなく観光だけで訪れるには、過去のこともありかなり気を使う領地だった。
 だから今回オリビアの希望で来られて、滅多にない機会であるから、少しでも多く学ぼうと目を凝らして観察していた。

 伯母お薦めのブティックは、リーシャの幼馴染の店だという。
 オリビアは、店主を伯母に紹介されて、そういえば母の親しい友人に紹介されたのは初めてだと思った。

 しかも彼女は父の事も知っていた。

 いくつか薦められた外出着を試着して、三着注文した。一着は2、3日で仕上がるから帰りに間に合いそうだが、残り二着は王都のリーテンベルク侯爵家に送ってもらうように手配した。

 にこやかに店を出る時、店主から尋ねられたのは母の様子だった。

「リーシャは元気かしら?隣国に一緒に行こうと約束していたんだけど、王都から帰ってこないから心配していたの」

 どうやら彼女はオリビアの件を知らないらしく、ただ母を心配していた。
 隣国に一緒に行く、その言葉でひょっとして彼女は父の所に一緒に行く友人なのではないかと思った。
 リーシャは父に診断書を突きつけて復讐すると言っていた。
 一人で大丈夫かと聞いたオリビアに、味方が一緒に行くからと言っていたから、オリビアはてっきり伯爵家の人間だと思っていた。

 きっと彼女は母が復讐を実行しても、しなくても、母を支えてくれる人だと、母が信じてる人なのだと感じた。

 オリビアは店主の手を包むように両手で握った。

「お母様をよろしくお願いします」

 頭を下げるオリビアに、店主は彼女がリーシャが何をしに隣国に行くのか、知っているとわかったようだ。
 店主は、オリビアを抱きしめて背中を擦りながら「大丈夫よ、任せて!」と励ましてくれる。

 きっと母がこれ以上は傷つくことはないだろう、この方が居れば大丈夫!
 気がかりだった母の復讐という名の過去の精算が、上手く行きますようにと、オリビアは真っ青な空を見上げて祈った。





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